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半導体入門講座・第11回

リソグラフィ:パターンを焼き付ける

リソグラフィは、チップのパターンをどこまで細かくできるかを決める工程です。もっとも精密な工程の1つで、最先端の露光装置はとても高価です。

わかること

リソグラフィの4つのステップ:削りたい層の上にフォトレジストを塗る。フォトマスク越しに光を当てる。現像して、光が当たったレジストを洗い流す。むき出しになった層をエッチングで削り、レジストを取り除く。
ここでは光が当たったレジストが洗い流されるタイプを描いています。反対に、光が当たらなかった部分が洗い流されるタイプもあります。簡略図:実際の露光装置ではマスクとウェーハのあいだにレンズがあり、マスクのパターンは4倍の大きさです。

一歩ずつ

  1. 黄色い照明の下でウェーハにレジストを塗り、高速で回して均一にし、軽く焼く。

    なぜレジストは光が当たると性質が変わるフィルムのようなもので、黄色い照明は青い光とそれより短い波長を除いています。

    しないとふつうの白い照明だと、次の工程を待つあいだにレジストが部屋の明かりで少しずつ感光し、だめになります。

  2. 露光装置に入れたら、すぐには露光せず、それまでの層のアライメントマークを探して、ウェーハ全体のずれと回転を計算する。

    なぜウェーハは置くたびに少しずつ位置が違い、前の工程でわずかにゆがんでいることもあるので、1点だけでは足りません。

    しないと合わせないまま露光すると、この層は下の層に重なりません。つながるべきところがつながらず、触れてはいけないところが触れます。

  3. 露光する。フォトマスクを通した光を、ショットごとにレジストへ当てる。

    なぜ光が通った部分だけレジストが変わります。マスクはふつう4倍の大きさで描いて縮小するので、誤差も小さくなります。

    しないとマスクに汚れが1つあると、どのショットにも同じ位置に焼かれ、多くのチップがいっしょにだめになることがあります。

  4. 現像する。もう一度焼いて反応を終わらせ、光が当たったレジストを現像液で洗い流す(ネガ型なら当たらなかったほう)。

    なぜ光が当たったところと当たらなかったところでは溶ける速さが違い、流したあとに残ったレジストがパターンになります。反応がどこまで進むかは、焼く温度と時間しだいです。

    しないとホットプレートの片側が冷えていると、ウェーハの片側だけ線幅が太く、片側だけ細くなります。現像の温度や時間が少しずれても、開けるべきところが開ききりません。

    最初の層の露光:塗布、ベーク、位置合わせ、露光、露光後ベークまで終わり、次は現像
    ゲーム fab24hr の画面です。装置、ロット番号、人物はすべて架空です。 ゲームでこの場面を遊ぶ →
  5. 線幅、欠陥、重ね合わせを測る。たとえば下の層に大きな四角、この層に小さな四角を焼き、小さな四角のずれを測る。

