半導体工場には誰がいる
10の役割、うち6つはそのままプレイできます
半導体工場は24時間止まりません。同じ1台の装置がダウンしても、技術員、製造部、プロセス、装置、リソグラフィ、インテグレーション、課長では、見えているものが違います。以下、役割ごとに、一日の流れ、いちばん怖いこと、fab24hrのどこで出会うかをまとめました。「この役でプレイ」があるものは、そのままゲームに入り、その人の目で1シフトを過ごせます。装置、ロット番号、登場人物は架空です。仕事の内容は、公開されている論文、業界標準、大学の教材、業界での公開の議論をもとにまとめています(「fab24hrとは?」ページの「参考にした資料」を参照)。
技術員(オペレーター) · 製造部(MFG) · プロセスエンジニア(PE) · 装置エンジニア(EE) · リソグラフィエンジニア(フォトリソグラフィ) · 開発インテグレーションエンジニア(開発ライン) · 開発プロセスエンジニア(開発ライン) · プロセスインテグレーション(PIE) · 課長 · メーカーのエンジニア
技術員(オペレーター)
装置の前に立つ人。ランプを見て、SOPどおりに操作します。12インチ工場ではロットの多くをOHTが運びますが、OHTが届けられないものやトラブルが起きたものは、技術員がロットを置き、取り出します。装置のランプが点いたら、OCAPに従ってまず止め、まず報告します。
一日の流れ
- シフト開始 前のシフトと1台ずつ引き継ぎ:どの装置が動いていて、どのロットが待っているか
- シフト中 装置を巡回し、ロットを置いては取り出し、シグナルタワーを見る
- ランプが点いたら OCAPに従ってまず止め、まず報告する。自分でリセットは押さない
- 退勤前 終わらなかった作業を引き継ぎ表に書く
いちばん怖いこと
- まだ認定を受けていない装置の操作を頼まれる
- ランプが点いたけれど、押していいのかわからない
- 特急ロットが次々に割り込み、手元のロットが後回しになる
ゲームでは
メイリン(18年目)とジャー(入社3か月)。製造部のストーリーでは、二人と一緒に台車を押し、認定を持つ人が戻ってくるのを待ちます。
製造部(MFG)
ロットを動かし続ける人たち。ディスパッチをし、Moveを追い、Qタイムに目を光らせます。装置のランプが点いたとき、最初に気づくのも製造部です。
一日の流れ
- 07:30 交代。夜勤と1台ずつ引き継ぎ
- 08:30 朝会でMoveとWIPを報告
- 終日 ディスパッチ:どのロットをどの装置に先に流すか。Qタイムが迫っているものから
- ランプが点いたら OCAPに従ってロットをホールドし、装置の担当者に電話する
- 19:30 夜勤への引き継ぎ
いちばん怖いこと
- 装置がダウンしたのに、いつ直るか誰も答えられない
- 特急ロットが割り込み、後ろのロットがQタイムを超える
- 引き継ぎ表の書式に、書く欄がないこと
ゲームでは
製造部の4つのシフト:夜中にオンコールのエンジニアへかける電話、ETCH-03が止まった朝、割り込んでくる超特急ロット、1行足りない引き継ぎ表。遊びの中心はディスパッチボードです。
プロセスエンジニア(PE)
何台かの装置がつくるものが正しいかを見る人。測定結果や管理図を見て、レシピを管理します。装置が直ったら、テストランの結果を見て、生産に戻せるかどうかを決めます。
一日の流れ
- 深夜 オンコール:装置にトラブルが起きると、夜勤の最初の電話はあなたにかかってくる
- 08:30 朝会で装置の状況を報告
- 午前 装置エンジニアと一緒にアラームの手がかりを追い、プロセスとロットに影響があったかを判断する
- 午後 復旧のあとテストウェーハを流し、途中で止まった1枚を追加で処理する
- 夕方 不具合報告書を書き、まだ誰も対応していない黄ランプを見る
いちばん怖いこと
- 「いつ直る?」と聞かれても、答えられるのは「いつわかるか」だけ
