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チップのつくり方約8分

フォトレジストとは? ポジ型とネガ型は何が違う?

フォトレジスト(単にレジストとも)は、ウェーハに塗る感光性の膜です。光が当たったところの性質が変わり、薬液で洗い流すと、回路のパターンがウェーハの上に残ります。写真フィルムの感光層のようなものです。種類は2つあります。ポジ型レジストは光が当たったところが溶けて流れ、ネガ型レジストは逆に、光が当たったところが残ります。

フォトリソグラフィ(略してリソグラフィ)全体の流れは「フォトリソグラフィとは?」に、そのエリアの照明がなぜ黄色いのかは「リソグラフィのエリアは、なぜ黄色い照明なのか」にあります。この記事では、レジストそのものの話をします。

フォトレジストは何でできている?

ボトルの中のレジストは、少しとろみのある液体で、おもに3つの成分からできています。

  • 樹脂:プラスチックの仲間の長い分子。塗ったあと、膜の骨組みになります。
  • 感光成分:光が当たると化学変化を起こし、そこがあとで溶けるかどうかを決めます。
  • 溶剤:レジストを液体にして、塗り広げられるようにします。塗ったあと、ほとんどはベークで飛ばします。

露光した直後は、まだパターンは見えません。現像前のフィルムと同じで、光が当たったところは、現像液への溶けやすさがまわりと変わっているだけです。

ポジ型とネガ型は何が違う?

ポジ型レジストネガ型レジスト
光が当たったところ溶けやすくなり、流れる分子どうしがつながって溶けにくくなり、残る
残るパターンフォトマスクで光をさえぎった部分と同じフォトマスクと逆
ふつうの現像液アルカリ性の水溶液古いタイプは有機溶剤
いまのおもな用途チップの細かいパターンの大部分とても厚い膜、MEMS(微小電気機械システム)

初期の集積回路では、ネガ型がおもに使われていました。ところが古いネガ型は有機溶剤で現像するため、残ったレジストが溶剤を吸ってふくらみます。線がゆがみ、近くの線どうしがくっつくこともあって、数マイクロメートルの幅が限界でした。ポジ型はアルカリ性の水溶液で現像し、こうしてふくらむことがないので、パターンが細かくなるにつれて、ほとんどがポジ型に替わりました。ネガ型はいま、膜をとても厚く塗りたいところでもよく使われています。

なぜ光が変わると、レジストも変わるのか?

レジストは光を吸わないと反応しません。でも吸いすぎると、膜の下のほうに光が届きません。初期のレジストは青紫の光や紫外線に合わせてつくられていました。露光の光が波長の短い深紫外線に替わると、古い配合では吸収が強すぎて、材料を替えるしかありませんでした。深紫外線がさらに248 nmから193 nmに替わったときも、材料が不透明すぎて、もう一度替わっています。極端紫外線はまた別の話で、「極端紫外線(EUV)とは?」をどうぞ。

レジストは、塗ってからはがすまで、どんなステップを通る?

塗布、ベーク、現像はたいてい1台のコータデベロッパで行い、この装置は露光装置とつながっています。

ステップ1:洗浄、乾燥、下地処理

  • 何をする:ウェーハを洗って乾かし、密着をよくする薬剤(よく使われるのはHMDS)の蒸気で、表面にごく薄い層をつけます。
  • なぜ:シリコンや酸化膜の表面は水をつかまえやすく、そのままではレジストがよくくっつきません。この下地処理で表面が水をはじくようになり、レジストが密着します。
  • しないと:現像やそのあとの薬液処理のときに、水がレジストの下にもぐりこみ、細い線がはがれてしまいます。

ステップ2:スピンコート、薄く平らに広げる

  • 何をする:ウェーハの中心にレジストを少し垂らし、1秒に数十回転させて、余分を振り飛ばします。ふちに盛り上がった輪は、溶剤で洗い落とします。
  • なぜ:回しながら振り飛ばし、溶剤も飛んでいくので、膜はどこも同じ厚さで固まります。速く回すほど薄くなりますが、比例はしません。回転数をおよそ4倍にして、厚さがやっと半分です。レジストがとろりとしているほど厚くなるので、厚さはおもにレジストの選び方で決め、回転数で微調整します。
  • しないと:厚いところと薄いところができると、同じ光でも厚いところでは足りず、薄いところでは多すぎて、線幅がずれます。ふちの輪を落とさないと、あとではがれてパーティクルになります。

ステップ3:プリベーク(ソフトベーク)、溶剤を飛ばす

  • 何をする:ホットプレートにのせ、100℃前後で1〜2分焼きます。
  • なぜ:塗ったばかりの膜には、まだ溶剤がたくさん残っています。ほとんどを飛ばすと、膜が安定し、よく密着します。
  • しないと:焼き足りないと、露光も現像も思いどおりになりません。焼きすぎると、熱で感光成分が先に壊れ、レジストの感度が落ちます。

ステップ4:露光、パターンを光で写す

  • 何をする:光がフォトマスクを通ってレジストに当たり、当たったところが化学変化を起こします。
  • なぜ:光が当たったところだけが変わるので、パターンが区別できます。
  • しないと:光が多すぎても少なすぎても、線が太すぎたり細すぎたりします。下の層とずれると、上下がつながりません。「重ね合わせとは?」をどうぞ。

