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ニュースのことば約7分

ニュースの「ファウンドリ」とは? ほかの会社のチップをつくる商売のしくみ

ニュースでよく聞く「ファウンドリ」(ファウンドリー、半導体の受託製造)とは、ほかの会社のチップをつくる会社のことです。チップを設計するのはお客さんの会社で、ファウンドリはその設計図どおりに、ウェーハの上に1層ずつつくり、できあがったらお客さんに渡します。自社のチップは売りません。

ニュースでは「ファウンドリが生産能力を増強」「顧客からの受注」「受託製造の値上げ」といった言葉もよく出てきます。これを読むには、まずチップの商売がどう分業しているかを知っておくとわかりやすくなります。

チップの会社には、どんな種類がある?

違いは、「設計」と「製造」をだれがするかです。大きく3種類あり、レストランにたとえるとわかりやすくなります。

  • ファブレス(設計専業の会社):チップの設計だけをして、自社のウェーハ工場は持ちません。メニューだけを考える飲食ブランドのようなものです。レシピも看板も自分のものですが、料理はほかの人がつくります。英語の fabless は「工場(fab)がない」という意味です。
  • ファウンドリ:ほかの会社のチップをつくることを専門にし、自社では設計も販売もしません。セントラルキッチンのようなものです。たくさんのブランドから注文を受け、それぞれのレシピどおりにつくって返し、自分ではお店を開きません。
  • IDM(垂直統合型デバイスメーカー):自社で設計し、自社のウェーハ工場でつくります。メニューも厨房も自前でまかなう、自分の店で自分で料理するレストランのようなものです。

IDMには、設計と製造をいっしょに調整できるという強みがあります。そのかわり、工場を自分で建てて、自分で維持しなければなりません。ファブレスは工場を建てなくてよいので、お金も人も設計に集中できます。そのかわり、ファウンドリと日程や生産能力を調整する必要があります。

なぜ分業するの? 自分でつくればいいのでは?

ウェーハ工場がとても高いからです。先端のウェーハ工場を1つ建てるには、建物を建て、とても高価な装置をたくさん買い、着工から生産開始までに年単位の時間がかかります。かかるお金は、とても大きな会社でなければ出せない規模です。

装置は買ったあと、動かしていてもいなくても、毎日価値が目減りしていきます(半導体工場はなぜ24時間止まらないのか)。だから工場は、いつも仕事でいっぱいにしておかないと採算が合いません。ところが1社のチップだけでは、工場をまるごと埋められないことがよくあります。

そこでファウンドリは、たくさんの会社の注文をまとめます。ある会社の注文が減っても、ほかの会社の分があるので、装置はずっと動き続けます。セントラルキッチンも同じで、1つのブランドだけでは1日に何百食も売れなくても、十数ブランド分の注文を集めれば、コンロの火を止めずにすみます。

昔は、チップの会社の多くが自社で設計し、自社でつくっていました。その後、世代が進むたびに工場の建設費が上がり、自前で建てられる会社が減って、設計と製造は少しずつ別々の会社が担うようになりました。いまも3種類とも残っていて、協力し合うこともよくあります。IDMの中には一部のチップをファウンドリに任せる会社もあり、自社工場を持つ会社が、余った生産能力でほかの会社のチップをつくることもあります。だから、ニュースに出てくる同じ会社が、ひとつ以上の顔を持っていることもあります。

ファウンドリは、ほかの会社が設計したチップをどうつくる?

  1. まずルールを渡す:プロセスの世代ごとに、ファウンドリは設計する会社に「設計ルール」を渡します。線はどこまで細く描けるか、2本の線はどこまで近づけられるか、そしてコンピュータでシミュレーションするためのトランジスタの特性です。設計する会社はこのルールに沿って描き、描き終えたらコンピュータで違反がないか確かめます。セントラルキッチンが先に、鍋の大きさや火の強さを伝えておき、レシピをそれに合わせて書いてもらうようなものです。
  2. 設計を渡す:設計が固まったら、回路を焼き付けるための「原版」であるフォトマスクにします。これをテープアウトといいます。
  3. つくりはじめる:ウェーハ投入のあと、ウェーハは工場の中で数百の工程を通り、数週間から数か月かかります。新しい製品を初めてつくる数ロットを試作といい、まず問題を探し、安定してつくれるようになってから本格的な量産に入ります。
  4. ウェーハを渡す:できあがって測定を終えたウェーハは、次の段階へ送られます。

ファウンドリがいちばん気にすることは?

