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工場の中約7分

ウェーハ投入とは? ロットの日数はいつから数える?

ウェーハ投入とは、ウェーハのロットを生産ラインに載せ、最初の工程を始めることです。単に「投入」とも言い、英語では wafer start。工場が1か月に何枚投入するかは、英語で wafer starts per month と書きます。ウェーハ投入の日から、ロットは何百もの工程を1つずつ進みます。工場の多くの時間や数字も、この日から数えます。

投入の日には何が起きる?

工場では、ウェーハはロット単位で流れます。12インチの工場では、1ロットはふつう密閉されたウェーハケースFOUP1つに入っていて、1ケースに最大25枚です(ケースが工場の中をどう移動するかは「ウェーハは工場の中をどう移動する?」へ)。

投入の前に、2つのものを用意しておく必要があります。

  • フォトマスク:回路パターンを焼き付けるための「ネガ」。チップの設計が渡され、マスクができてはじめて、工場は焼き付けるものを手にします。
  • ルート:このロットがどの工程を回り、それぞれどんな条件(レシピ)で処理するか。とても長い旅程表のように、前もって決めておきます(レシピについては「半導体のレシピとは?」へ)。

投入した瞬間、システムがロットにロット番号をつけ、製造実行システムMESが記録を始めます。いまどの工程にいて、次はどこへ行くのか。そのあとは工程に着くたびに、システムが作業票を出し、装置と人に、このロットをどう処理するかを伝えます。

この時点のウェーハは、まだ何もない、ぴかぴかのシリコンです。多くの流れで、最初の工程は洗浄です。目に見えない微粒子や金属を洗い落としてはじめて、次の工程できれいな最初の層をつくれます。

なぜ投入の日から数えるのか

田植えにたとえてみます。苗を植えた日に、いつ、どれだけ収穫できるかがほぼ決まります。途中で増やしたくなっても、もう一度植えて、育つのを待つしかありません。ウェーハも同じで、次の3つをこの日から数えます。

  1. サイクルタイム:投入から、そのロットが完成して工場を出るまでの時間です。業界でよく言われるのは平均3か月ほどで、先端の、層の多いプロセスほど長くなります。その大半は加工ではなく、装置の前での順番待ちです。
  2. 納期:平均どれくらいかかるかがわかれば、投入の日から数えて、いつごろ完成し、いつお客さんに渡せるかを見積もれます。ウェーハが完成したあとも、パッケージングとテストを経て、ようやく使えるチップになります。
  3. 出荷量:数か月後にどれだけ出荷できるかは、投入した日にほぼ決まります。途中で増やしたくても、追加のウェーハは最初の工程からやり直しで、また数週間から数か月かかります。

だから、いつ何枚投入するかは、ふつう生産管理が注文と生産能力を見て決めます。お客さんが特に急ぐロットは特急ロットにでき、どの工程でもいちばん前に並びます。

「月の投入枚数」とは?

ニュースや業界レポートが工場の大きさを語るとき、よく「月産◯万枚」という生産能力を使います。これは、その工場が1か月に投入できるウェーハの最大枚数のことで、英語の wafer starts per month です。実際に投入する枚数は注文しだいで、毎月いっぱいとは限りません。

ウェーハにはいくつかのサイズがあるので、集計ではひとつのサイズに換算してから足すことがよくあります。よく見るのは「8インチ(200mm)換算」です。12インチ(300mm)ウェーハの直径は8インチの1.5倍なので、面積は1.5×1.5で約2.25倍。12インチ1枚は、2枚と少しに数えます。

注意したいのは、投入枚数はウェーハの枚数であって、チップの個数ではないことです。同じウェーハでも、チップが大きければ取れる数は減り、歩留まりが低ければ、使えるものはさらに減ります(「ニュースの「歩留まり」とは?」)。

たくさん投入するほどいい?

いいえ。装置が1日にこなせる量には限りがあります。終わらせられる量より多く投入しても、余った分は出来高にはならず、ラインで順番を待つだけです。ラインの仕掛品(WIP)が積み上がり、どのロットも長く待つことになります。この裏にはシンプルな関係があり、「半導体工場の製造部は何をしている?」で説明しています。だから生産管理の研究では、ラインにどれだけ仕掛品があるか、いちばん忙しい装置がどれだけ詰まっているかを見てから投入量を決めることが、よく勧められています。

リスク投入とは?

