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パッケージとテスト約8分

SiPとは? チップと小さな部品を、1つの小さなモジュールに

SiPは System in Package の略で、日本語ではシステム・イン・パッケージと呼ばれます。チップと、それに必要な抵抗やコンデンサなどの小さな部品、多くの場合はほかのチップもいっしょに小さな基板に載せ、樹脂で封止して1つの小さなモジュールにしたものです。外から見ると普通のチップのようですが、中身は小さな1つのシステムです。

チップのまわりに、なぜ小さな部品がたくさんあるのか

電子機器を開けると、回路基板の上には黒いチップのほかに、ゴマ粒ほどの小さな部品がたくさん並んでいます。その多くは抵抗とコンデンサです。

  • 抵抗:流れる電流の大きさをおさえます。水道のホースを少しつまむようなものです。
  • コンデンサ:電気を少しだけためておき、必要なときにすぐ渡します。すぐそばに置いた小さなバケツのようなものです。チップが急にたくさん電気を使っても、電圧が一気に下がらずにすみます。

チップは、これらがあってはじめて安定して動きます。では、チップの中につくり込めばいいのでは? できるものもあります。しかし、たくさん電気をためるコンデンサはチップの上で広い面積を取り、チップの面積は高価です。そのため、別につくった小さな部品にすることが多いのです。1つの製品に、チップが1個だけとは限りません。

SiPは何をまとめるのか

普通のパッケージは、たいてい1個のチップを1つのケースに入れます(「パッケージングとは? できあがったチップをさらに包む理由」を参照)。製品をつくる会社は、そのチップと、まわりの何十個もの小さな部品を、1個ずつ自分の回路基板にはんだ付けします。

SiPでは、それをパッケージの中で先にすませます。チップと小さな部品を小さな基板に載せてつなぎ、まとめて封止します。製品をつくる側が受け取るのは、部品1個だけです。

お弁当に少し似ています。おかずは同じでも、先に1つの小さな箱に詰めてあるので、受け取ればすぐに食べられます。

SiPには、だれもが同意する1つの定義はありません。厳しい定義では、中に2個以上の違うチップが入っていることが条件です。よくあるSiPも、実際に数個のチップに抵抗やコンデンサを組み合わせたもので、アンテナやセンサーが入ることもあります。ニュースでいう「異種集積」は、別々につくった種類の違うものを1つにまとめることで、SiPはそのよくある形の1つです。

なぜSiPにするのか

  • 小さく、場所を取らない:回路基板に散らばっていた部品が、モジュールの中ではずっと詰めて並び、1個にまとまります。イヤホン、腕時計、補聴器のように小さくて機能の多いものほど、これが必要です。
  • 道が短い:コンデンサがチップに近いほど、すばやく電気を補えます。信号が通る道も短くなります。
  • すぐに使える:モジュールは出荷前に丸ごとテスト済みで、製品をつくる側がはんだ付けする部品がぐっと減ります。

SiPとSoCの違いは?

SoCは System on Chip(システム・オン・チップ)の略で、日本ではシステムLSIとも呼ばれます。計算、記憶、無線などの機能を、すべて1つのチップの中に設計したものです。一方のSiPは、別々につくったチップや部品を、1つのパッケージに収めたものです。

たとえるなら、SoCはすべての店を1棟の大きなビルに入れたもの。SiPは、それぞれ別に建てた小さな店を同じ敷地に並べ、まわりを塀で囲んだものです。

SoC(システム・オン・チップ)SiP(システム・イン・パッケージ)
どこにあるかすべて1つのチップの上いくつものものが1つのパッケージの中
つくり方すべて同じプロセスでつくるチップごとに、いちばん合ったつくり方を選べる
大きさいちばん小さいSoCより大きいが、基板に散らばるよりずっと小さい
チップどうしの道いちばん短い(チップの中)チップの中より長く、回路基板の上より短い
新しくつくるとき一から設計してフォトマスクをつくるので、時間もお金もかかる。ただし、とても大量につくるなら1個あたりはいちばん安いすでにつくってテストしたチップを組み合わせられるので、たいてい早い

なぜ全部をSoCにしないのでしょうか。計算を受け持つ回路と同じつくり方では、いっしょにつくりにくいものがあるからです。たとえば無線の信号を扱う回路、一部のメモリやセンサーです。容量の大きいコンデンサも入りません。こうしたものは別につくり、あとで1つにまとめます。

どちらか一方を選ぶ、という話でもありません。多くのSiPの中には、SoCが1個入っていて、そのまわりに必要なほかのチップや小さな部品が並んでいます。

SiPと先端パッケージの違いは?

ニュースでいう先端パッケージは、数個のチップをインターポーザの上に横に並べたり、積み重ねたりして、すぐ近くで密につなぎ、1個の大きなチップのように働かせるものです(「ニュースの「先端パッケージ」とは?」を参照)。大事にしているのは、チップどうしの道を短く、太くすることで、AI用のチップでとくに必要とされます。

SiPが大事にしているのは、小さなシステムが丸ごと収まるかです。チップ、抵抗、コンデンサ、ときにはアンテナまで、1つの小さなモジュールに詰め込みます。つなぎ方は、部品実装、ワイヤボンディング、チップを裏返して基板に直接はんだ付けするフリップチップなど、こなれた方法が中心です。

2つの言葉は重なる部分もあります。チップを積み重ねるSiPもありますし、先端パッケージをSiPの一種に数える人もいます。こう覚えておくとよいでしょう。先端パッケージは数個のチップを1個のチップのように、SiPは小さなシステムを1個の部品のようにするものです。

SiPはどうやってつくる?

