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チップの一生

1個のチップが、設計から使う人の手元に届くまで

1個のチップが設計されてから、製品に組み込まれて使う人の手元に届くまでには、大きく4つの場所を通ります。設計会社が設計データを半導体工場に渡し、フォトマスクがつくられます。半導体工場はウェーハの上に回路を1層ずつつくります。これが一般に「前工程」と呼ばれる部分です。後工程工場は、チップを1個ずつテストし、切り分け、パッケージに封止して、もう一度テストします。これが「後工程」です。最後に、お客さまの工場で製品に組み込まれます。このページでは、それぞれの段階で何をしているかを順番に説明します。どの段階も、fab24hrのメインストーリー「チップの一生」に対応しています。プロローグと12章で、架空の補聴器用チップ「Glowmere」の道のりをたどるもので、下の各段階から、その章をそのまま始められます。

全体を1つの表で

段階場所メインストーリー
テープアウトとフォトマスク設計会社、マスク工場プロローグ
開発ラインでの試作半導体工場の開発ライン(前工程)第1〜4章
量産量産工場(前工程)第5〜8章
ウェーハテスト後工程工場(またはテスト専門の工場)第9章
パッケージ(組立)後工程工場第10章
ファイナルテストと信頼性後工程工場第11章
出荷と防湿梱包後工程工場の出荷エリア第11章
製品に組み込まれ、使う人の手元へお客さまの組立工場、使う人の手元第12章(終章)

テープアウトとフォトマスク

チップの設計が終わり、チェック(工場の設計ルールに違反していないか、レイアウトが回路図と一致しているか)を通ると、設計会社は最終的な設計データを半導体工場に渡します。これをテープアウトと呼びます。設計データはその後、ひと組のフォトマスクになります。パターンの層ごとに1枚ずつの、露光に使う原版のようなガラス板で、ひと組で数十枚になることもよくあります。テープアウトのあとで設計を変えたくなると、マスクをつくり直すことになり、費用がかかるうえ何か月も余計に待つので、テープアウト前のチェックはとても念入りです。

ゲームでは

メインストーリーのプロローグ。第1章の前に数段落で語られ、操作はありません。補聴器をつくる小さな会社が初めて自社で設計したチップ「Glowmere」は、ボタン電池を何日も長もちさせるためのもの(会社を立ち上げたシェンさん自身の父も、補聴器を使っています)。その設計が半導体工場に渡され、ひと組のマスクになりました。

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開発ラインでの試作

新しいプロセスや新しい製品は、まず半導体工場の開発ラインで最初のロットがつくられることがよくあります。これが試作で、目的は問題を見つけることと、歩留まりを測ることです。1ロットのウェーハをいくつかのグループに分け、グループごとに条件を1つだけ変えたり(スプリット実験)、わざと少し速め・遅めにつくったウェーハを混ぜたりして(コーナー)、どの工場にもあるばらつきに設計が耐えられるかを確かめます。でき上がったら、チップとチップのあいだにあるTEGを測り(WAT)、チップを1個ずつテストしてウェーハマップにします。信頼性も先に確かめます。よく使われるHTOLは、3ロット×77個を高温で通電したまま1000時間動かし、1個も壊れないことが条件です。安定して技術移管審査を通ると、条件は量産で使う標準プロセス(POR)として書かれ、量産工場に渡されます。

ゲームでは

第一幕・開発ライン(第1〜4章):あなたは開発インテグレーションエンジニア。最初の12枚のウェーハをどう分けるかを決め、ウェーハマップに出た不良の形から原因を探し、技術移管審査の前夜にリスク投入を勧めるかどうかを決めます。第4章では開発プロセスエンジニアになり、量産工場に渡す標準プロセスの最後の欄に、ある警報の上限を書き込みます。この4つの章の決定は、あとの人たちに引き継がれていきます。

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量産

量産工場に渡されたあとは、標準プロセスどおりに大量生産します。これが一般に言う「前工程」です。薄い膜をつけ、リソグラフィでパターンを焼き付け、エッチングで削り、洗浄して、次の層へ。こうして1層ずつ積み上げていきます。ウェーハ投入から完成まで、1ロットのウェーハには数週間から数か月かかるのが普通で、装置は24時間動き続けるので、何か起きれば夜中でも誰かの電話が鳴ります。完成したウェーハはもう一度測定され(WAT)、箱に詰めて後工程工場へ送られます。

ゲームでは

第二幕・量産工場(第5〜8章):開発ラインの試作から約半年後、Glowmereの1ロット、特急ロットH-2417がエッチング装置ETCH-03の中で止まっています。あなたはプロセスエンジニア。深夜02:47の電話、朝の火消し、午後の手動での追加エッチング、夜の黄ランプ。第4章で標準プロセスに書き込まれた上限が、この日に返ってきます。同じ日、製造部、装置エンジニア、リソグラフィエンジニアには別の出来事が起きています。「工場の一日」で役割を変えて遊べます。

