パッケージングとは? できあがったチップをさらに包む理由
パッケージングとは、ウェーハの上でできあがったチップを、チップを守り、回路基板にもつなげられるケースに収めることです。スマートフォンやパソコンを開けると、回路基板の上に黒い小さな四角が並んでいます。その多くはチップそのものではなく、パッケージに入ったチップです。本物のチップは中にあって、ケースよりずっと小さいことがよくあります。
できたばかりのチップはどんな姿?
チップはウェーハの上でつくられます。ウェーハは薄くて丸いシリコンの板で、その上に同じチップが碁盤の目のように、何百、何千と並んでいます。1個1個は四角い小さなシリコンのかけらで、大きさは米粒より小さいものから、爪くらい、あるいはそれより大きいものまであります。
このかけらはとても薄いものです。ウェーハはもともと1ミリ足らずの厚さで、クレジットカードとほぼ同じ。パッケージに入れる前に裏から削って薄くし、紙1枚くらい、あるいはもっと薄くすることもよくあります。しかもシリコンはガラスと同じで、硬いけれど割れやすい。角をぶつけると欠けてしまいます。
チップをそのままスマホに入れられないの?
入れられません。むき出しのチップには、少なくとも3つの問題があります。
- さわれない:薄くて割れやすいので、落としたり押したりすると割れます。表面の回路はごく細い金属と薄い膜でできていて、ほこりや湿気、手の汗がつくと、やがて腐食して壊れます。光が当たるだけで影響を受ける回路もあります。
- 外とつなげない:チップは表面の小さな金属の部分を通して、外から電気をもらい、信号をやりとりします。この部分を接点と呼びます。接点は顕微鏡でないとよく見えないほど小さく、しかもびっしり並んでいます。回路基板のはんだ付けの点はそこまで細かくできないので、直接はんだ付けできません。
- 熱を逃がせない:チップは動くと熱を出します。スマホを使っているうちに温かくなるのも、チップの熱がひとつの原因です。小さなシリコンのかけらだけでは熱の逃げ場がなく、熱くなりすぎると誤動作したり、壊れたりします。
パッケージの3つの仕事とは?
パッケージは、この3つの問題をまとめて解決します。
- 守る:硬いプラスチック(セラミックや金属のこともあります)でチップをすっぽり包み、衝撃やほこり、汚れ、光をさえぎります。
- 接点を外に出す:チップの細かくびっしり並んだ接点を1本ずつ、ケースの外に見える金属の端子や、底に並んだ小さなはんだボールにつなぎます。端子やはんだボールは接点よりずっと大きく、間隔も広いので、回路基板にはんだ付けできます。
- 熱を逃がす:チップの熱を、ケースや端子を通して回路基板に伝え、広げて逃がします。電力を多く使うチップなら、ケースの上にさらにヒートシンクやファンを取りつけることもできます。
2つ目の仕事は、変換アダプタに少し似ています。片側はチップの小さな接点に、もう片側は回路基板のずっと大きなはんだ付けの点に合わせ、そのあいだをパッケージが受け持ちます。
パッケージングはどんな工程で進む?
パッケージのつくり方はいろいろあります。よくある方法のひとつでは、おおまかに次のように進みます。
- ダイシング:ウェーハを裏から薄く削ってテープに貼り、ダイヤモンドの粒をつけた薄い刃で、チップのあいだに残しておいた細いすき間に沿って切ります。テープのおかげで、切ったチップがばらばらになりません。
- ダイボンド:装置が良品のチップを1個ずつ拾い上げ、小さな基板や、リードフレームと呼ばれる金属の枠に接着剤で固定します。電力を多く使うチップでは、代わりに金属のはんだを使い、熱がチップの底からうまく逃げるようにします。
- ワイヤボンディング:髪の毛より細い金属線で、チップの接点を1本ずつ基板や枠につなぎます。装置はまず線の先を溶かして小さなボールにし、接点に押しつけて、熱と圧力と超音波でくっつけます。それから線を反対側まで引いて、そこにも押しつけます。細い糸でひと針ずつ縫い合わせるのに似ていますが、どのひと針も装置が縫います。
- モールド:チップとワイヤを金型に入れ、熱でやわらかくした樹脂を押し込んで全体を包み、金型の中で熱をかけて固めます。ワイヤはとても細いので、流れる樹脂に押されて曲がることがあります。そこで封止のあとはX線で確かめます。ケースに型番やロット番号を印字し、最後に切り分けたり整えたりして、1個ずつにします。
- ファイナルテスト:パッケージに入れたあと、もう一度テストします。ワイヤがつながっていないこともあれば、パッケージに入れてから特性が変わることもあるので、改めてテストし、良品だけを出荷します。
ワイヤを使わない方法もあります。チップの接点に小さな突起(バンプ)をつくり、チップを裏返して、そのまま基板にはんだ付けするもので、フリップチップと呼ばれます。どの方法でも、パッケージの仕事は同じ3つです。
後工程工場は何をしているの?
