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ニュースのことば約7分

ニュースのファブレス、ファウンドリ、IDMは何が違う?

ニュースでよく見る「ファブレス」「ファウンドリ」「IDM」の違いは、チップが設計から出荷まで通るいくつかの段階のうち、どこを自社でやるかです。IDM(垂直統合型デバイスメーカー)は、設計も製造も自社で行います。ファブレス(設計専業の会社)は設計だけをして、製造はほかの会社に任せます。ファウンドリは、ほかの会社が設計したチップの製造だけを請け負います。これに、組立とテストを請け負う後工程工場(OSAT)を加えた4種類が、1個のチップがよく通る会社です。

この記事では、4種類を1つの表に並べて比べます。それぞれをもっと知りたいときは、表のいちばん下の行にリンクがあります。

チップは設計から出荷まで、どんな段階を通る?

大きく3つです。

  1. 設計:コンピュータの上で回路を描き、何度もシミュレーションして確かめます。固まったら設計図を渡します。これをテープアウトといいます。チップの正式な名前はIC(集積回路)なので、この段階はIC設計とも呼ばれます。
  2. 製造:設計図はまず、回路を焼き付けるための「原版」であるフォトマスクになります。ウェーハはウェーハ工場の中で数百の工程を通り、回路が1層ずつ積み上がっていきます。数週間から数か月かかります。
  3. 後工程:後工程は、パッケージへの組立とテストのことです。できあがったウェーハの上のチップを1個ずつテストし、切り分けてパッケージに収め、もう一度テストします。良品だけが出荷されます。

この3つは、必要なものがまったく違います。設計に要るのは人と設計ソフト。製造には、クリーンルームがまるごと1つと、とても高価な装置がたくさん要ります。後工程は、また別の装置を使います。だから3つの段階は、別々の会社が受け持つことがよくあります。それぞれの段階で何をしているかは「半導体はどうやって作られる?」へ。

4種類の会社は、それぞれどの段階をやる?

IDMファブレスファウンドリ後工程工場(OSAT)
チップの設計自社でやる自社でやるやらない(先に設計ルールを渡す)やらない
ウェーハに回路をつくる自社の工場でファウンドリに任せる自社でやるやらない
組立とテスト自社でもできるが、一部は外に出す後工程工場に任せるたいていやらない自社でやる
売るもの自社のチップ自社のチップほかの会社のウェーハをつくる仕事ほかの会社のチップの組立とテスト
もっと読むファブとは?チップはどうやって設計する?ニュースの「ファウンドリ」とは?OSATとは?

本の印刷にたとえてみます。ファブレスは出版社のようなものです。本は自分で書き、自分の名前で売りますが、印刷は印刷所に任せます。ファウンドリは印刷所で、それぞれのお客さんから届いた原稿どおりに刷り、自分では本を出しません。後工程工場は製本所で、刷り上がった大きな紙を裁ち、とじて、1ページずつ確かめます。そしてIDMは、自前の印刷所を持つ出版社です。

表の中で見落としやすいことが2つあります。

  • チップを設計するのはお客さんだが、ファウンドリが先にルールを渡す:線はどこまで細く描けるか、2本の線はどこまで近づけられるか。このルールどおりに描いた設計なら、つくることができます。
  • チップのパッケージに印字されるのは、それを売る会社の型番:ファブレスのチップは、ほかの会社がつくって組み立てたものでも、印字されるのは設計した会社の型番です。

なぜこんなに多くの会社に分かれるの?

  • ウェーハ工場がとても高い:先端のウェーハ工場を建てて装置をそろえるには、とても大きなお金がかかり、時間も年単位です。建てたあとも、いつも仕事でいっぱいにしておかないと採算が合いません。1社のチップだけでは、工場をまるごと埋められないことがよくあります。ファウンドリはたくさんの会社から注文を受けるので、装置にいつも仕事があります。くわしくは「ニュースの「ファウンドリ」とは?」へ。
  • それぞれが得意なことに集中できる:設計の会社はお金も人も設計に使います。ファウンドリはプロセスの世代ごとに安定してつくることに、後工程工場はいろいろなパッケージとテストに集中します。同じ装置と経験を、多くのお客さんのチップに使えます。
  • 小さな会社でもチップがつくれる:先に工場を建てなくても、設計チームしかない会社が自分のチップをつくれます。1980年代より前は、チップの会社の多くが自社工場を持っていました。その後、工場を持つ会社が余った生産能力をほかの会社に使わせるようになり、受託製造だけをする会社も現れて、設計だけをする会社が増えていきました。

それでもIDMが自社工場を持つのはなぜ?

