OSATとは? 後工程工場では何をしている?
ひとことで言うと、OSATは Outsourced Semiconductor Assembly and Test の略で、「半導体の組立とテストを外部で請け負うこと」。このサイトでは、それをする工場を「後工程工場」と呼んでいます。前工程の工場でできたウェーハはここに送られ、テストされ、切り分けられ、パッケージに入れられ、もう一度テストされて、ようやく基板にはんだ付けできるチップになります。
4つの文字の意味は?
- O(Outsourced、外部委託):ほかの会社から仕事を請け負います。チップは工場のものではなく、送ってきたお客さんのものです。
- S(Semiconductor、半導体):扱うのはチップです。
- A(Assembly、組立):チップをパッケージに入れ、はんだ付けできる足やはんだボールまで接続を引き出すこと。パッケージングとも言います。
- T(Test、テスト):チップが1つ1つ良品かどうかを確かめること。
ATMP(assembly, test, marking and packaging:組立、テスト、捺印、梱包)という言い方もあり、同じ範囲の仕事を指します。
なぜ「外部に」任せるの?
チップづくりは大きく2つに分かれます。ウェーハの上に回路をつくるのが前工程で、ウェーハ工場で行います。ウェーハの上のチップをテストし、切り分け、パッケージに入れるのが後工程です。
すべてのチップの会社が両方を自分でしているわけではありません。設計だけをして自社の工場を持たない会社も多く、ウェーハはファウンドリに、組立とテストは後工程工場に任せます。自社の工場を持つ会社が、後工程の一部を外に出すこともあります。組立とテストを専門にする会社は多くのお客さんを同時に受け持ち、いろいろなパッケージに必要な装置と経験を持っているので、1台の装置が何社もの仕事をこなせます。ファウンドリと同じ考え方です。「ニュースの「ファウンドリ」とは?」もどうぞ。
チップは後工程工場でどんな工程を通る?
パッケージにはたくさんの種類があり、工程も違います。よくある流れはおおよそ次のとおりです。
- ウェーハテスト(CP):ウェーハを切る前に、プローブでチップを1つずつテストし、不良を記録して、パッケージに入れるお金をかけないようにします。テスト専門の工場で行うこともあります。
- 裏面研削:ウェーハを裏側から薄く削ります。
- ダイシング:ウェーハを1つ1つのチップに切り分けます。
- ダイボンド:良品のチップを基板やリードフレームに固定します。
- ワイヤボンディング:髪の毛より細い金属線で、チップの電極を外へつなぎます。チップを裏返し、小さなバンプで直接つなぐフリップチップという方法もあります。
- モールド:全体を樹脂で封止します。
- 捺印:パッケージに型番とロット番号を印字します。
- ファイナルテスト(FT):パッケージに入れたあと、もう一度テストします。組立の途中でチップが傷むことがあり、パッケージに入れてからでないと測れない項目もあるからです。
- 梱包と出荷:部品を1つずつテーピングし、湿気に弱いものは防湿梱包します。
テストのしかたは「チップはどうテストする?」、そもそもなぜパッケージが必要かは「パッケージングとは?」、ワイヤボンディングの詳しい話は「ワイヤボンディングとは?」で読めます。
ウェーハ工場とはどう違う?
| ウェーハ工場(前工程) | 後工程工場 | |
|---|---|---|
| 扱うもの | ウェーハ1枚ごと。ロットや枚数で数える | 1つ1つのチップ。何千個、何万個で数えることが多い |
| 主な仕事 | ウェーハの上に回路を1層ずつつくる | テスト、切断、固定、配線、封止、またテスト |
| 清浄度 | クリーンルームのクラスはふつういちばん厳しい | きれいさは必要だが、多くのエリアは前工程ほど厳しくないことが多い |
| 切り替え | 同じプロセスを長く流す | お客さんもパッケージの種類も多く、製品や治具の切り替えが多い |
| 装置 | リソグラフィ、エッチング、薄膜などのプロセス装置 | ダイシング装置、ワイヤボンダー、モールド装置、テスター、ハンドラー |
クリーンルームのクラスの数え方は「クリーンルームはどれくらいきれい?」で説明しています。
どんな仕事がある?
- テストエンジニア:テストプログラムを書いて保守し、テスターやプローブカードを見て、チップ1つ1つの結果を読み、規格の線をどこに引くかを決めます。
- 組立プロセスエンジニア:ダイシング、ダイボンド、ワイヤボンディング、モールドの各工程の条件を受け持ち、歩留まりが下がったらどの工程が原因かを探します。
- 装置エンジニア:ワイヤボンダー、ダイシング装置、テスターなどの保守と修理をします。
- 品質保証・信頼性エンジニア:出荷前の検査、サンプルの信頼性試験、お客さんから返ってきた部品の解析をします。
- 顧客窓口:進み具合、仕様、異常をお客さんと共有します。「明日出荷できる?」と聞かれたとき、お客さんが最初に聞く相手です。
- 生産管理と技術員:各工程のロットの段取りを組み、装置を動かし、何か起きたときに最初に対応します。
よくある出身:テストは電気電子寄り、組立プロセスは機械、材料、化学工学寄り。顧客窓口は、エンジニアの経験があって人とやりとりするのが好きな人がよく就きます。学部ごとの進路は「半導体工場にはどの学部・学科から入る?」で説明しています。
なぜ最近ニュースでよく見る?
以前はパッケージは「最後に包むだけ」と見られがちでした。いまはチップをより速く、より省電力にするために、いくつものチップを横に並べたり積み重ねたりして1つのパッケージに入れる製品が増え、パッケージがチップの性能の一部になりました。それで後工程もニュースによく出てくるようになっています。「ニュースの「先端パッケージ」とは?」もどうぞ。
fab24hrでは
メインストーリー「チップの一生」の第三幕は後工程工場が舞台です。第10章ではテストエンジニアとしてビンを読み、待機電流の上限を決めます。第11章では組立プロセスエンジニアとして、ワイヤボンディングの引っ張り試験の結果がおかしく、装置を止めるかどうかを決めます。第12章では顧客窓口として出荷前夜を迎え、お客さんから「明日出荷できる?」と聞かれます。「工場の一日」では、テストエンジニア、組立プロセスエンジニア、顧客窓口として、それぞれ1日働くこともできます。ゲームの後工程工場、装置、人物はすべて架空です。工程や仕事の内容は公開されている一般的な資料にもとづいていて、実際のやり方は工場やパッケージの種類ごとに違います。
ゲームのどこで出会うかメインストーリー「チップの一生」の第三幕は後工程工場が舞台です。第10章ではテストエンジニア、第11章では組立プロセスエンジニア、第12章では後工程工場の顧客窓口になります。「工場の一日」では「今日のあなたは」カードで「後工程工場」を押すと、テストエンジニア、組立プロセスエンジニア、顧客窓口のどれでも1日働けます。
fab24hrの後工程工場の顧客窓口は、お客さん、テスト、組立ラインのあいだに立つ役割です。「明日出荷できる?」と聞かれたら、まず各工程がどこまで進んでいるかを知っている必要があります。
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