- 手動操作では、システムが止めてくれない
- 管理図がじわじわずれていくのに、誰も見ていない
ゲームでは
もともとのメインストーリー:エッチングの1工程を担当します(ETCH-03はそのうちの1台)。深夜02:47の電話から、夜の退勤まで。
装置エンジニア(EE)
装置を動かす人。メンテナンス、部品交換、アラーム対応。直したら、プロセスに渡してテストランをしてもらいます。
一日の流れ
- 深夜 オンコール:夜勤から装置の写真が届き(実際の工場で撮影できるか、どう送るかは工場ごとに違います)、家にいながら出勤するかどうかを判断する
- 午前 チャンバー開放、部品交換、真空引き、リークチェック
- 午後 メンテナンス、予備品の手配
- 夕方 装置監視システム(FDC)の警報:本物と誤報を見分ける
いちばん怖いこと
- 生産側は生産能力が欲しいので、メンテナンスはいつも延期を求められる
- 予備品が切れて、ほかの課から借りるしかない
- 警報のしきい値がきつすぎると呼び出されて眠れず、ゆるすぎるとじわじわ悪くなるものが見えない
ゲームでは
装置エンジニアの4つのシフト:電話3件、チャンバー開放で静電チャック交換、部品が足りない、誤報が止まらない。
リソグラフィエンジニア(フォトリソグラフィ)
回路パターンをウェーハに焼き付ける工程の担当:レジスト塗布、露光、現像。この工程での失敗は、まだ洗い流してやり直せます。エッチングのあとは、もう戻れません。
一日の流れ
- 深夜 オンコール:下流の装置が止まった。現像を終えたロットがエッチングの手前で長く待たされないよう、まだ露光中のロットを先に止めるかを決める
- 午前 測定結果を見る:線幅と重ね合わせ(この層が下の層とどれだけ正確に合っているか)。規格外なら、リワークするかを判断する
- 午後 コータデベロッパと露光装置のメンテナンス後の確認。本当にリワークが必要なウェーハを選び出す
- 夕方 現像後検査で見つかった欠陥:ウェーハ上のものか、フォトマスク上のものかを見分ける
いちばん怖いこと
- 1ロットの位置がずれたままエッチングに入ると、もう戻せない
- リワークはタダではない:やり直すたびに、ウェーハは処理を1回多く受ける
- フォトマスクの小さな1点が、すべてのショットの同じ位置に写る
ゲームでは
リソグラフィの4つのシフト:下流が止まる、アライメントが規格外、リワークするウェーハ選び、マスクの上の1点。
開発インテグレーションエンジニア(開発ライン)
新製品が初めて工場でつくられる、その最初の数ロットの担当です:実験をどう分けるか、出てきたデータが何を語っているか、いつ量産工場に渡せるか。
一日の流れ
- ウェーハ投入前 装置や分析の担当者とスプリット実験を組む:何枚をどの条件にするか
- ウェーハ投入後 すべての工程を見張る:装置のダウン、待ち時間の超過が迫る。夜中でも電話が来る
- データが戻ったら 電気特性の測定、ウェーハマップ、断面解析の写真:不良の形から原因を探す
- 量産に渡す前 技術移管審査:条件、信頼性、作業手順書を1項目ずつ確認する
いちばん怖いこと
- ウェーハはその数枚だけ。どの1枚もチャンスは1回きり
- 顧客は前倒しを望んでいるのに、信頼性試験がまだ終わっていない
- 量産で問題が起きたとき、直接測れるものがない
ゲームでは
開発インテグレーションの4つのシフト:Qタイム、12枚をどう分けるか、不良の形、2週間の前倒し。カードのいちばん上で「開発ライン」に切り替えます。
開発プロセスエンジニア(開発ライン)
新しいプロセスの中の、ある1ステップの条件の担当です:装置をどう動かすか、できた形が正しいか。安定したら、量産工場に渡す標準プロセスとして書き上げます。
一日の流れ
- 深夜 分析室から断面解析の写真が届く:形がおかしい。後ろのウェーハを先に止めるか
- 午前 開発ラインでは、同じ種類の装置が1、2台しかないことが多い。新しいステップを流せる唯一の1台が壊れたら、スケジュールをどう組むか