ステップ5:露光後ベーク(PEB)、反応を最後まで進める

  • 何をする:露光が終わったらすぐ、ホットプレートでもう一度焼きます。これが露光後ベークです。
  • なぜ:深紫外線用のレジストの多くは「化学増幅型」です。光がつくるのはほんの少しの酸だけで、ベークのあいだに酸の1つ1つが次々に反応を起こします。だから少ない光で足りますが、反応がどこまで進むかは、温度と時間しだいです。
  • しないと:ホットプレートの温度が1℃ずれるだけで、線幅が数ナノメートル変わることがあります。片側だけ冷えたプレートなら、ウェーハの片側だけ太く、片側だけ細くなります。露光からベークまで長く置くと、空気中のごくわずかなアルカリ性のガス(アンモニアなど)が表面の酸を中和し、線の上に溶けない「ふた」が残ります。

ステップ6:現像、パターンがあらわれる

  • 何をする:現像液をかけて、溶かすべきところを溶かし、水ですすいで振り切り乾燥します。これが現像です。
  • なぜ:光が当たったところと当たらなかったところでは溶ける速さが違うので、流したあとに残ったものがパターンになります。
  • しないと:温度や時間が少しずれると、開けるべきところが開ききらなかったり、残すべきところが少し削れたりして、線幅がまた変わります。

ステップ7:ハードベークと検査

  • 何をする:多くの工程では、もう一度焼いてレジストを硬くし、そのあと線幅や位置合わせを測り、欠陥がないかを見ます。
  • なぜ:レジストはこのあと盾になるので、硬いほうが持ちこたえます。そして、ここがやり直せる最後のタイミングです。
  • しないと:熱すぎると、レジストがやわらかくなって流れ、角が丸くなり、あとで除去しにくくなります。検査しないまま進むと、まちがったパターンがウェーハに削り込まれます。焼き付けをまちがえたら、はがしてやり直します。これがリワークです。

ステップ8:エッチングやイオン注入の盾になる

  • 何をする:ウェーハはエッチングやイオン注入へ進みます。レジストにおおわれたところは守られ、むき出しのところが削られたり、原子を打ち込まれたりします。
  • なぜ:エッチングもイオン注入もウェーハ全体にいっぺんにかかるので、レジストが型紙の役をします。
  • しないと:レジストが薄すぎると、削り終わる前にレジストのほうが先になくなります。現像後に長く置きすぎても、層によってはやり直しです。「Qタイムとは?」をどうぞ。

ステップ9:レジスト剥離、役目を終える

  • 何をする:ドライでは、酸素のプラズマでレジストを「燃やして」ガスにし、排気します。これがアッシング(灰化)です。ウェットでは、強い酸に過酸化水素水を混ぜたような薬液で溶かします。両方を続けて使うことも多く、最後にもう一度洗浄します。
  • なぜ:レジストは一時的な型紙にすぎず、残せば汚れになります。
  • しないと:残りかすがウェーハといっしょに次の工程へ運ばれます。イオン注入を受けたレジストは、表面が硬い殻になり、特に落としにくくなります。洗浄については「ウェーハ洗浄とは?」をどうぞ。
リソグラフィの4つのステップ:削りたい層の上にフォトレジストを塗る。フォトマスク越しに光を当てる。現像して、光が当たったレジストを洗い流す。むき出しになった層をエッチングで削り、レジストを取り除く。
ここでは光が当たったレジストが洗い流されるタイプを描いています。反対に、光が当たらなかった部分が洗い流されるタイプもあります。簡略図:実際の露光装置ではマスクとウェーハのあいだにレンズがあり、マスクのパターンは4倍の大きさです。

fab24hrでは

fab24hrでは、「出勤」を押して「工場の一日」を選び、「今日のあなたは」のカードで「量産工場」を押し、左右にスワイプしてプロセスエンジニアで止め、名前の下の「リソグラフィ」を押すと、リソグラフィのプロセスエンジニアになります。深夜、コータデベロッパTRK-02のレジストボトルが空になりかけます。新しいレジストには小さな泡が入っていて、抜けるまで何時間も待ちます。下流が止まっているうちに替えるか、朝のシフトに任せるか。昼は、TRK-01で順番に使う4枚のホットプレートの1枚が片側だけ冷え、そこで焼いたウェーハは線幅が片側だけ太く、片側だけ細くなります。どれをリワークするかを選びます。

開発ラインのリソグラフィ(カードで「開発ライン」を押す)でも、深夜に新しいボトルに替わります。冷蔵庫から出して1時間しかたっておらず、ロット番号も違うので、膜がいつもより厚くなり、いつもどおりの光の量では、片側の穴の底にレジストが残ります。メインストーリー「チップの一生」の第2章「一工程ずつ」では、開発ラインで自分の手でレジストを塗り、焼き、露光し、現像して、最初のパターンを焼き付けます。ゲームに出てくる会社・人物・装置番号は架空です。レジストのしくみと各ステップは、公開されている一般的な資料をもとに書いています。用語は「半導体工場の業界用語を、やさしく解説」へ。

ゲームのどこで出会うかリソグラフィのプロセスエンジニア(量産工場 › プロセス › リソグラフィ)を遊ぶと、深夜にコータデベロッパのレジストボトルが空になりかけ、昼はホットプレートの1枚の片側が冷えて露光後ベークがむらになり、線幅が片側だけ太く、片側だけ細くなります。

fab24hrのリソグラフィのプロセスエンジニアは、レジストの各ステップを見守ります。ボトル交換、ベーク、現像、そしてリワークするかどうか。

リソグラフィのプロセスエンジニアで、レジストの各ステップを見守る

先生へ:この記事は「授業でfab24hrを遊ぶ」と組み合わせて授業で使えます。

この記事を引用する「フォトレジストとは? ポジ型とネガ型は何が違う?」fab24hr、更新。https://fab24hr.com/ja/blog/what-is-photoresist/
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