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新製品導入(NPI)とは? 新しいチップの試作から量産まで、どこで誰が引き継ぐのか

新製品導入(英語でNew Product Introduction、略してNPI)は、新しく設計したチップを、半導体工場で初めて作るところから、安定して大量に出荷できるところまで運ぶ一連の流れです。多くの会社では、この流れを取りまとめる人やチームのこともNPIと呼びます。製品を作る工場の多くで使う言葉で、チップの業界では、新しいチップを生産に乗せるこの段階を指すのがふつうです。

この道のりはリレーに似ています。設計、半導体工場、テスト、信頼性、顧客、量産工場がそれぞれ1区間ずつ走り、導入の担当者はコーチのように、どこでバトンを渡すかを決め、受け渡しを1回ずつ見守ります。

新製品導入と、新しい技術の開発はどう違う?

「新しい技術は、論文から量産まで何年かかる?」は、新しい材料や構造といった新しい作り方が、研究室から工場へ移るまでの話で、10年以上かかることもよくあります。この記事は、たいてい別の話です。新しく設計したチップを、すでに量産しているプロセスで作ること。プロセスそのものは検証ずみで、問われるのは「この設計が、このラインで安定して作れるか」です。

だから時間の桁が違います。ウェーハが工場を1回通るのに、業界ではよく平均3か月ほどと言われます(「ウェーハをつくるのにどれくらいかかる?」)。最初の版で問題がなくても、最初の投入から量産までは何か月もかかることがよくあります。1回改版すれば、もう1回工場を通るので、さらに長くなります。

試作から量産まで、1ステップずつどう進む?

ステップ1:顧客がテープアウトし、フォトマスクができる

  • 何をする:チップを設計した会社(半導体工場の顧客)が、最後の設計データを渡します。これがテープアウトです。続いてフォトマスクが一式作られます(「テープアウトとは?」)。
  • 誰が引き継ぐ:設計の人から半導体工場へ。導入の担当者はまず日程表を作ります。マスクがいつ届き、いつ投入し、サンプルがいつ必要か。
  • なぜ:どの段階も、前の段階を待っています。先に決めておかないと、装置や人の予定に入りきらず、どの段階も待ち時間が増えます。

ステップ2:最初の試作

  • 何をする:最初のロットがウェーハ投入され、工程を1つずつ進みます。新製品のいちばん初めの数ロットを試作と呼びます(「ウェーハ投入とは?」)。すでに量産しているプロセスなら、最初のロットから量産工場で流すことがよくあります。新しい工程を足す場合は、まず開発ラインで流すことが多いです(「開発ラインと量産工場は何が違う?」)。
  • 誰が引き継ぐ:工場の各工程の人たち。量産工場では、試作のロットも量産のロットと同じ装置を使うことがよくあります。導入の担当者は、これらのロットがいまどこにあるか、ホールドされていないかを毎日追います。
  • なぜ:少しだけ作ってみて初めて、この設計とこのラインが合うかがわかります。試作のウェーハは少ないので、1ロットに何かあれば、データの大きな部分が失われます。

ステップ3:測った結果を、設計とプロセスに返す

  • 何をする:ウェーハができたら、まずWATでプロセスがずれていないかを見ます。次にウェーハテストで1つずつ測り、ウェーハマップにして歩留まりを出します(「WATとは?」)。パッケージに入れたチップも基板に載せ、寒いとき、暑いとき、電圧が高いとき低いときに、実際に使うように動かしてみます。
  • 誰が引き継ぐ:プロセスが原因に見える問題は工場のエンジニアへ、設計が原因に見える問題は設計の人へ。
  • なぜ:同じ壊れ方でも、原因が設計のことも、プロセスのこともあります。渡す相手を間違えると、両方がむだに動くことになります。

ステップ4:改版、または条件の調整

  • 何をする:問題が設計にあれば、設計を直し、変わった層のマスクを作り直して、もう1ロット投入します。これが改版です。問題がプロセスにあれば、その工程を直すか、規格の範囲内で条件を調整します。
  • 誰が引き継ぐ:設計の人か、工場のエンジニア。導入の担当者は日程表を組み直し、各区間にどれだけ遅れるかを伝えます。
  • なぜ:1回改版すると、また何か月もかかるので、一度に何を直すかをよく考えます。すでに量産しているプロセスはほかの製品も使っているので、1つのチップのために気軽には変えられません(「半導体工場の変更管理とは?」)。

ステップ5:信頼性試験

  • 何をする:チップの一部を、高温で電圧をかけたまま長時間動かし、早く壊れないかを見ます。よくある項目がHTOLで、1000時間、約6週間です(「信頼性試験とは?」)。
  • 誰が引き継ぐ:信頼性試験室と品証。顧客が待てないときは、リスク投入の話になります。試験が終わる前に、量産工場で投入しておくことです。
  • なぜ:できたばかりのときに良品でも、何年も使ったあとまで良品とは限りません。同じプロセスで以前に試験したデータを、あわせて見られることもあります。

ステップ6:顧客がサンプルを確認する

  • 何をする:顧客(または顧客の顧客、つまりこのチップで製品をつくる会社)がサンプルを製品に組み込んで試し、承認してから、量産の注文が正式に入ります。
  • 誰が引き継ぐ:顧客。導入の担当者は顧客の質問を工場に持ち帰り、答えを届けます。
  • なぜ:チップが本当に使えるかは、実際の製品に入れてみて初めてわかります。自動車のような業界には、公開された標準の手順もあり、一式の資料を顧客に承認してもらってから、量産品を出荷します。