  • 歩留まり:つくったチップのうち、良品が何割か。良品が少ないと、お客さんにとって良品1個あたりが高くなり、約束した数も間に合わないかもしれません(ニュースの「歩留まり」とは?)。
  • 納期:いつまでにどれだけ納めるかという、お客さんとの約束です。ウェーハは完成まで何か月もかかり、途中でどこかの装置が止まると、その先の日程がまるごと遅れます。お客さんがとくに急いでいるロットは、特急ロットになって、どの工程でも先頭に並ぶことがよくあります。
  • 秘密を守ること:お客さんから届く設計は、その会社のいちばん大事な財産です。ひとつの工場で、競い合う何社ものチップを同時につくっていることもあり、どの会社の設計もほかの会社に見られたり使われたりしてはいけません。受託製造だけをして自社のチップを売らないことには、もうひとつ利点があります。お客さんと商売で競合しないので、お客さんが安心して設計を預けられるのです。
  • プロセスの世代:お客さんは、より速く、より電気を使わないチップを求めます。だからファウンドリは、次の世代のつくり方を開発し続けなければなりません(ニュースの「2ナノ」、いったい何が2ナノなのか?)。ただ、古い世代も、たいていはつくり続けられています。多くのチップは古い世代のつくり方で十分で、安定していて安いからです(成熟プロセス)。そのためファウンドリは、いくつもの世代を同時に用意して、お客さんに選んでもらうことがよくあります。

ウェーハができたら、そのままお客さんに渡す?

まだです。できあがったウェーハには、切り分ける前のチップがたくさん並んでいます。このあと、1個ずつテストし、切り分け、パッケージに収めて、もう一度テストします。この段階を後工程といい、専門の後工程工場が受け持つことがよくあります(パッケージングとは?)。それが終わって初めて、チップはお客さんの手に届き、スマホやパソコン、車、家電に組み込まれます。

つまり1個のチップは、設計から出荷までに、設計する会社、ファウンドリ、後工程工場と、いくつもの会社を通ることがよくあります。それぞれが1つの段階を受け持っているのです。

次にニュースで見たら、こう読める

  • 「ファウンドリが生産能力を増強」:新しい工場を建てたり、いまの工場に装置を足したりして、1か月につくれるウェーハを増やす、ということ。工場を建てるには年単位の時間がかかるので、いま発表された増強が出荷につながるのは、しばらく先になることがよくあります。
  • 「顧客からの受注が増えた」「受注が減った」:設計する会社がファウンドリに注文するウェーハが増えた、または減ったということ。注文してからチップが届くまでにも、数週間から数か月かかります。
  • 「受託製造の値上げ」:ファウンドリがお客さんから受け取る代金が上がるということで、多くはウェーハ1枚あたりの値段の話です。設計する会社にとっては、チップ1個あたりのコストも上がります。
  • 「生産能力がフル稼働」:装置の予定がぎっしり埋まっていて、新しい注文は順番待ちになる、ということ。

fab24hrでは

メインストーリー「チップの一生」の主役は、架空の補聴器用チップ「Glowmere」です。補聴器をつくる小さな会社が、初めて自分たちで設計したチップです。プロローグ「テープアウト」で、設計がウェーハ工場に渡り、フォトマスク一式になります。第一幕は開発ラインでの試作です。第4章「2週間前倒し」では、顧客企業の創業者シェンさんとレオがビデオ通話をかけてきます。年末には店頭に並べたいので、リスク投入をしたいという相談で、あなたが提案をまとめます。第二幕の量産工場は、まさにお客さんの注文を受けるウェーハ工場です。エッチング装置の中で止まった特急ロットH-2417のロット札に書かれたお客さんが、その小さな会社です。装置が止まると、お客さんから何度も問い合わせが来ます。第三幕は後工程工場です。第12章「出荷前夜」では後工程工場の顧客窓口になり、翌朝に初回分の出荷を控え、お客さんに何を聞かれても答えられるようにしておきます。ゲームに出てくる会社・チップ・人物・数字は架空です。ファウンドリとは何か、なぜ分業するのかは、公開されている一般的な資料をもとに書いています。ほかの用語は「半導体工場の業界用語を、やさしく解説」へ。

ゲームのどこで出会うかゲームの量産工場は、お客さんのチップをつくる架空のウェーハ工場です。メインストーリー「チップの一生」の補聴器用チップ「Glowmere」は小さな会社が設計し、開発ラインと量産工場でつくられて、後工程工場へ渡ります。第12章では後工程工場の顧客窓口になり、お客さんに何を聞かれても答えられるようにしておきます。

fab24hrでは、チップはお客さんのもので、日程もお客さんとの約束です。装置が止まれば、誰かが「このロットは何時に出せるか」に答えなければなりません。

第4章で、2週間前倒しを望むお客さんに提案する

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