チップづくりは、大きく2つの段階に分かれます。ウェーハの上に回路を1層ずつつくるのが半導体工場の仕事で、一般に「前工程」と呼ばれます(工場の各エリアが何をしているか)。できあがったウェーハをテストし、切り分け、パッケージに入れて、もう一度テストするのが「後工程」で、パッケージングとテストをまとめてこう呼びます。
前工程も後工程も自社で行う会社もあれば、パッケージングとテストを専門に行う工場に任されるチップも多くあります。そうした工場が後工程工場です。
ウェーハが後工程工場に届いて最初にするのは、たいてい切ることではなく、テストです。切り分ける前に、すべてのチップの接点に細い針を当てて測り、どれが不良かを記録します(ウェーハテスト)。これはお金の節約のためです。不良品を先に取り除いておけば、それをパッケージに入れる費用がかかりません。パッケージに入れて最後のテストを終えた部品は、長いテープの小さなポケットに入れてリールに巻くことが多く(テーピング)、お客さまの工場へ送られて、装置が1個ずつ回路基板に載せていきます。
ニュースでよく聞く「先端パッケージ」とは?
ここまでの話は、たいてい1個のチップを1個の部品にするものです。いまニュースでよく聞く「先端パッケージ」は、いくつものチップを横に並べたり積み重ねたりして、ひとつのパッケージにまとめるものです。どうやってつくるのか、なぜ最近よく話題になるのかは、別の記事で書く予定です。
fab24hrでは
fab24hrのメインストーリー「チップの一生」では、第三幕の舞台が後工程工場です。第10章「待機電流」ではテストエンジニアとして、あるテスト項目の上限をどこに引くかを決めます。第11章「ボールが浮いた」では組立プロセスエンジニアとして、ワイヤボンダのプルテストで2本がおかしいことに向き合います。第12章「出荷前夜」では顧客窓口として、先に抜き取りをするか、予定どおり出荷するかを決めます。「工場の一日」では「役割を変える」で「後工程工場」を選べば、どの時間帯でもこれらの仕事ができます。組立プロセスエンジニアの4つのシフトは、それぞれ1つの工程を受け持ちます。深夜はワイヤボンディングを待つ基板、朝はダイシング装置の刃、午後はプルテスト、夜はモールドで曲がったワイヤです。
ゲームのチップ「Glowmere」は架空の補聴器用チップで、小さなSiPモジュールになります。チップの横に小さな抵抗やコンデンサが並び、いっしょに小さな基板に載っています。後工程工場、人物、数字は架空のもので、パッケージングが何をするのか、なぜ必要なのかは、公開されている一般的な資料をもとに書いています。ほかの用語は「半導体工場の業界用語を、やさしく解説」へ。
ゲームのどこで出会うかメインストーリー「チップの一生」の第三幕は、後工程工場が舞台です(第10〜12章)。「工場の一日」では「役割を変える」で「後工程工場」を選ぶと、テストエンジニア、組立プロセスエンジニア、顧客窓口になれます。
fab24hrの組立プロセスエンジニアは、組立ライン全体を受け持ちます。ダイシング、ダイボンド、ワイヤボンディング、モールド。どの工程の条件も、あなたの担当です。
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