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工場で働く約8分

装置メーカーのフィールドサービスエンジニア(FSE)は何をしている?

フィールドサービスエンジニア(Field Service Engineer、略してFSE)は、装置メーカーから顧客の半導体工場に来て働くエンジニアです。サービスエンジニアと呼ばれることもあります。半導体工場の装置は装置メーカーから買うもので、メーカーは顧客の工場にエンジニアを送り、自社が売った装置を担当させます。据え付け、立ち上げ検査、メンテナンス、壊れたときの修理、そして顧客のエンジニアに、保守のしかたや、何かあったときにまず何をすればいいかを教えることです。所属はメーカーなのに、毎日出勤する先は顧客の工場。だから、この記事では常駐エンジニアと呼びます。

オフィスの大きな複合機にたとえるとわかりやすいかもしれません。総務の人は毎日それを気にかけ、いつ止めて修理してもらうかを決めます。複合機メーカーのサービス担当は、点検に来て、大きな故障を直し、大きな部品を替えます。工場の装置エンジニアが総務の人、常駐エンジニアがサービス担当です。

なぜ装置メーカーの人が装置を見るのか

半導体工場は、自分で装置を作りません。エッチング装置も露光装置も成膜装置も、装置を専門に作る会社から買います(「半導体のサプライチェーンとは?」へ)。装置がどう設計されているか、部品をどの版に替えるべきかをいちばんよく知っているのは、作った側です。メーカーには設計資料、保守マニュアル、部品の倉庫があり、現場で解けない問題は、本社で設計を知る専門家にいっしょに見てもらえます。

そのため「誰が据え付けるか、誰がメンテナンスするか、壊れたらどのくらいの時間で駆けつけるか」は、よく契約に書き込まれます。

工場の装置エンジニアとはどう分担する?

工場の装置エンジニアの毎日は「半導体工場の装置エンジニアは何をしている?」にまとめています。よくある分け方は、次のとおりです。

工場の装置エンジニア装置メーカーの常駐エンジニア
所属半導体工場装置メーカー(その装置を売った会社)
担当する装置1つのエリアのたくさんの装置。メーカーが複数のこともある自社が売った数台
ふだんの仕事計画どおりのメンテナンス、アラームへの対応、いつ装置を止めるかの判断据え付け、立ち上げ検査、大規模なメンテナンス、大きな修理、重要な部品の交換
手もとにあるものその装置の保守計画と履歴装置の設計資料、メーカーの部品と専門家

装置が止まると後ろのロットが待たされるので、いつ止めてメンテナンスするかは工場が決めます(「装置のPM(予防保全)とは?」へ)。修理のあと、生産に戻してよいかを確かめるのも工場の人です。実際の分け方は、契約しだいです。メンテナンスはほとんど自前で、大きな問題のときだけメーカーを呼ぶ工場もあれば、装置のメンテナンスを丸ごとメーカーに任せる工場もあります。

新しい装置が、搬入から検収のサインまで

工場全体の建て方は「半導体工場を建てるには何をする?」へ。ここでは新しい装置1台だけを、一歩ずつ追います。

ステップ1:運び込む

  • 何をする:木箱はクリーンルームの外で開け、装置を1つずつふいてきれいにし、同時には開かない2つの扉を通して押し入れます。
  • なぜ:外のほこりが装置といっしょに入ってしまうからです。
  • しないと:クリーンルームが汚れ、そばの装置にも影響が出ます。

ステップ2:配管と電気をつなぐ

  • 何をする:装置の位置が決まったら、ファシリティが接続表を見ながら、水、電気、ガス、排気を1本ずつつなぎます。これがフックアップです。新しいガス配管は保圧テストとリークチェックをします(「半導体工場のファシリティエンジニアは何をしている?」へ)。常駐エンジニアはそばで、接続を1つずつ確かめます。
  • なぜ:水も電気もガスもファシリティから来ます。装置の接続口それぞれに何が要るかは、メーカーがいちばんよく知っています。
  • しないと:1本つなぎ間違えるだけで、装置が壊れたり、有毒なガスが漏れたりするおそれがあります。

ステップ3:立ち上げ検査。まず装置そのものを動かす

  • 何をする:電源を入れ、部分ごとに確かめます。チャンバーが真空まで引けるか、継手から漏れないか、ウェーハを運ぶロボットアームがすべての位置に届くか、センサーが正しく読めるか。
  • なぜ:運ぶあいだの振動や、ばらしてから組み直すことで、継手が少しゆるんだり、位置が少しずれたりすることがあるからです。
  • しないと:ウェーハを流しはじめてから問題が出て、装置のせいか条件のせいか、見分けがつかなくなります。

ステップ4:契約の条件で試験する

  • 何をする:あらかじめ契約で決めた項目を、1つずつ試します。たとえば、結果が約束の範囲に入るか、余計なパーティクルが出ないか、しばらく流しつづけても止まらないか。使うのは約束した試験条件で、顧客自身のプロセス条件ではありません。多くの装置は、出荷前にメーカーの工場で一度試験を済ませています。
  • なぜ:「よい装置か」をどう測るかを先に決めておけば、両者の話が食い違わずに済むからです。
  • しないと:引き渡したあとで、両者の考える「合格」が違っていたとわかります。

ステップ5:検収にサインする

  • 何をする:すべて合格したら、顧客が最終検収の書類にサインし、そこではじめて装置が正式に顧客に引き渡されます。最後の支払いがこのサインを待つ契約もあります。
  • なぜ:サインは、約束どおりのことができたと顧客が認めた、というしるしだからです。
  • しないと:確かめる前にサインすると、あとで問題が出たとき、誰の責任なのかがはっきりしません。

他社の工場で働くと、何が違う?