    なぜ許されるずれはいちばん細い線の何分の一かです。測ったずれは露光装置に返し、次のロットを先に逆向きへ直します(補正)。

    しないと測らなければ、ずれたままエッチングへ進みます。同じ装置ならずれ方はくり返しがちで、次のロットも同じようにずれます。

  6. うまく焼けていなければ、レジストを全部はがして塗り、露光、現像をやり直す(リワーク)。

    なぜ現像のあとは、パターンはまだレジストの上だけにあり、下の材料は少しも変わっていません。

    しないとエッチングに進めば削った材料は戻せません。リワークにも、もうひと回りと何時間もの待ちがかかります。

  7. 残ったレジストを型にしてエッチングかイオン注入へ渡し、終わったらレジストを取る。

    なぜレジストに覆われた部分は守られ、開いた部分だけが削られるか、原子を打ち込まれます。

    しないとレジストが取りきれないと残りかすが次の工程へ持ち込まれ、次の層がうまく育たず、くっつきません。

何を調整し、何に気をつけるか

要点の解説

なぜ「焼き付ける」のか:写真のように

スマートフォンのチップには100億個を超えるスイッチがあり、いちばん細い線は髪の毛より千倍以上も細いほどです。1本ずつ描くことはできず、全体をまとめてつくるしかなく、しかもどのウェーハでもまったく同じに仕上げなければなりません。リソグラフィ(台湾の工場では照明の色から「黄光」と呼ばれます)は、光で回路のパターンをひとまとまりで焼き付けます。写真と同じで、シャッターを切れば画面全体が一度にフィルムに写ります。チップは層ごとに形が違い、それぞれ専用のフォトマスク(露光のための「ネガ」)を使うので、ウェーハは完成までに何十回もリソグラフィに戻ってきます。焼いたパターンはまだレジスト(光に反応する膜)の上にあるだけで、次はたいていエッチングが覆われていない材料を削ります。層によってはイオン注入に渡し、レジストがふさいだところには原子が入りません。

レジストは光に反応する:ポジ型とネガ型、そして照明は黄色い

レジストはウェーハに塗る、光に反応する膜で、光が当たったところだけ性質が変わります。写真フィルムの感光層のようなものです。フォトマスクはとても平らなガラス板で、光を遮る薄い膜が回路の形に付いているので、変わるのは光が通った部分のレジストだけです。変化は目に見えず、現像液で洗ってはじめて現れます。ポジ型レジストは光が当たったところが溶けやすくなって流れ、残るパターンはマスクで光を遮った部分と同じになります。ネガ型はその逆で、光が当たったところが残ります。古いネガ型は有機溶剤で現像するため、残ったレジストが溶剤を吸ってふくらみ、近くの線どうしがくっついてしまいました。ポジ型はアルカリ性の水溶液で現像し、こうしてふくらむことがないので、細かいパターンはほとんどポジ型に替わり、ネガ型はいま、膜をとても厚く塗りたいところでもよく使われます。レジストが反応するのは青い光と紫外線で、ふつうの白い照明にも含まれているため、次の工程を待つあいだに部屋の明かりで少しずつ感光してしまいます。そこでこのエリアでは、青い光とそれより波長の短い光を取り除いた照明を使い、残った光が黄色く見えるのです。

装置の中のひと回り:塗る、合わせる、露光、焼く、現像

レジストを塗る、焼く、現像するは、ふつう1台のコータデベロッパで行います。露光装置とつながっていて、ウェーハは2台のあいだを自動で行き来します。まずウェーハの中心にレジストを少し垂らし、高速で回して余分を飛ばし、1マイクロメートルほどかそれ以下の膜を残して、軽く焼いて溶剤を飛ばし、膜を安定させます。露光装置では、まずそれまでの層が残したアライメントマーク(たいていはチップとチップのあいだの細い帯の上)を探していくつも測り、ウェーハ全体がどれだけずれ、どれだけ回り、少し伸びていないかを計算してから、各ショットをどこに焼くかを決めます。1層目には下に合わせる相手がまだなく、ウェーハの縁の小さな切り欠きで向きをそろえるだけです。マスクのパターンはふつう実物の4倍で描かれ、レンズで縮小して、ショット(2〜3センチ四方ほど)を1つずつ焼きます。露光が終わるとすぐ、ホットプレートでもう一度焼きます。深紫外線用のレジストの多くは、光がつくるのはほんの少しの酸だけで、ベークのあいだに反応が次々に進みます。どこまで進むかは温度と時間しだいなので、ホットプレートが1℃ずれるだけで線幅が数ナノメートル変わることがあります。焼いたら現像します。

波長が短いほど細く焼け、難しくもなる

どこまで細く焼けるかは、おもに光の波長で決まります。光はフォトマスクのとても細いすき間を通ると少し広がり、波長が短いほど広がりにくく、線がくっきり焼けるからです。ペン先が細いほど細い線が描けるのと同じです。だから何十年ものあいだ、露光に使う光はどんどん短い波長に変わり、今よく使われる深紫外線は193ナノメートルです。いちばん進んだ極端紫外線(EUV)は約13.5ナノメートルですが、ほとんどのものに吸収されてしまいます。光の通り道はすべて真空にし、ガラスのレンズが使えないので何十層もの薄い膜を重ねた鏡を使い、光源には毎秒何万個もの小さなスズの粒にレーザーを当てます。