自社工場があれば、設計と製造をいっしょに調整できます。設計の人がこうしたいと思えば、自社工場のプロセスエンジニアと直接相談して変えられます。プロセスに特別なつくり方があれば、設計ですぐに使えます。どれだけつくるか、どのロットを先にするかも自分で決められ、ほかの会社の後ろに並ぶ必要がありません。

そのかわり、工場を自分で建てて、自分で維持しなければなりません。注文が少ないときは装置が空いてしまい、それでも毎日、価値が目減りしていきます。

4種類の境目は、はっきりしている?

いいえ。この4つの名前は「役回り」に近く、1つの会社がいくつもの役回りを担うことがよくあります。

  • 自社工場を持つIDMでも、一部のチップをファウンドリに、組立とテストの一部を後工程工場に任せることがあります。
  • 自社工場を持つ会社が、余った生産能力でほかの会社のチップをつくることもあります。自社のチップをつくりながら、受託製造も請け負うわけです。
  • 自社工場を一部だけ残し、残りの仕事をファウンドリに任せる会社もあります。これを「ファブライト」と呼びます。
  • パッケージングの一部を手がけるファウンドリもあります。とくに先端パッケージです(ニュースの「先端パッケージ」とは?)。
  • スマホやパソコン、車などの製品をつくる会社が、自分でチップを設計し、ファウンドリと後工程工場につくってもらうこともあります。

だからニュースを読むときは、「この会社はどの種類?」と考えるより、「このチップは、どの段階をだれがやっている?」と考えるほうがわかりやすくなります。

次にニュースで見たら、こう読める

  • 「ファブレス企業が新しいチップを発表」:設計はその会社のものです。チップはたいていファウンドリがつくり、後工程工場が組み立ててテストしたものですが、パッケージに印字されるのは設計した会社の型番です。
  • 「IDMが外部委託を拡大」:自社工場を持つ会社が、より多くのチップをファウンドリや後工程工場に任せる、ということ。
  • 「ファブライトに転換」:自社工場を一部だけ残し、残りのチップはファウンドリに任せる、ということ。
  • 「自社開発チップ」:製品をつくる会社が、自分でチップを設計したということ。製造はたいていファウンドリに、後工程は後工程工場に任せます。

fab24hrでは

メインストーリー「チップの一生」では、架空の補聴器用チップ「Glowmere」を、設計が渡されたところから後工程工場まで追います。補聴器をつくる小さな会社が、初めて自分たちで設計したチップです。プロローグ「テープアウト」で、設計がウェーハ工場に渡り、フォトマスク一式になります。この記事の言葉でいえば、この小さな会社が受け持つのは設計の段階で、まさに「製品をつくる会社が自分でチップを設計する」例です。第一幕は、このウェーハ工場の開発ラインでの試作です。第二幕は量産工場で、量産工場にとってGlowmereはお客さんのチップです。エッチング装置の中で止まった特急ロットH-2417も、そのうちの1ロットです。第三幕は後工程工場で、第10〜12章ではテストエンジニア、組立プロセスエンジニア、顧客窓口になります。どこかで1シフト過ごすなら、「出勤」を押して「工場の一日」を選び、「今日のあなたは」のカードで「開発ライン」「量産工場」「後工程工場」のどれかを押し、左右にスワイプしてその仕事へ。エリアのある仕事は、名前の下でエリアも選びます。ゲームに出てくる会社・チップ・人物・ロット番号は架空です。4種類の会社の分業は、公開されている一般的な資料をもとに書いていて、実際のやり方は会社ごとに違います。ほかの用語は「半導体工場の業界用語を、やさしく解説」へ。

ゲームのどこで出会うかメインストーリー「チップの一生」では、架空の小さな補聴器メーカーが設計したチップ「Glowmere」を、設計がウェーハ工場に渡ったところから追います。開発ラインで試作、量産工場で量産されて、後工程工場へ。

fab24hrでは、小さな会社が設計したチップが開発ライン、量産工場、後工程工場を通り、どの段階でもだれかがそれを受け継ぎます。

出勤して、チップを開発ラインから後工程工場まで追いかける

先生へ:この記事は「授業でfab24hrを遊ぶ」と組み合わせて授業で使えます。

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