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パッケージとテスト約7分

バーンインとは? チップを出荷前に「焼く」のはなぜ?

バーンイン(burn-in)とは、チップを出荷する前に、ふだんより熱く、電圧も少し高い状態で電気を流し、しばらく動かしておくことです。目的はチップを壊すことではありません。生まれつき弱く、使い始めてまもなく壊れてしまうチップを、使う人の手に渡る前に工場で先に壊し、取り除くことです。

テストはしたはずなのに、なぜ壊れるの?

チップは出荷前に1個残らずテストされます。ふつうは2回で、切り分ける前のウェーハで1回、パッケージに入れたあとにもう1回、ファイナルテストです(何をどう調べるかは「チップはどうテストする? ウェーハテスト(CP)とファイナルテスト(FT)の違い」へ)。でもテストが問うのは「今、良品か」です。

今は良品でも、ごく小さな欠陥を抱えたチップがあります。たとえば細い線のつなぎ目が少しだけ弱い(線のつなぎ方は「ワイヤボンディングとは? チップはどうやって外とつながる?」へ)、あるいは作る途中でほんのわずかな汚れが入り込んだ。電気を入れた直後は何も問題がなく、テストにも合格します。ところが数日、数週間と使ううちに小さな欠陥が大きくなり、チップは壊れます。

このように、使い始めてまもなく壊れることを初期故障といいます。多くは製造のときに残った小さな欠陥が原因で、設計が悪いわけではありません。

新しく買ったシャツのボタンが1つ、ゆるく縫われていたようなものです。試着ではわからず、何回か着たところで取れてしまいます。

バスタブ曲線:チップはいつ壊れやすい?

同じチップをたくさん使い始めて、時期ごとにいくつ壊れたかを記録し、線にすると、バスタブ(浴槽)のような形になります。だからバスタブ曲線と呼びます。3つの時期に分かれます。

  1. 初期故障:使い始めは壊れる割合が高めですが、すぐに下がります。小さな欠陥を抱えたものが早いうちに1つずつ壊れていき、残るのは丈夫なものだからです。この時期は、ふつう最初の数週間から数か月です。
  2. 偶発故障:その後の長い期間は、壊れる割合が低く、ほぼ横ばいです。ときどきは壊れますが、運のようなもので、どれがいつ壊れるかは読めません。
  3. 摩耗故障:何年も使ううちに材料が少しずつ傷み、壊れる割合がまた上がっていきます。

左が高く、底が平らで、右がまた上がる。バーンインが扱うのは、いちばん左の部分だけです。真ん中の運や右側の摩耗には役に立ちません。

バーンインでは何をしているの?

チップを劣化させる化学反応の多くは、温度が高いほど速く進みます。電圧を少し高くすると、弱いところもより早く表に出てきます。そこでチップをオーブンのような装置に入れ、温めながら電気を流して、しばらく動かします。使う人の手元なら数週間はもったはずの弱いものが、工場のうちに先に壊れます。

温度は100°C以上が多く、たとえば125°Cです。時間は製品によって数時間から数日まで。いちばん厳しい軍用や宇宙用の部品では、1個残らず、しかも数日かけて焼くよう規格で決められています。

焼いたあとにもう一度テストして、壊れたものを取り除きます。持ちこたえたものは、バスタブのいちばん左の時期をもう通り過ぎたチップとして、出荷に回ります。

なぜ、すべてのチップをバーンインしないの?

いいことずくめに聞こえますが、代償があります。

  • 時間がかかる:ロットごとに数時間から数日よけいに待つので、出荷もそのぶん遅れます。
  • お金がかかる:専用の装置で一度にたくさんのチップを焼き、その1個1個に電気を流します。場所をとり、電気も使います。
  • 壊れた分は捨てる:焼いて壊れたチップは、もとは良品に数えていたものです。それを差し引くので、歩留まりが下がります。
  • 焼きすぎもよくない:良品のチップも寿命を少し使います。焼きすぎると、バスタブの右側へ早めに押しやることになります。

だから、どの種類のチップでも全数を先に焼くわけではありません。よく行われるのは、壊れたときの損失が大きいものです。車の中のチップ、医療機器、航空機や宇宙機、通信の基地局のように動かし続ける設備などです。走っている途中や病院の中で壊れることを考えれば、数日よけいに焼くほうがずっと安く済みます。

もっと根本的な方法もあります。小さな欠陥がどの工程から来ているのかを突き止めて、工程を直すことです。初期故障が十分に減れば、バーンインは短くでき、やがてやめることもできます。

全数を焼かないなら、ロットの良し悪しはどうわかる?

