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工場で働く約8分

半導体工場の装置エンジニアは何をしている?

半導体工場の装置エンジニア(Equipment Engineer、略してEEとも)が見ているのは、装置そのものです。動くようにし、安定して動かし、壊れたら直す。ウェーハにできたものが正しいかを見るのは主にプロセスエンジニアで、2人の分担は「プロセスエンジニアと装置エンジニアはどう違う?」にまとめています。この記事では、装置エンジニア自身の一日だけを取り上げます。

何台もの高価な車を受け持つ整備士を思い浮かべてください。定期的に点検し、途中で故障すれば駆けつけ、直したら試運転をしてから、また走らせます。

装置エンジニアが見る「装置」は、どんなもの?

多くの装置では、中で実際にウェーハを加工するのは、密閉されたチャンバーです。1台に2つ以上あることもよくあります。そのまわりに、ウェーハを運ぶロボットアーム、真空ポンプ、電源、ガスの配管、そしていつも数字を記録しているたくさんのセンサーがあります。

装置エンジニアはたいていエリアごとに担当します。たとえばエッチングエリアならエッチング装置です(どんなエリアがあるかは「半導体工場の7つのプロセスエリアは、それぞれ何をしている?」へ)。同じ種類の装置を長く見ていると、今日はいつもとどこが違うかがわかりやすくなります。

ふだんの一日は? 計画どおりのメンテナンス

使ううちに部品はすり減り、チャンバーは汚れます。いちばん基本の仕事は、計画どおりのPM(予防保全、定期メンテナンス)です。壊れる前に止めて、手入れをします。計画はカレンダーで決めるものもあれば、何枚流したかなどの使用量で決めるものもあり、センサーの数字が変わりはじめてから入れるものもあります。

メンテナンスでよくやること:

  • チャンバー開放:チャンバーを開けて、内壁に少しずつたまったものを落とします。始める前に電源とガスのバルブをロックし、名前を書いた札を下げます。これがロックアウト・タグアウトで、「中で作業中、触らないで」という合図です。
  • 部品交換:たとえばOリング。2つの部品のあいだに挟んでガスを止めるゴムの輪です。プラズマと熱に長くさらされると少しずつ劣化し、密閉が悪くなり、かけらが出ることもあります。
  • 記録する:何を替え、何を測ったかをPM記録に書きます。次にメンテナンスをする人が、あとから確かめられるように。

メンテナンス中の装置は生産できません。これもダウンの一種で、あらかじめ予定したダウンです。

メンテナンスのあと、すぐ生産を始められないのはなぜ?

「組み直した」は「元どおり」と同じではないからです。一度開けたチャンバーは中の状態が変わっているので、ひとつずつ確かめていきます。

  1. 真空引き:ふたを閉めて空気を抜きます。開けているあいだに空気中の水分が内壁につき、少しずつしか離れていかないので、長く待つことがよくあります。
  2. リークチェック:組み直した継ぎ目は、ひとつ締め忘れるだけで漏れます。1か所ずつ確かめて、すき間がないことを確認します。
  3. シーズニング:きれいにしすぎた内壁では、最初の数枚がいつもと違う結果になります。そこで、お客さんの製品ではないダミーのウェーハを数枚流して、内壁を落ち着かせます。
  4. テストラン:テストウェーハで結果を測ります。たとえば削る速さや、パーティクル(微粒子)が何個増えたか。規格内なら、装置は復旧して生産に戻ります。

どの手順を誰がやるかは、工場によって違います。よくあるのは、ハードの部分を装置エンジニアが終えて、プロセスエンジニアに装置引き渡しをし、プロセスが結果を確かめる形です。両方が合格して、はじめて修理が終わります。内壁のせいで結果が少しずつずれる理由は「エッチングとは?」へ。

夜中に装置がダウンしたら、電話は誰に?

半導体工場は24時間止まりません(理由は「半導体工場はなぜ24時間止まらないのか」へ)。エンジニアの多くは日勤で、夜は交代でオンコールを受け持ちます。今週が自分の番なら、夜中に装置で何か起き、夜勤で対応しきれないとき、電話はあなたにかかってきます。

よくある流れはこうです。装置が赤ランプになり、アラームが出ます(重めの異常で、装置はたいてい自分で止まります)。現場の技術員がまずOCAP(異常処置の手順)に沿ってできることをし、装置のオンコールに電話します。技術員とエンジニアの連携は「オペレーター(技術員)とエンジニアはどう違う?」へ。

電話に出たら判断します。どの部品、どの信号が原因か。朝まで待てるか、今すぐ工場に行くか。部品を先に手配するか。

ひとつ、こらえたいことがあります。すぐにリセットを押すことです。エラーを消せば装置はまた動けるように見えますが、原因が残っていれば、同じ問題がすぐにまた起きます。

稼働率、ダウン、アップ:装置エンジニアはどんな数字を見る?