SiPモジュールを横から見るとモールド樹脂チップワイヤ抵抗コンデンサ基板下で回路基板につながる
横から見た模式図で、縮尺はそろえていません。本物のSiPには、チップがいくつも入っていることがよくあります。

ワイヤボンディングで外につなぐSiPを例にすると、おおよそ次のような流れです(部品実装とダイボンドの順番は、ゲームの組立ラインに合わせています)。

  1. 先にテストしてから切る:ウェーハ上のチップを1個ずつ細い針でテストし(ウェーハテスト)、ウェーハを裏から薄く削ってから、1個ずつに切り分けます(ダイシング)。
  2. 部品実装:基板の小さな金属の面にはんだペーストを印刷し、小さな抵抗やコンデンサを載せて、長い炉に通します。はんだペーストが溶けて固まると、部品がはんだ付けされます。
  3. ダイボンド:良品のチップを1個ずつ取り上げ、接着剤で基板に貼ります。ウェーハテストで不良と判定されたチップは取り上げません。
  4. ワイヤボンディング:髪の毛より細い金属線で、チップの接点を1本ずつ基板につなぎます(くわしくは「ワイヤボンディングとは? チップはどうやって外とつながる?」)。ワイヤを使わず、フリップチップでつなぐSiPもあります。
  5. モールド:たくさんのモジュールが並んだ1枚の基板をまとめて金型に入れ、樹脂で封止します。そのあとX線で、線が樹脂に流されていないかを確かめます。
  6. 切り分ける:封止した1枚を、1個ずつのモジュールに切り分けます。
  7. ファイナルテスト:モジュールを丸ごと、もう一度テストします。封止したあとで初めて出てくる問題もあるからです。
  8. 梱包して出荷:モジュールをテーピングに入れます。樹脂は空気中の水分を吸い、回路基板にはんだ付けするときの熱で割れることがあるので、乾燥させてから防湿梱包にします。

中の1個が不良だったら?

SiPには弱点が1つあります。中の部品が1つでも不良なら、モジュールごと使えなくなり、ほかの良品もいっしょに無駄になります。封止したあとは、開けて直すのも難しいのです。

仮の数字で計算してみましょう。1つのモジュールにチップが4個入っていて、どのチップも良品である確率が90%だとします。4個とも良品である確率は 0.9 × 0.9 × 0.9 × 0.9 で、およそ3分の2しかありません。

だから、チップは1個ずつ先にテストし、良品だけを入れます。ウェーハを切る前にウェーハテストをするのも、そのためです(「チップはどうテストする? ウェーハテスト(CP)とファイナルテスト(FT)の違い」を参照)。

fab24hrでは

メインストーリー「チップの一生」第11章「ボールが浮いた」では、あなたは後工程工場の組立プロセスエンジニアです。ラインリーダーのシューフイが、ダイシング装置から部品実装ラインへ案内してくれます。「Glowmereが入るのはSiPモジュール。小さな基板に、チップと、抵抗やコンデンサがいくつか載ってる。」先に部品実装、それからダイボンド。ワイヤボンダの並ぶところでは、WB-03のプルテストで2本がおかしく、装置を止めるかどうかはあなたが決めます。第13章「父の手に」では、Glowmereの入った新しい補聴器が、シェンさんの父の手に届きます。

「出勤」を押して「工場の一日」を選び、「今日のあなたは」のカードで「後工程工場」を押し、左右にスワイプして組立プロセスエンジニアにします。4つのシフトのどれになるかは端末の時刻で決まり、どれもこの組立ラインです。午後のシフトが第11章です。

ゲームのGlowmereのモジュールは、ずっと単純です。チップは1個だけで、そこに抵抗やコンデンサがいくつか載っています。厳しい定義では、SiPと呼ぶには2個以上の違うチップが必要で、ゲームでは広い意味の呼び方を使っています。ゲームに出てくる後工程工場、チップ、人物、装置の番号は架空です。SiPとは何か、どうつくるのかは、公開されている一般的な資料をもとに書いています。「90%」は仮の数字です。ほかの用語は「半導体工場の業界用語を、やさしく解説」へ。

ゲームのどこで出会うかメインストーリー「チップの一生」第11章「ボールが浮いた」では、シューフイが組立ラインを案内し、部品実装ラインで、GlowmereはSiPモジュールに入ると教えてくれます。小さな基板にチップと、抵抗やコンデンサがいくつか載ったものです。「工場の一日」で後工程工場の組立プロセスエンジニアを選ぶと、4つのシフトはどれもこの組立ラインです。

fab24hrでは、補聴器用のチップといくつかの抵抗やコンデンサが、組立ラインで爪より小さなモジュールになります。部品実装、ダイボンド、ワイヤボンディング、モールド。どの工程にも、見守る人がいます。

第11章を遊び、シューフイとGlowmereがモジュールになるまでを見る

先生へ:この記事は「授業でfab24hrを遊ぶ」と組み合わせて授業で使えます。

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