半導体はどうやって作られる? 製造工程を順番にわかりやすく
半導体チップは、高純度のシリコンでできた丸いウェーハの上に、回路を1層ずつ「焼き付け」ては「削る」工程を何十回もくり返し、最後にテストして切り分け、パッケージに入れてもう一度テストして作られます。材料は、砂にふくまれるシリコンをとても高い純度まで精製したものです。ウェーハの上に作られるのは、ものすごい数の小さなスイッチ(トランジスタ)と、それをつなぐ配線。全部で数百の工程があり、工場の中だけで数週間から数か月かかります。
以下、順番に、何をするのか、なぜするのかを説明します。くわしくは、それぞれの記事へ。
半導体の製造工程は、どんな順番?
| 順番 | 工程 | どこで | 何をする |
|---|---|---|---|
| 1 | ウェーハを作る | ウェーハを作る工場 | シリコンを高純度に精製し、インゴットに育て、ウェーハに切る |
| 2 | 設計、フォトマスク | 設計会社、マスク工場 | コンピューターで回路を設計し、回路を焼き付けるためのフォトマスク一式にする |
| 3 | 回路を1層ずつ作る | 半導体工場 | 洗浄、酸化、成膜、リソグラフィ、エッチング、イオン注入、平坦化を何十回もくり返す |
| 4 | ウェーハテスト | 後工程工場またはテスト工場 | 切り分ける前に、チップを1個ずつテストする |
| 5 | ダイシング、パッケージ | 後工程工場 | 1個ずつに切り分け、チップを守るパッケージに入れる |
| 6 | ファイナルテスト | 後工程工場 | パッケージに入れてからもう一度テストし、良品だけを出荷する |
| 7 | 製品に組み込む | お客さんの組立工場 | 回路基板にはんだ付けし、スマートフォンやパソコンに入れて、使う人のもとへ |
1と2は順番に行うのではなく、別々の場所でそれぞれ準備します。ウェーハとフォトマスクが両方とも半導体工場にそろってから、3が始まります。業界では、3を「前工程」、4〜6を後工程(組立とテスト)と呼ぶことが多いです。
1. ウェーハはどうやって作る?
砂や石英のおもな成分は、シリコンと酸素がくっついた二酸化シリコンです(なぜシリコンを使うのかは「半導体とは?」)。まず高温の炉の中で炭素を使って酸素を取り除くと、純度98〜99%ほどのシリコンになります。そこから化学的な方法で何度も精製し、チップ用のシリコンは99.9999999%(9が9つ並ぶ「ナインナイン」)以上の純度にします。
次にそれを溶かし、原子がきれいに並んだシリコンの小さなかけらを種にして、回転させながらゆっくり引き上げると、円柱形の結晶「インゴット」が育ちます。これを薄く切り、鏡のように平らに磨いたものがウェーハです。いまいちばん多いのは直径30センチ(12インチ)で、厚さは1ミリもありません。なぜ丸いのかは「ウェーハはなぜ丸いのか」へ。
2. なぜ先に設計して、フォトマスクを作る?
工場は図面どおりに作るからです。エンジニアはまずコンピューターで回路を設計します。どこにどんなスイッチを置き、どうつなぐか、シミュレーションとチェックを何度もくり返します。決まったら設計データを渡します。これがテープアウトです。設計データはフォトマスク一式になります。パターン1層に1枚、数十枚になることも多く、回路を焼き付けるためのネガフィルムのようなものです。
同じチップの設計が碁盤の目のようにウェーハ全体に並び、1枚で数十個から1万個以上を同時に作ります(チップとウェーハの違いは「半導体チップとは?」)。
3. 半導体工場の中では何をしている?
ウェーハのロットを生産ラインに載せることをウェーハ投入といいます。そこからウェーハは、次のような工程を行ったり来たりします。
- 洗浄:薬液と超純水で、目に見えない粒子、有機物、金属を洗い流します。大きな工程の前後にはほぼ必ず洗うので、いちばん回数の多い工程のひとつです。(ウェーハ洗浄とは?)
- 拡散炉(酸化):一度に100枚以上をとても熱い管に入れ、シリコンの表面に電気を通さない二酸化シリコンの膜を育てたり、熱で乱れた原子を元の並びに戻したりします。(拡散炉では何をしている?)
- 成膜:ウェーハの上に新しい材料の層をつけます。絶縁するものも電気を通すものもあり、厚さはたいてい数ナノメートルから数百ナノメートルです。(成膜とは?)
- リソグラフィ:光に反応するレジストを塗り、フォトマスク越しに光を当てて現像し、その層のパターンを焼き付けます。(フォトリソグラフィとは?)
- エッチング:レジストのパターンどおりに、覆われていない材料を削り取ります。これでパターンが本当にウェーハに刻まれます。(エッチングとは?)
- イオン注入:ホウ素やリンなどの原子をシリコンに打ち込み、どの小さな部分にどれだけ電気を通すかを決めます。打ち込まない場所は、先にレジストで覆っておきます。(イオン注入とは?)
- CMP(平坦化):層を重ねるたびに表面はでこぼこになります。平らに磨けば、次の層のパターンがくっきり焼けます。(CMPとは?)
大事な工程のあとには、何枚かを抜き出して測ります。膜の厚さ、線の幅、上下の層がきちんと重なっているか、余計なパーティクルがないか。数字がずれたら止めて原因を探します(半導体工場は、工程がうまくいったかをどう確かめる?)。この7つの仕事には、それぞれのエリアがあります。「半導体工場の7つのプロセスエリアは、それぞれ何をしている?」へ。
なぜ同じ工程を何十回もくり返す?