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ウェーハテスト

ウェーハは後工程工場(またはテスト専門の工場)に送られ、切り分ける前に、すべてのチップを1個ずつテストします。プローブカードの細い針をチップの接点に当て、テスターがテストプログラムどおりに1項目ずつ測ります。これをウェーハテスト(プローブテスト、CPとも)と呼びます。テストが終わったチップは、良品で1つ、不良は壊れ方ごとに1つずつのビンに分けられ、結果は位置ごとにウェーハマップに描かれます。このあとパッケージに進むのは良品だけです。上限と下限をどこに置くかはトレードオフで、厳しすぎれば良品まではじかれ、緩すぎれば不良品がお客さまに届きます。

ゲームでは

第三幕・後工程工場、第9章「待機電流」:あなたはテストエンジニア。Glowmereの最初の量産ウェーハが届きました。ビンのパレート図でいちばん多い不良を見つけ、それがウェーハのどこにあるかを見て、待機電流の分布のグラフの上で、上限をどこに引くかを決めます。開発ラインで速めのコーナー(FF)を流したかどうかで、比べられる数字が手元にあるかどうかが決まります。

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パッケージ(組立)

パッケージとは、チップを守り、回路基板につなげられるようにする外装に収めることです。ウェーハは裏から薄く削られ、1個ずつにダイシングされます。ゲームの中のGlowmereは、小さなSiPモジュールになります。小さな基板にはんだペーストを印刷し、小さな抵抗やコンデンサを載せて炉ではんだ付けします(部品実装)。チップは接着剤で基板に固定され(ダイボンド)、髪の毛より細い金属線でチップの接点と基板がつながれ(ワイヤボンディング)、最後に樹脂で全体を覆って(モールド)、1個ずつに切り分けます。ワイヤがしっかり付いているかは、いくつか抜き取ってワイヤを切れるまで引っ張り、どれだけの力でどこで切れたかを見ます(プルテスト)。封止したあとは外からワイヤが見えないので、X線で確認します。

ゲームでは

第10章「ボールが浮いた」:あなたは組立プロセスエンジニア。ラインリーダーと一緒に組立ラインをひと回りしたあと、ワイヤボンダのプルテストで2本がおかしいとわかります。ワイヤの片方の端のボールが、接点からまるごと浮いているのです。装置を止めてキャピラリを替えて調整し直し、その日にボンディングしたトレイをすべて抜き取り直すか、動かし続けて、抜き取りを2時間ごとにするか。

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ファイナルテストと信頼性

封止したモジュールは、もう一度テストします(ファイナルテスト)。ワイヤがつながっていないこともあれば、パッケージに入れてから特性が変わることもあるからです。ハンドラーが部品を1個ずつテストソケットに送り込み、良品と不良品を分けます。信頼性で問われるのは「しばらく使っても壊れないか」で、電子部品の故障率をグラフにすると、つくった直後は壊れやすく(初期故障)、長いあいだはほとんど壊れず、使い込むとまた増える、浴槽のような形になります。出荷前には、一部を抜き取って高温で通電したまま2日から1週間ほど動かし、いくつ壊れるかを見て、そのロットに初期故障が多すぎないかを見積もることができます。ただし抜き取りでわかるのは見積もりだけで、弱い1個1個を取り除くことはできません。全数を先にしばらく動かしておく(バーンイン)には、1〜2日の時間に加えて専用の治具も必要で、一般的な民生品ではあまり行いません。新製品の発売前のHTOLは一度だけ行い、量産に入ってからは定期的な抜き取りに変わります。ロットごとに出荷前に待つ関門ではありません。

ゲームでは

第11章「出荷前夜」:あなたは後工程工場の顧客窓口。品質保証の担当と出荷前チェックリストを1項目ずつ確認すると、前の章での決定がここで緑や黄色になって現れます。お客さまから明日出荷できるかと聞かれ、先に2日間の抜き取りを流すか、予定どおり出荷するかを決めます。

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出荷と防湿梱包

テストを終えた部品は、細長いプラスチックテープのくぼみに1個ずつ収められ、リールに巻かれます(テーピング)。お客さまの機械が自動で1個ずつ取り出して使えるようにするためです。樹脂のパッケージは空気中の水分を吸うので、回路基板にはんだ付けするときに中の水分が一気に水蒸気になり、パッケージが割れることがあります。そのため、湿気に弱い部品は乾燥させてから防湿袋に入れ、乾燥剤と、湿気で色が変わる湿度インジケータカードを一緒に封入します(防湿梱包)。袋の外には、湿気に注意するよう促す警告ラベルと、部品番号、数量、ロット番号、日付コードを書いたラベルを貼り、問題が起きたとき、どのウェーハロットの、どの組立のものかをたどれるようにします。