ひとつの折衷案は抜き取りです。ロットから数百個を取り出し、高温で電気を流して1〜2日動かし、いくつ壊れるかを見ます。たくさん壊れれば、そのロットに問題があるかもしれないので、まず調べます。1つも壊れなければ、ひとまず安心できます。

ただし、抜き取りでは弱いものを1つ残らず取り除くことはできません。選ばれなかったチップは、そのまま出荷されます。抜き取りが答えるのは「このロットはだいたい大丈夫か」で、「このチップは大丈夫か」ではありません。

バーンインとHTOLは何が違う?

信頼性試験には、バーンインとよく混同されるものがもう1つあります。HTOL(高温動作寿命試験)です。どちらも「高温で、電圧をかけて、しばらく動かす」ものですが、答えようとしている問いが違います。

バーンインは選別です。出荷するチップを1個残らず短い時間焼き、弱いものを取り除きます。

HTOLは確認です。新しい製品や新しい工程が量産に入る前に、一部のチップを抜き取って1000時間、約6週間、休まず動かします。よく使われる仮定のもとでは、何年分もの使用をその中に詰め込むことになります。よくある基準は3ロット、各77個で、1個も壊れてはいけません。それで示すのは、この種類のチップをこの作り方で作れば十分長持ちする、ということです。

バーンインHTOL
目的選別:弱いものを取り除く確認:この種類のチップは十分丈夫か
どのチップ出荷するものすべて抜き取った一部
時間数時間から数日1000時間、約6週間
いつ量産中、出荷前量産に入る前
見るもの壊れたものを取り除き、残りは出荷1個も壊れなければ合格

ひとことで言えば、バーンインは「このチップは生まれつき弱くないか」を、HTOLは「この種類のチップは何年も使えるか」を問います。

fab24hrでは

メインストーリー「チップの一生」第12章「出荷前夜」では、あなたは後工程工場の顧客窓口です。補聴器用チップ「Glowmere」の最初のロットは、明日の朝8時に出荷の予定です。信頼性試験室のファンは、数百個を抜き取ってオーブンに入れ、高温で電気を流して2日間動かせば、初期故障を調べられると言います。その後ろの壁には、バスタブ曲線が貼ってあります。ただ、試験と分析を合わせると、ロット全体の出荷は1週間遅れます。先に抜き取りで試験するか、予定どおり出荷するか、決めるのはあなたです。抜き取りの結果は、ひとつ前の章でワイヤボンダを止めて調整し直したかどうかで変わります。

第4章「2週間前倒し」は開発ラインが舞台で、あなたは開発インテグレーションエンジニアです。HTOLは500時間の読み出しを過ぎたところで、3ロット、各77個、壊れたのは0個。終わるまで、あと3週間です。顧客は2週間早くチップがほしいと言っています。終わるのを待つか、先にリスク投入するか、あなたが提案します。

「出勤」を押して「工場の一日」を選び、「今日のあなたは」のカードで「後工程工場」を押し、左右にスワイプして顧客窓口にします。夜のシフトが第12章です。朝のシフトでは、ファンが信頼性試験室で、顧客から戻ってきたサンプルをいっしょに調べてくれます。

ゲームの中のGlowmereの最初のロットは、抜き取りで初期故障を調べるだけで、全数のバーンインはしていません。後工程工場、チップ、人物、「2日間」「1週間遅れ」といった数字は、どれも架空の設定です。バーンイン、バスタブ曲線、HTOLが何かは、公開されている一般的な資料をもとに書いています。ほかの用語は「半導体工場の業界用語を、やさしく解説」へ。

ゲームのどこで出会うかメインストーリー「チップの一生」第12章「出荷前夜」では、あなたは後工程工場の顧客窓口です。信頼性試験室のファンが、数百個を抜き取って2日間、初期故障を調べられると言い、その後ろの壁にはバスタブ曲線が貼ってあります。出荷を1週間遅らせるかは、あなたが決めます。第4章は開発ラインで、HTOLの結果を待つ話です。

fab24hrでは、明日の朝8時にトラックが荷物を取りに来ます。先に2日間抜き取りで試験してロット全体を1週間遅らせるか、予定どおり出すか。決めるのはあなたです。

第12章を遊び、出荷前に2日間の抜き取り試験をするか決める

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