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← 半導体入門講座:チップの一生をたどる

半導体入門講座・第24回

開発から量産へ:誰が先で、どう引き継ぐか

新しいチップが半導体工場で初めてつくられてから、安定して大量に出荷できるようになるまでには、設計、半導体工場、テスト、信頼性、顧客、量産工場といくつもの区間を通ります。これを新製品導入(NPI)といいます。新しい世代のプロセスや、新しい工程を足すチップは、まず開発ラインでつくって安定させることもよくあります。区間ごとに引き継ぐ人が変わり、引き継ぎがはっきりしているかどうかで、あとの人がうまく仕事をできるかが決まります。

わかること

要点の解説

新製品導入(NPI):1区間ずつバトンを渡す

新しく設計したチップを、半導体工場で初めてつくるところから、安定して大量に出荷できるところまで運ぶ流れを、新製品導入(NPI)といいます。リレーのようなものです。顧客がテープアウトしてフォトマスクができると、半導体工場がウェーハを投入して試作します。測った結果のうち、プロセスが原因に見える問題は工場のエンジニアへ、設計が原因に見える問題は設計の人へ返します。渡す相手を間違えると、両方がむだに動きます。問題が設計にあれば改版して、変わった層のマスクをつくり直すので、また何か月もかかります。続いて信頼性試験室と品質保証が信頼性試験をし、顧客(またはそのチップを製品に使う会社)がサンプルを製品に組み込んで試し、承認してから量産の注文が入ります。最後に条件を固めて量産工場に渡し、量産のあとも歩留まりをさらに上げていきます。すでに量産しているプロセスなら、最初のロットから量産工場で流すことがよくあり、新しい工程を足す場合は、まず開発ラインで流すことが多いです。導入の担当者はコーチのように、日程を組み、ロットを1つずつ追い、問題を正しい人に振り分け、決めたことをすべて記録します。

まず開発ラインで:つくれるか、なぜ不良になるか

新しい世代のプロセスや、工程をいくつか足したり変えたりする新製品をはじめてつくる最初の数ロットを試作といい、開発ラインでつくることがよくあります。開発ラインには装置の種類がそろっていますが、同じ種類は1〜2台しかないことが多く、一度に数枚だけつくって「つくれるか、なぜ不良になるか」を問います。量産工場で直接試さないのは、量産工場の装置がお客さんに渡すウェーハで毎日埋まっていて、おたがいに遅らせてしまうからです。最初のロットの担当者は開発インテグレーションエンジニアです。ウェーハを組に分けて組ごとに条件を1つだけ変え、さらに何枚かをわざと速め・遅めにつくって、設計が耐えられるかを見ます。電気特性の多くはウェーハが全部できあがってからでないと測れず、ウェーハ投入から何週間もたっていることがよくあります。まずWAT(チップの間のスクライブラインに残したTEGを測る)を見て、次に1個ずつ測ってウェーハマップにし、不良の形から手がかりを探します。まず測定を疑い、それからプロセスを疑います。見つけた問題は、各エリアの開発プロセスエンジニアがいくつかの組を試し、測り、断面を見て1つに決め、標準プロセスのその工程の欄に書き込みます。

技術移管:渡すのは条件の一覧だけではない

安定し、歩留まりが目標に届き、信頼性試験にも合格したら、一式を量産工場に渡します。これを技術移管といいます。渡すのは、標準プロセス(POR:各工程でどの種類の装置をどんな条件で使うか)、規格(各工程の測定値がいくつなら正しいか)、作業手順書(別の人がそのとおりにやっても同じものがつくれるように)、研修(量産工場の人が先に開発ラインへ来て学ぶ)、そしてチップが早く壊れないことを示す信頼性のデータです。渡す前には技術移管審査があり、1項目ずつ確かめます。「できた」と書いた項目は、証拠を出せなければなりません。PORを固定したあとは、数字を1つ変えるにも変更管理を通さなければなりません。

量産のあと:一人ひとりが一区間を受け持ち、話を確実に伝える

渡したあと、生産管理は数日から数か月先を見て、お客さんの求める量と納期を、毎週何枚投入し、どのロットを先に流すかに置き換えます。製造部はいまのシフトを見て、計画どおりにディスパッチし、ロットを装置から装置へ進めます。夜中に装置が止まれば、装置エンジニアがハードを調べ、プロセスエンジニアが中に残ったウェーハを救えるかを判断します。止められた(ホールドされた)ロットを続行するか、リワークするか、スクラップにするかは、プロセスとプロセスインテグレーションがOCAPにしたがって判断し、決まりどおりでないロットを流すには逸脱の記録を書いて品質保証が確認します。生産管理は出荷日が動くかを計算し、営業担当がお客さんに伝えます。お客さんは工場の中を見られず、窓口の言葉を頼りに決めるので、調べたこととまだわからないことを分けて伝えます。工場の中の同僚に対しても同じで、落ち着いた言葉ではっきり伝えます。

よくある誤解

よく聞く開発ラインでつくれたなら、量産工場は条件を写すだけでいい。
実は同じ条件でも、別の装置で流すと結果が変わることがあります。部品のすり減り方も、装置そのものの状態も、1台ごとに少しずつ違うからです。量産工場には同じ種類の装置が何台もあり、どれも同じ結果が出るように合わせなければなりません。これを号機差の合わせ込み(ツールマッチング)といいます。渡したあとも、量産のはじめは、歩留まりがまだしばらく上がっていくのがふつうです。
よく聞くお客さんが急いでいるなら、もう1ロット投入すれば早く渡せる。
実は新しく投入したウェーハは最初の工程から全部やり直しで、また何か月もかかるので、近い日付には効きません。使える手札は、特急ロットにするか、すでにラインの後ろのほうまで来ているロットを先に回すかですが、どれを使っても、どこかのロットが遅れます。だから生産管理は「できます」と言う前に、誰がどれだけ遅れるかを先に計算します。

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遊ぶ

第5章「最後の空欄」から:明日量産工場に渡す標準プロセスに、警報の上限が1つだけ残っている →

考える

  1. 信頼性試験がまだ終わっていないのに、お客さんは量産工場で先に投入したいと言います(リスク投入)。合格すればお客さんは早くチップを受け取れますが、不合格なら先に投入したロットはまるごとスクラップになるかもしれません。あなたなら、両方の代償をお客さんにどう説明しますか?
  2. 作業手順書は、開発ラインで学んだことのない人が読むかもしれません。そのとおりにやって間違えないためには、どこまで書けばよいと思いますか? 書いただけでは伝わらないことは何でしょう?

授業の教材:スライド

この回の要点、図、装置、問いをまとめたスライドです。そのまま投影することも、自分のプリントに入れることもできます。

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この記事を引用する「半導体入門講座・第24回:開発から量産へ:誰が先で、どう引き継ぐか」fab24hr、更新。https://fab24hr.com/ja/learn/teamwork/