生産できる状態がアップ、できない状態がダウンです。稼働率は、装置の時間のうちどれだけを生産に使えたかを表します。計算のしかたは工場によって少し違います。業界には公開された国際規格があり、装置の時間を6つの状態に分けます。たとえば待機、予定したダウン(メンテナンス)、予定外のダウン(故障)です。

稼働率のほかに、よく追う数字が2つあります。平均してどれくらいで故障するか、そして1回の修理に平均どれくらいかかるか。前者は長く、後者は短くしたい数字です。

なぜそこまで気にするのか。装置はとても高価で、止まっていても価値は目減りしていきます。1台止まれば、後ろのロットも待たされます。とはいえメンテナンス自体もダウンです。やりすぎれば止まる時間が増え、少なすぎれば壊れたときにもっと長く止まり、その前に何枚かウェーハをだめにするかもしれません。そこで、装置の監視データを見てメンテナンスの時期を決め、いらないメンテナンスと思わぬ故障の両方を減らそうとする研究もあります。

その監視システムがFDCです。センサーの数字がしきい値を超えると、人を呼ぶ通知を出します。しきい値がきつすぎると誤報が続き、ゆるすぎると、ゆっくり悪くなっていく問題を見逃します。

装置エンジニアは誰と一緒に働く?

誰一緒にすること
技術員現場でいちばん早く異変に気づくことが多い。手順どおりに対処してから、見たことを電話で正確に伝える
プロセスエンジニア修理後の装置引き渡しとテストラン。装置の中と後ろのロットをどうするかを判断する
製造部「いつ直りますか」と聞いて、後ろのロットの段取りをする
ファシリティ装置が使う電気、水、ガス、化学品を見る。問題がどちらの側にあるかを一緒に切り分ける
メーカーのエンジニア大きな問題や特別な部品を、一緒に見る

ファシリティとの分担は、だいたい装置の接続口が境目です(「半導体工場のファシリティエンジニアは何をしている?」へ)。たとえばポンプがどんどん熱くなるなら、まずファシリティに冷却水のメイン配管が正常かを聞きます。配管もほかの装置も正常なら、問題はこの装置の側にあります。製造部の段取りは「半導体工場の製造部は何をしている?」へ。生産中の装置でテストをしたいときは、製造部から装置借用をします。貸し出しているあいだ、その装置は製品を流しません。

fab24hrでは

「出勤」を押して「工場の一日」を選び、「今日のあなたは」のカードで「量産工場」を押し、左右にスワイプして装置エンジニアで止め、名前の下の「エッチング」を押すと、エッチング装置エンジニアになります。4つのシフトのどれになるかは、開いた時刻で決まります。

  • 深夜シフト「電話3件」:今週の装置のオンコール当番はあなた。家にいて、夜勤から届く写真が目のかわりです。洗浄装置の液面が低い、エッチング装置のチャンバーAがウェーハを吸着できない、成膜装置のポンプがどんどん熱くなる。写真ごとに、どれが原因で、どれがただの結果かを見分けます。
  • 朝シフト「チャンバー開放」:ETCH-03のチャンバーAは未明から止まったまま。今日開けるのはあなたです。ロックアウト・タグアウト、ベントして冷めるのを待つ、古いESC(静電チャック)を外す、8本のボルトを対角締め、真空引き、リークチェック。どの手順も少しずつ時間を省けますが、省いた分は、あとで返ってきます。終わって引き渡すとき、先輩のカイさんが言います。「直っただけでは終わりじゃない。プロセスが合格と言って、やっと終わり」。
  • 昼シフト「部品切れ」:成膜装置CVD-02は大規模PMのあと、パーティクルの検査に通りませんでした。交換用のシャワーヘッドの予備品は明日にならないと届きません。ほかの課から借りるか、すべてのロットでモニターウェーハを流して先に動かすか、明日まで止めるか。決めるのはあなたです。日によっては、昼シフトがリソグラフィのホットプレートの話になります。
  • 夜シフト「誤報続き」:ESCを替えた修理報告を書くために残ると、FDCがずっとあなたを呼びます。ほとんどは誤報です。しきい値をゆるめるかどうかも、あなたが選びます。

ゲームに出てくる会社・人物・装置番号・数字は架空です。装置エンジニアが何をするのか、なぜそうするのかは、公開されている一般的な資料をもとに書いています。実際の分担は会社ごとに違います。ほかの用語は「半導体工場の業界用語を、やさしく解説」へ。

ゲームのどこで出会うかエッチング装置エンジニア(量産工場 › 装置 › エッチング)を遊ぶと、深夜シフトでは今週のオンコール当番として、家で夜勤から届く写真を見て何が壊れたかを見立てます。朝シフトではETCH-03のチャンバーAを自分で開けて部品を替え、プロセスに渡してテストランです。

fab24hrでエッチング装置エンジニアの一日を。どの手順も少しずつ時間を省けますが、省いた分は、あとで返ってきます。

エッチング装置エンジニアで遊ぶ。夜は電話、朝はチャンバー開放

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