新しい製品は、ふつう次の順番で進みます。まず開発ラインで試作し、問題を見つけて安定させます。次に信頼性試験に合格します(たとえば、チップを高温で長時間動かし続けて、早く壊れないかを見る)。そこではじめて量産工場でウェーハ投入し、量産に入ります。

いわゆるリスク投入は、すべてが確定する前に、量産工場で投入を始めることです。よくあるのは、信頼性試験がまだ終わっていない場合です。なぜリスクをとるのか。投入から完成まで数か月かかるからです。先に投入しておけば、試験が終わるころにはウェーハがかなり先まで進んでいて、お客さんは早く製品を受け取れます。

リスクもはっきりしています。試験に不合格なら、先に投入したロットはまるごとスクラップになるかもしれません。だから、リスク投入をするかどうか、費用をどう分けるかは、工場とお客さんが前もって決めておきます。

テープアウトとウェーハ投入はどう違う?

2つの言葉はよく一緒に出てきますが、指すものは違います。

テープアウトウェーハ投入
英語tape-outwafer start
誰が何を渡すチップの設計者が、最終的な設計データを渡す工場が、ロットを生産ラインに載せる
その次設計データからフォトマスクをつくるウェーハが1工程ずつ進み、数か月後に完成
回数設計の1版につき1回。設計を変えるならマスクのつくり直しロットごとに、それぞれの投入日がある

順番は、設計 → テープアウト → フォトマスクづくり → ウェーハ投入 → 工場での何百もの工程 → パッケージングとテスト。テープアウトという名前は、昔、最終的な設計ファイルを紙テープや磁気テープに入れて渡していたことから来ている、とよく言われます。マスクはくり返し使え、1セットで多くのロットを焼き付けられるので、テープアウトは1版につき1回、ウェーハ投入はロットごとに続いていきます。設計と製造が別の会社のとき、この受け渡しがどうなっているかは「ニュースの「ファウンドリ」とは?」へ。

fab24hrでは

メインストーリー「チップの一生」は、架空の補聴器用チップ「Glowmere」を追いかけます。プロローグ「テープアウト」で、Glowmereの設計がウェーハ工場に渡り、フォトマスク一式になります。第1章「12枚をどう分ける」はウェーハ投入の前日です。あなたは開発インテグレーションエンジニアで、スプリット会議で第1ロットの12枚をどう分けるかを決めます。第2章「一工程ずつ」の1日目は「ウェーハ投入」。12枚は洗浄から開発ラインを進み始め、次は拡散炉へ。最初の5日間で前工程の7つのプロセスエリアを回り、エリアごとに1工程をあなたが自分の手で進めます。第4章「2週間前倒し」は投入の約4か月後。お客さんは2週間早く製品がほしいのに、信頼性試験はまだ3週間残っています。完了を待つよう提案するか、リスク投入を提案するか、あなたが決めます。

「工場の一日」でも出会えます。「出勤」を押して「工場の一日」を選び、「今日のあなたは」のカードで「開発ライン」を押し、左右にスワイプして「開発インテグレーションエンジニア」へ。4つのシフトは、同じスケジュールの別々の日です。投入の前日、投入から6日目(洗ったばかりの12枚。次の拡散炉が止まってしまい、Qタイムが減っていく)、1〜2か月後、約4か月後。ゲームの会社、人物、ロット番号、チップ、スケジュールは架空のものです。ウェーハ投入、テープアウト、リスク投入が何かは、公開されている一般的な資料をもとに書いています。ほかの用語は「半導体工場の業界用語を、やさしく解説」へ。

ゲームのどこで出会うかメインストーリー「チップの一生」第2章「一工程ずつ」の1日目は「ウェーハ投入」。Glowmereの第1ロット12枚が、洗浄から開発ラインを進み始めます。第4章「2週間前倒し」では、信頼性試験の完了を待つか、リスク投入かを提案します。

fab24hrでは、ロットは投入の日から1工程ずつ進みます。前工程の7つのプロセスエリアで、エリアごとに1工程をあなたが自分の手で進めます。

第2章「一工程ずつ」から、12枚の投入について行く

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