  • 扉は人に開けてもらう:顧客の入構証には段階があり、顧客の人が最初から最後まで付き添わないと入れない場所もあります。付き添いの人が離れたら、外で待ちます。入る前には安全講習を受けます。カメラ付きのスマホを持ち込めない工場もあります。保守に使うパソコンも、先にウイルスチェックをします。
  • 顧客の条件は見られない:装置が流す設定をレシピと呼び、顧客がいちばん大切に守る機密のひとつであることが多いです。メーカーの人がどこまで見られるかは工場ごとに違い、アラームと装置自身のログしか見られないこともあります。だから、ハードウェアの故障か条件の問題かを、ログから見分けられるようになる必要があります。外から装置につなぐときも同じで、工場が開けた経路を通します。
  • 夜中に呼ばれる:装置が止まったらどのくらいの時間で駆けつけるか、契約によく書かれています。その時間は契約ごとに違います(オンコールの様子は「半導体工場の仕事はきつい?」へ)。
  • 部品を待つ:装置の部品は種類がとても多く、全部を顧客の工場のそばに置いておくことはできません。足りないときは、別の倉庫から回す、空輸する、ひとまず別の装置から外してくる。外してきた部品はあとで戻すので、作業が1回増えます。
  • 速さと正しさのあいだ:顧客は1日でも早く生産を始めたいし、自分の会社も1日でも早く検収のサインがほしい。けれど航空機整備の研究は、「急ぐこと」を整備ミスのよくある原因のひとつに挙げています。確認を1つ省くと、そのミスはその場では見えず、しばらくしてから表に出ることがよくあります。

だから、サービスのたびにサービスレポートを書きます。何をしたか、どれだけかかったか、誰がしたか、これから何に気をつけるか。顧客のためでもあり、次に直しに来る人のためでもあります。

fab24hrでは

「出勤」を押して「工場の一日」を選び、「今日のあなたは」のカードで「開発ライン」を押し、左右にスワイプして装置メーカーの常駐エンジニアへ(開発ラインとは何かは「開発ラインと量産工場は何が違う?」へ)。顧客の開発ラインに届いた新しいエッチング装置ETCH-R1を担当し、ゲームを開いた時刻で、どのシフトになるかが決まります。

  • 朝シフト「初日」:Glowmere(顧客の補聴器用チップ)のウェーハ投入の2週間前、この顧客の工場に初めて来た日です。開発ラインは別の棟にあり、どの廊下も同じに見え、最初の1分は「案内して」が出ません。ETCH-R1が顧客の条件を流している最中にアラームを出しますが、その条件は見られません。入構証ではエアシャワーが開かないので、権限のある人に連れて入ってもらいます。メンテナンスでは、あなたが説明し、顧客の装置エンジニアのジェンホンが手を動かします。
  • 昼シフト「1つ足りない」:ウェーハ投入の1週間前。検収に使う部品が1つ壊れ、予備品の棚にあるのは古い版です。新品を空輸するか、自社のデモ機から1つ外すか、ひとまず古いものを付けてその項目はあとで再試験するか。
  • 深夜シフト:ウェーハ投入から2週目の午前2時、ジェンホンから電話。ETCH-R1が工程の途中で止まり、中にはGlowmereの先行ウェーハがあります。工場側はまだリモート接続の経路を開けていないので、ログを読み上げてもらうしかありません。今から行くか、電話で彼に教えて先にウェーハを取り出してもらうか。
  • 夜シフト「四半期末」:ウェーハ投入から5週間ほどあと。上司は今日、顧客に最終検収のサインをもらいたいのですが、リークチェックの数字はちょうど合格ラインのぎりぎりです。今日サインしてもらうか、顧客にもう1日もらって試験し直すか。1日待てば、先週ESC(静電チャック)を交換したとき、裏側のヘリウムの継手が締まりきっていなかったことが見つかります。サービスレポートに「ESC交換後は、継手のリークチェックを行うこと」の1行が加わり、量産工場のESC交換の手順にも、その1行が加わります。

半年ほどあと、量産工場のエッチング装置エンジニアの朝シフトで、新しいESCを持ってエアシャワーの外で待っている装置メーカーの人。それが、あなたです。

ゲームに出てくる会社、チップ、人物、装置番号、時刻は架空のものです。装置メーカーの常駐エンジニアが何をするか、どう分担するかは、公開されている一般的な資料をもとに書いていて、実際の規則や契約は会社によって違います。ほかの用語は「半導体工場の業界用語を、やさしく解説」へ。

ゲームのどこで出会うか「工場の一日」で「開発ライン」を押すと、装置メーカーの常駐エンジニアとして、顧客の工場の新しいエッチング装置ETCH-R1を担当できます。初日は顧客の工場で道に迷うかもしれず、入構証ではエアシャワーが開きません。四半期末には、リークチェックの数字がちょうど合格ラインのぎりぎりです。

fab24hrで装置メーカーの常駐エンジニアの一日を。顧客の条件は見られず、入構証で開く扉はいくつかだけ。四半期末、検収を今日サインしてもらうか、顧客にもう1日もらうかは、あなたが決めます。

装置メーカーの常駐エンジニアで遊び、初日から検収のサインまで担当する

先生へ:この記事は「授業でfab24hrを遊ぶ」と組み合わせて授業で使えます。

この記事を引用する「装置メーカーのフィールドサービスエンジニア(FSE)は何をしている?」fab24hr、更新。https://fab24hr.com/ja/blog/vendor-engineer/
授業や非営利の目的なら無料で使えます。投影、プリントへの掲載、生徒への配布もかまいません。fab24hrと明記してください。販売することや、自分の作品として使うことはできません。 誤りを見つけたら報告

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