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工場で働く約7分

半導体工場の生産管理は何をしている? 納期はどう決める?

生産管理(英語ではproduction control)は、半導体工場でお客さんが求める量と日付を、毎週・毎日ウェーハを何枚投入するか、どのロットを先に流すかに置き換える人たちです。装置が止まってロットが遅れたとき、「じゃあ、そのロットはいつ出せるの?」に答えるのは、たいてい生産管理です。

生産管理の仕事は、何に似ている?

ケーキ屋さんで誕生日ケーキを予約するところを想像してください。店員さんはすぐには「はい」と言いません。まず予約ノートをめくります。その日はもう何個入っているか、オーブンで1日に何個焼けるか、このケーキは何日かかるか。計算してから「土曜の午後なら受け取れます」と答えます。

生産管理は、工場でその予約ノートをめくる人です。違うのは、工場の「ケーキ」は仕上がるまでに何か月もかかること、「オーブン」はそれぞれ得意な仕事が違う数百台の装置であること、そして多くの場合、大勢のお客さんの注文が同時に並んでいることです(ほかの会社のチップをつくる工場については「ニュースの「ファウンドリ」とは?」へ)。

生産管理は、どんな計画を立てる?

一般的には、半導体工場の生産計画は「どこまで先を見るか」で3つの層に分けられます。

  1. 数年先:装置は足りるか、増やすか。
  2. 数か月先を、1週ずつ:毎週何枚ウェーハ投入するか、何枚仕上げるか、どの週にどのロットを出荷するか。これを基準生産計画(マスタースケジュール)と呼びます。
  3. 今日:今日はラインの各区間で何枚仕上げるか、どのロットをいちばん優先するか。

生産管理の仕事の多くは、あとの2つです。半導体工場の生産計画を扱う専門書も、決めることを同じように層に分けています。期間ごとにどれだけつくるか、いつ何枚投入するか、ラインでどのロットをどの装置に先に流すか、です。

納期はどうやって決まる?

ウェーハは投入から仕上がりまで何か月もかかります(なぜ投入の日から数えるのかは「ウェーハ投入とは? ロットの日数はいつから数える?」へ)。だから納期に向けた計画は、お客さんがほしい日から逆算して立てます。

  • お客さんがほしい日から、仕上がるまでの日数を引き、さらに少し余裕を見た日が、いちばん遅い投入日です。
  • その余裕をバッファと呼びます。どこかの工程が数時間遅れても、後ろにバッファがあれば吸収できて、出荷日は動きません。

仮の例です。1ロットが平均12週かかり、バッファを1週とるなら、納期の13週前には投入しなければなりません。

これだけ時間がかかるので、生産管理は注文が来てから考えていては間に合わないことがよくあります。やり方の1つは、まずお客さんの見込みをもとに生産能力を確保しておき、実際の注文が来たら、確保した枠から差し引くことです。お客さんに「できます」と言う前には、いちばん忙しい装置に空きがあるかも確かめます。

生産管理は毎日、どんな数字を見ている?

  • WIP:ライン上でまだ仕上がっていないロット、日本語では仕掛品。各ロットがどの工程に、どれだけ止まっているか(Move/WIP)。
  • サイクルタイム:1ロットが投入から仕上がりまでにかかった時間の合計。
  • 生産能力:装置が1日にこなせる量。ラインでいちばん遅く、いちばん詰まっている工程をボトルネックと呼びます。そこが1日にこなせる量が、ライン全体の1日の生産量の上限になります。

これらの数字はつながっています。ライン上のロットの量、1日に仕上がる量、1ロットがラインにいる時間のあいだには簡単な関係があり、「半導体工場の製造部は何をしている?」で説明しています。

もう1つ、直感に反することがあります。装置の予定を詰めるほどロットの待ち時間は長くなり、しかも比例して長くなるのではありません。満杯に近づいたところでもう少し詰めると、待ち行列が一気に長くなります。高速道路と同じです。空いているときは車が数台増えても何も変わりませんが、ほぼいっぱいのときに数台増えると、道全体が止まります。だから生産管理は計画を立てるとき、「装置を遊ばせない」と「ロットを待たせすぎない」のバランスをとる必要があります。

毎日の計画では、研究でよく見られるやり方があります。1か月でつくる量を、毎日、ラインの区間ごとに何枚仕上げるかに分け、各区間のロットが偏っていないかを見ます。たまりすぎた区間ではロットが行列をつくり、次の区間にロットがなければ、そこの装置が遊んでしまいます。

お客さんが前倒しを求めたら、どうする?