ゲームでは

第11章の最後は出荷エリア。リール、乾燥剤、湿度カード、防湿袋。あなたは出荷票にサインするか、「保留」と書きます。

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製品に組み込まれ、使う人の手元へ

リールはお客さまの組立工場に送られ、機械が部品を1個ずつ回路基板に載せ、炉ではんだ付けして、製品に組み込みます。ゲームの中の製品は補聴器です。マイクで音を拾って増幅し、小さなスピーカーから耳に届けます。電源は空気亜鉛電池で、シールをはがすと使えるようになり、1個で数日から2週間ほどもちます。待機中にチップが漏らす電流が少ないほど、電池は長もちします。チップに不具合があれば、多くは使い始めて数週間から数か月のうちに現れ、そのときは返品となって、壊れた部品を分解して原因を調べます(故障解析)。

ゲームでは

終章(第12章)「父の手に」:あなたはシェンさんの父。退職した小学校の先生で、補聴器を使って5年目です。娘が、自分の会社がつくった最初の補聴器を持って帰ってきます。電池を入れて耳にかけます。夜10時半、古い補聴器ならとっくに電池が切れている時刻に、居間にいて、台所で話す妻の声が聞こえます。それまでの章の決定によって、結末は「予定どおり発売」「少し遅れたが、返品はゼロ」「3か月後、一部が返品された」のどれかになります。

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メインストーリーの遊び方

fab24hrで「出勤」を押すと、2つの遊び方から選べます。「チップの一生」はメインストーリー、「工場の一日」は役割を選んで、端末の時刻に合ったシフトを遊ぶモードです。メインストーリーはプロローグと12章で、4つの幕に分かれています。

幕章あなたは
第一幕・開発ライン1〜4開発インテグレーションエンジニア、開発プロセスエンジニア
第二幕・量産工場5〜8プロセスエンジニア(同じ1日の4シフト)
第三幕・後工程工場9〜11テストエンジニア、組立プロセスエンジニア、顧客窓口
終章・使う人の手元へ12シェンさんの父

どの章も「ひとりの一日」で、チップはずっと手渡されていくものです。前の決定はあとの人に引き継がれ、3つの結末のどれになるかを決めます。1章はおよそ10分で、何回かに分けて遊べます。進行状況はブラウザに保存されます。「ゲームでは」に出てくる枚数、時間、上限、日数はゲームの設定で、数字はイメージです。

よくある質問

メインストーリー「チップの一生」はどのくらいかかりますか?

プロローグと12章で、1章はおよそ10分、全部で1〜2時間ほどです。何回かに分けて遊べます。進行状況はブラウザに保存され、次に来たときは、ホーム画面から次の章の続きを始められます。

どの章からでも始められますか?

始められます。このページの各段階の下にあるリンクから、その章をそのまま始められます。ゲームの中では、図鑑の「チップの一生」タブに章の一覧があり(一度遊ぶと、ホーム画面の「章一覧」からも開けます)、押した章から始まります。まだ遊んでいない章は、いつもどおりに進んだものとしてつながるので、最初からやり直す必要はありません。順番に遊べば、前の決定があとに引き継がれます。

ログインしないと遊べませんか?

ログインは不要です。開けばすぐ遊べて、進行状況はこのブラウザに保存されます。

実話ですか?

会社、製品、人物、ロット番号、数字はすべて架空のゲーム設定で、どの会社を表すものでもありません。「Glowmere」も架空のチップです。それぞれの段階で何をするのか、なぜそうするのかは、教科書、業界標準、大学の講義、論文といった、公開されている一般的な資料をもとにまとめています。

半導体の前工程・後工程とは?

業界で一般に言う前工程は、半導体工場がウェーハの上に回路を1層ずつつくる工程です。後工程は組立とテストのことで、ウェーハ上のチップをテストし、切り分け、パッケージに封止して、もう一度テストします。なお半導体工場の中では、ウェーハ工程の前半(トランジスタをつくる部分)と後半(トランジスタをつなぐ金属配線をつくる部分)を、FEOL・BEOLと呼び分けることもあります。

後工程工場では何をしていますか?

パッケージとテストです。完成したウェーハは後工程工場に送られ、まずウェーハの上でチップを1個ずつテストし、それから切り分けて小さなパッケージに収め、封止後にもう一度テストしてから、お客さまに出荷します。このページの「ウェーハテスト」「パッケージ(組立)」「ファイナルテストと信頼性」「出荷と防湿梱包」の4つが、後工程工場の仕事です。

第1章からはじめる

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