- 午後 システムと装置の記録を突き合わせ、間違って流れた数枚を見つける
- 量産に渡す前 すべての数値を標準プロセス(POR)に書き込む。警報をどこに設定するかも含めて
いちばん怖いこと
- 数値を1つ変えると、これまで検証したものをすべてやり直すことになる
- 同じ種類の装置が1台しかない
- 標準プロセスに書いた数値を、量産工場は何年も使い続ける
ゲームでは
開発プロセスの4つのシフト:ボイド、唯一の1台、一字違い、最後の1マス。最後の1マスに書き込む数値が、量産工場の深夜02:47の電話につながります。
プロセスインテグレーション(PIE)
ロットの責任者。フロー全体の歩留まりを見て、ホールドされたロットを続行するか、リワークするか、スクラップにするかを決めます。
一日の流れ
- 08:00 担当製品がゆうべどこまで進んだか、どのロットがホールドされたかを確認
- 08:30 朝会で特急ロットの進み具合を報告
- 10:00 ホールド中のロットを判定:続行、リワーク、スクラップ
- 午後 測定データと電気特性を見て、歩留まりを追う
- 終日 「このロットはいつ出ますか」に答える
いちばん怖いこと
- ロットがホールドされているのに、理由の欄が空っぽ
- どの工程も、問題はうちではないと言う
ゲームでは
ヤーティン。プロセスエンジニアのストーリーでは、彼女の特急ロットがあなたの装置の中で止まっています。
課長
1つの課の責任者。上には報告し、下には「いつになるか」を聞きます。
一日の流れ
- 07:45 夜勤の異常まとめを見る
- 08:30 朝会の司会
- 10:00 部門会議で、なぜ赤ランプが点いているのかを聞かれる
- 16:30 不具合検討会の司会
- 夜 当番の携帯を持つ。重大な異常は上に報告
いちばん怖いこと
- 赤ランプが点いているのに、誰が対応しているのか誰も言えない
- 同じことが2度起きる
ゲームでは
チェン課長。朝会、検討会、そして退勤直前の「あとひとつだけ」の電話。
メーカーのエンジニア
装置メーカーから派遣されてくる人。部品と工具を持ってきて、防塵服に着替えてからでないと工場に入れません。
一日の流れ
- 修理の依頼を受けたら 部品は拭いてからパスボックスで中へ。本人はエアシャワーの外で着替え、案内を待つ
- 装置のそばで メーカーの手順どおりに分解・組み立て・調整する
- 帰る前 サービスレポートを残す
いちばん怖いこと
- 夜中に呼び出される
- 来てみたら、部品の問題ではなかった
ゲームでは
エアシャワーの外で、部品を届けようと待っている人。装置エンジニアの朝シフトで、新しい静電チャックを持ってくるのがこの人です。
この人たちはどうつながっているか
装置が1台ダウンした夜。技術員は赤ランプを見て、OCAPに従って止めます。製造部はロットをホールドし、オンコールに電話します。プロセスエンジニアは、プロセスと止まったロットに影響があったかを判断します。装置エンジニアはチャンバー開放が必要かを判断し、開けて部品を交換します。インテグレーションは、止まっていた1枚をどうするかを決めます。課長は朝会で「いつ直る?」と聞きます。
fab24hrの量産工場でプレイできる4つの役割は、同じ1日を過ごしています。製造部が夜中にかける電話は、プロセスエンジニアにかかります。プロセスエンジニアが朝に読む引き継ぎ表は、製造部が書いたものです。プロセスエンジニアが夜に見ている黄ランプは、装置エンジニアの側から見ると、監視システムのしきい値です。エッチングが夜中に止まると、リソグラフィ側で現像を終えたロットが、その手前に並び始めます。開発ラインの2つの役割は、その約半年前の話です。同じチップの初めての試作で、安定してはじめて量産工場に渡されます。
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