ステップ7:条件を固めて、量産に渡す(量産移管)

  • 何をする:各工程の装置と条件を、量産が従うPORに書き込み、固定します。それから審査で、リストを1項目ずつ確認します。歩留まり、信頼性、文書、教育、顧客の同意。開発ラインから量産工場へ渡すときは、これが技術移管審査です(「開発インテグレーションエンジニアは何をする?」)。
  • 誰が引き継ぐ:量産工場の製造部、プロセス、装置、生産管理。この日から、PORどおりに毎日作り、毎日計画を立てます。
  • なぜ:引き継ぐ人が試作に関わっていたとは限らず、書き残されたものだけで同じチップを作ります。リストから漏れたことは、そのまま量産工場の問題になります。

ステップ8:量産のあと、歩留まりをさらに上げる

  • 何をする:投入量をロットごとに増やし、歩留まりも段階的に上げていきます。いちばん多い壊れ方を探し、原因を突き止めて直し、次の壊れ方へ進みます(「チップが大きいほど、歩留まりが下がるのはなぜ?」)。
  • 誰が引き継ぐ:量産工場のエンジニアと、このチップのデータを見る製品エンジニア(「PEはプロセスエンジニア? それとも製品エンジニア?」)。
  • なぜ:原因を探す実験は装置の時間を使い、出荷と生産能力を取り合います。量産の立ち上げを調べた論文は、早く学んだことほど価値が大きいと指摘しています。

導入の担当者は、毎日何をしている?

職種名は会社によって違います。NPIエンジニア、新製品導入エンジニア、プロジェクトマネージャーと呼ばれることもあれば、開発インテグレーション、プロセスインテグレーション、製品エンジニアが兼ねることもあります。多くの会社は、この道のりをいくつかの関門に区切り、関門ごとに会議を開いて、渡すべきものがそろったかを確かめてから先へ進みます。毎日の仕事は、だいたい次の4つです。

  1. 日程を組む:各段階がいつ始まり、いつまでに渡すか。誰が誰を待っているか。
  2. ロットを1つずつ追う:試作のロットは少ないので、どれがいまどこにあり、何が測れたかを把握します。
  3. 会議を開き、問題を正しい人に振り分ける:どの問題にも担当者と回答の期日が必要です。誰の担当かはっきりしない問題ほど、放っておかれがちです。
  4. 決めたことをすべて記録する:なぜそう変えたのか、誰が同意したのか。何か月もあとで聞かれても、たどれるようにします。

すべての工程を自分でこなせる必要はありませんが、各工程が言っていることはわかっている必要があります。顧客にどうきちんと伝えるかは「後工程工場の顧客窓口は何をしている?」、量産が始まってから誰がロットの計画を立てるか、工場にどんな部署があるかは「半導体工場の生産管理は何をしている?」と「半導体工場にはどんな部署がある?」へ。

fab24hrでは

メインストーリー「チップの一生」は、架空の補聴器チップ「Glowmere」の導入そのもので、引き継ぐ人が次々に変わります。プロローグはテープアウトで、Glowmereの設計がフォトマスク一式になります。そのプロセスには新しいエッチング工程が1つ増えていて、最初のロットはまず開発ラインで流れます。第1章「12枚をどう分ける」はウェーハ投入の前日で、あなたは開発インテグレーションエンジニアです。第3章「不良の形」では、WATと3枚のウェーハマップを読みます。第4章「2週間前倒し」では、技術移管審査の前夜に8項目のチェックリストを確認します。その1つは顧客の同意書で、顧客は2週間早くチップがほしいとも言ってきます。第5章「最後の空欄」では、開発プロセスエンジニアがPORの最後の空欄を埋めます。そのあとGlowmereは量産工場、後工程工場へ進み、最後に使う人のもとへ届きます。

このうちの1人だけを遊ぶなら、「出勤」を押して「工場の一日」を選び、「今日のあなたは」のカードで「開発ライン」を押し、左右にスワイプして開発インテグレーションエンジニアを選びます。ゲームの会社、チップ、人物、ロット番号、日程は架空のものです。新製品導入とは何か、どこで誰が引き継ぐかは、公開されている一般的な資料をもとに書いています。実際の分担は会社によって違います。ほかの用語は「半導体工場の業界用語を、やさしく解説」へ。

ゲームのどこで出会うかメインストーリー「チップの一生」は、1つの新しいチップの導入そのものです。プロローグはテープアウト、第1〜5章は開発ラインで、最初の12枚の分け方、WATとウェーハマップから、技術移管審査の前夜の8項目のチェックリストまで。そのあと量産工場、後工程工場へと進み、引き継ぐ人が次々に変わります。

fab24hrでは、新しいチップが最初の12枚から出荷まで、たくさんの人の手を通ります。どの章でも、あなたはそのうちの1人です。

第1章から、新しいチップが次の人へ渡っていくのを見る

先生へ:この記事は「授業でfab24hrを遊ぶ」と組み合わせて授業で使えます。

この記事を引用する「新製品導入(NPI)とは? 新しいチップの試作から量産まで、どこで誰が引き継ぐのか」fab24hr、更新。https://fab24hr.com/ja/blog/npi/
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