チップは高いビルのようなものだからです。いちばん下の階は、シリコンの中に作るトランジスタ、つまりスイッチです。その上にとても細い金属の配線が1層、また1層と重なり、スイッチどうしをつなぎます。最先端のチップでは10層以上になります。
層ごとに形がちがうので、層ごとにひと回りします。材料の層をつけ、リソグラフィでその層のパターンを焼き、エッチングかイオン注入をし、洗い、平らに磨き、次の層へ。シンプルなチップで10層前後、複雑なものは何十層にもなります。1枚のウェーハはリソグラフィのエリアに何十回も戻り、全部で数百の工程になります。前工程の中でも、トランジスタを作る前半と、配線を作る後半に分けて呼ぶことがよくあります。
なぜクリーンルームで作る?
チップの線がとても混み合っているからです。最先端のチップでは、いちばん密な線の間隔は数十ナノメートルしかありません。目に見えないほどのほこりでも、回路の上では大きな岩のようなもの。線を切ったり、2本の線をつないでしまったりして、そのチップは不良になります。
だからチップはクリーンルームで作ります。ろ過した空気が天井から真下へ流れ、人は頭から足まで覆う防塵服を着て、ウェーハは密閉された箱に入って工場の中を移動します。どれくらいきれいかは「クリーンルームはどれくらいきれい?」へ。
ウェーハができたあとは? テスト、ダイシング、パッケージ
ウェーハは工場を出て、後工程工場(またはテスト専門の工場)へ送られます。そこからは、だいたい次のとおりです。
- ウェーハテスト:切り分ける前に、とても細い針をすべてのチップの端子に当てて電気を流し、テストします。良品と不良品はウェーハマップに記録します。先に不良品を見つけておけば、パッケージにお金をかけずにすみます。(チップはどうテストする?)
- ダイシング:ウェーハを裏から削って薄くし、チップとチップのあいだの細いすき間に沿って切り、1個ずつに分けます。
- パッケージ:よくあるやり方では、チップを小さな基板に固定し、髪の毛より細い金属の線で端子を外へつなぎ(ワイヤボンディングとは?)、全体を樹脂で包みます。パッケージは薄くて割れやすいチップを守り、端子を外に出し、熱を逃がします。(パッケージングとは?)
- ファイナルテスト:パッケージに入れたあと、もう一度テストします。パッケージの工程でチップが壊れることもあるからです。製品によっては出荷前に、高温で電気を流してしばらく動かし、弱いものを先に壊して見つけ出します。(バーンインとは?)
- 出荷:良品は多くの場合、長いテープの小さなくぼみに1個ずつ入れてリールに巻き、お客さんの工場へ。機械が1個ずつ回路基板にはんだ付けし、製品に組み込まれて、使う人のもとへ届きます。
チップを作るのに、どれくらいかかる?
ウェーハ投入からウェーハ完成までは、ふつう数週間から数か月。先端のものほど、層が多いものほど長くかかります(ウェーハ投入とは?)。その時間の大半は、加工ではなく、装置の前で順番を待っている時間です。装置は高価で、ウェーハはそれだけ長くラインにいるので、半導体工場は24時間止まりません(半導体工場はなぜ24時間止まらないのか)。ウェーハが完成したあとも、出荷までには後工程の時間がかかります。
fab24hrでは
fab24hrのメインストーリー「チップの一生」は、架空の補聴器用チップ「Glowmere」を追いかけて、この道のりをまるごと歩きます。プロローグ「テープアウト」では、Glowmereの設計が半導体工場に渡り、フォトマスク一式になります。第一幕は開発ライン。第2章「一工程ずつ」はウェーハ投入から最初の5日間です。第1ロットの12枚について行き、洗浄、拡散炉、成膜、リソグラフィ、エッチング、CMP、イオン注入の7つのエリアを回って、エリアごとに1工程をあなたが自分の手で進めます。第二幕は量産工場。あなたはエッチングのプロセスエンジニアで、Glowmereの特急ロットH-2417がエッチング装置の中で止まっています。第三幕は後工程工場で、ウェーハテストから出荷前夜まで。終章では補聴器に組み込まれ、シェンさんの父のもとへ届きます。各段階が何章にあたるかは「チップの一生」のページにまとめてあります。
1つのエリアでもっと過ごしたいなら、「出勤」を押して「工場の一日」を選び、「今日のあなたは」のカードで「量産工場」か「開発ライン」を押し、左右にスワイプしてその仕事へ。エリアのある仕事は、名前の下でエリアも選びます。ゲームの会社、チップ、人物、ロット番号、数字は架空のものです。チップがどう作られるか、なぜそれぞれの工程をするのかは、公開されている一般的な資料をもとに書いています。ほかの用語は「半導体工場の業界用語を、やさしく解説」へ。
ゲームのどこで出会うかメインストーリー「チップの一生」は、架空の補聴器用チップ「Glowmere」を追いかけて、この道のりをたどります。プロローグはテープアウト、第一幕は開発ライン、第二幕は量産工場、第三幕は後工程工場、そして終章で使う人のもとへ届きます。
fab24hrでは、1つのチップがテープアウトから使う人のもとへ旅をします。章ごとに、あなたはそれを手渡していく人のひとりです。
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