生産管理がいちばんよく聞かれて、いちばん答えにくい質問です。手札はだいたい3枚です。

  1. 特急にする:特急ロットはどの工程でも先頭に並びます。ただ、特急が速いのは、ほかのロットが道を譲っているからです。特急が増えると、ほかのロットははっきり遅くなります。
  2. 先に進んでいるロットを回す:同じ製品の別のロットが、すでにラインの後ろのほうまで来ていることがあります。それを急ぎの注文に先に回し、もともとの注文はあとのロットで埋めます。
  3. 追加で投入する:近い日付には効きません。新しいウェーハは最初の工程から全部やり直しで、また何か月もかかります。

どの手札を使っても、どこかのロットが遅れます。だから生産管理は「できます」と言う前に計算します。割り込ませたら誰が、どれだけ遅れるのか。その注文はまだ間に合うのか。割り込み注文を扱う研究論文も、まずこの計算をしてから、受けるかどうかを決めています。

だから良い答えには、条件がつくことがよくあります。たとえば「木曜に出せます。ただし、明日のその工程の測定が正常なら」。押し出されたロットのことも、早めに営業担当に伝えておくのが安心です。

生産管理と製造部は、どう分担している?

どちらもロットを見ていますが、見ている時間の長さが違います。一般的にはこうですが、実際の分担は工場によって違います。

だれどこまで先を見るかよく聞く質問
生産管理数日〜数か月何枚投入する? どのロットを優先? 納期に間に合う?
製造部このシフト、この数時間次のロットはどの装置へ? 止まった装置はどう迂回する?

生産管理が計画を立てます。何枚投入するか、どのロットを優先するか、いつまでにどの工程を出るか。製造部はラインでその計画に沿ってディスパッチし、ロットを装置から装置へ進めます。装置が止まったら、製造部はまずライン上のロットをどう回すかを考え、生産管理は出荷日が動くかを計算して営業担当に伝え、営業担当がお客さんに説明します。

fab24hrでは

fab24hrでは、「出勤」を押して「工場の一日」を選び、「今日のあなたは」のカードで「量産工場」を押し、左右にスワイプして生産管理を選びます。装置には触らず、ウェーハの良し悪しも判断しません。4つのシフトすべてで、同じ問いに答えます。ロットはいつ出せるのか。深夜シフトは朝5時半、自宅でスマホの夜間の仕掛品レポートを見ます。エッチング装置ETCH-03が夜中に止まり、特急ロットH-2417が中に残ったまま。営業担当から、出荷日は動くのかと電話が来ます。前の工程は半日遅れ。後ろのバッファで吸収できるのか、営業担当にどう答えるかを決めます。朝シフトは9時の生産会議。ETCH-03はチャンバーが1つだけになり、後ろに9ロットが待っています。先に面倒を見るのは、Qタイムが迫ったロットと、明日出荷の特急ロット。部品が付いただけでは数えません。テストランに通って、はじめて装置が戻ったことになります。昼シフトは、隣のETCH-05で手動投入のトラブルがあり、P-4K26がロットごとホールドされます。今週の出荷を組み直し、その後ろに並んでいたロットをどうするかも決めます。1日遅らせて今日のうちに営業担当に伝えるか、夜勤に急いでもらうか。夜シフトは、今月の生産量が少し足りず、部長がみんなに週末の残業を頼みたいと言います。まず、へこんだ日が装置の停止とホールドのせいなのか、人手不足のせいなのかを読み解きます。製造部を遊ぶと、昼シフトに超特急ロットの電話をかけてくるのが生産管理です。ゲームの会社、人物、装置番号、ロット番号、数字は架空のものです。生産管理が何をしているか、納期がどう決まるかは、公開されている一般的な資料をもとに書いていて、実際の分担は会社によって違います。ほかの用語は「半導体工場の業界用語を、やさしく解説」へ。

ゲームのどこで出会うか量産工場の生産管理を遊ぶと、4つのシフトすべてで同じ問いに答えます。ロットはいつ出せるのか。早朝の仕掛品レポート、9時の生産会議、出荷日が変わって組み直す今週の予定、そして少し足りない月末の生産量。

fab24hrで生産管理の一日を。夜中に装置が止まり、朝いちばんに営業担当から出荷日の電話。返す日付には、理由が要ります。

生産管理で遊び、「このロットはいつ出せる?」に答える

先生へ:この記事は「授業でfab24hrを遊ぶ」と組み合わせて授業で使えます。

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