193ナノメートルで数十ナノメートルを焼くには:水を入れ、何回かに分ける

波長のほかに、レンズがどれだけ斜めの光まで取り込めるか(開口数、NAといいます)も効きます。斜めの光まで取り込めるほど細く焼けますが、ピントが合う範囲は浅くなります。レンズとウェーハのあいだが空気だと、斜めすぎる光はレンズから出られないので、開口数は必ず1より小さくなります。そこに超純水を入れると、光は水の中では空気中よりゆっくり進むので、はね返されていた斜めの光も水に入ってウェーハまで届き、開口数は約1.35まで上がります。これが液浸露光で、193ナノメートルの光でも1回の露光で、びっしり並んだ線を40ナノメートル前後の幅まで焼けます。それより細くするには、1つの層を2回、3回に分けてつくります。これをマルチパターニングといいます。線を1本おきに2枚のマスクに分けて別々に焼くか、まばらな線を先につくり、その両側につけた膜を新しい線にして間隔を半分にし、もう一度くり返せば4分の1です。そのかわりマスクも工程も増え、位置合わせも厳しくなります。EUVに替えると、そうした層の一部を1回で焼けます。ピントが合う範囲がこれほど浅いと、表面の高さの差が大きければぼやけるところが出て線幅が狂うので、必要なら前もってCMP(化学機械研磨)で平らに磨きます。

まず重ね合わせを測る:エッチングの前ならやり直せる

上の層の配線は下の層のスイッチにぴったり届かなければなりません。この層が下の層とどれだけ正確に合っているかを重ね合わせといい、許されるずれはいちばん細い線の何分の一かです。だからロットごとに、現像のあとで線幅(線がどれだけの幅で焼けたか)、欠陥、重ね合わせを測ります。重ね合わせは、フォトマスクが測定用に焼くマークで測ります。たとえば下の層に大きな四角、この層にはその内側に小さな四角です。1ロットから数枚、1枚から数ショットを選び、小さな四角が真ん中からどれだけ、どちらへずれているかを光で測ります。ずれ方は左右・上下、回転、倍率に分かれ、測った分を露光装置に返して、次のロットではその逆向きに少し調整します。これが補正です。規格を外れたら、まずロットをホールドします。エッチングに進む前ならレジストをまるごとはがして焼き直せます。これがリワークで、もう一周と何時間もの待ちがかかります。エッチングに進めばもう戻れないので、この測定はとても大事です。

よくある誤解

よく聞くリソグラフィのエリアが黄色いのは、働く人の目を守るため。
実は違います。黄色はレジストのためです。レジストは青い光と紫外線に反応し、黄色い光では感光しません。黄色い照明のエリアで働く人のほうがむしろ目が疲れやすいという研究もあり、黄色い光の下では赤やオレンジ、白の区別もつきにくくなります。
よく聞くEUVができたので、それまでの露光装置はもういらない。
実は今も使います。チップは何十層もあり、どの層も同じほど細いわけではありません。EUVを使うのはいちばん細い層だけで、ほかの層はこれまでどおり深紫外線で足ります。

見る:分解して見られる装置

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遊ぶ

リソグラフィのプロセスエンジニアとして1シフト遊ぶ:回路パターンをウェーハに焼き付ける →

考える

  1. 次の層を焼き付ける前には、下の層に位置を合わせる必要があり、わずかなずれでウェーハ全体が使えなくなることもあります。あなたの生活で「前の層にぴったり合わせなければならない」のはどんなことですか? ずれたらどうなり、合っているかをどう確かめますか?
  2. 最先端の露光装置はとても高価です。装置がそれほど高いことは、チップの値段や、だれが最先端のチップをつくれるかに、どんな影響を与えるでしょう?

授業の教材:スライド

この回の要点、図、装置、問いをまとめたスライドです。そのまま投影することも、自分のプリントに入れることもできます。

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