クリーンルームはどれくらいきれい? クラス100、ISO 5の数え方
クリーンルームの清浄度クラスは、空気の中のほこりを数えたものです。空気1立方メートルに、ある大きさ以上の微粒子が何個まであってよいか、その上限で決まります。よく聞く「クラス100」「クラス10」は昔の米国の規格の呼び方で、空気1立方フィートに0.5マイクロメートル以上の粒子が100個以下、10個以下という意味です。いまの国際規格はISO 14644-1(日本ではこれをもとにしたJIS B 9920-1)で、ISO 1からISO 9までの9つのクラスがあります。クラス100はだいたいISO 5、クラス10はだいたいISO 4にあたります。どちらも、数字が小さいほどきれいです。
数えている「微粒子」とは?
ここでいうパーティクル(微粒子)は、空気中にただよう小さな粒のことです。ほこり、皮膚のかけら、服の繊維、煙など。
クリーンルームでいちばんよく数える大きさは0.5マイクロメートルです。1マイクロメートルは1ミリの1000分の1。髪の毛の太さは数十マイクロメートルなので、0.5マイクロメートルの粒子は髪の毛の100分の1ほどで、目ではまったく見えません。
天気予報や大気の情報で、PM2.5という言葉を見たことがあるかもしれません。2.5マイクロメートル以下の粒子のことで、空気1立方メートルの中にどれだけの「重さ」があるかで表します。クリーンルームが気にするのはそれよりさらに小さい粒子で、重さではなく、1個1個の数を数えます。
どうやって数えるのか。パーティクルカウンターという計測器が、決まった量の空気を吸いこみ、レーザー光の中を通します。粒子が光を横切るたびに光が散らばり、ぴかっと光ります。光った回数が粒子の数で、光の明るさから大きさがわかります。
クラス100とISO 5はどう違う?
「クラス100」は、立方フィートを単位にした米国の連邦規格の呼び方です。1立方フィートに0.5マイクロメートル以上の粒子が100個以下ならクラス100、10個ならクラス10、1,000個ならクラス1,000。名前がそのまま上限です。この規格は2001年に国際規格ISO 14644-1に置きかえられましたが、覚えやすいので、いまもよく使われます。
ISOは立方メートルを使います。1立方メートルはおよそ35.3立方フィートなので、100個をかけると約3,530個。ISO 5の上限3,520個にとても近い数字です。2つの規格は測り方が少しずつ違うので、「ほぼ相当する」という言い方をします。
| ISOクラス | 1 m³あたり0.5 µm以上の粒子の上限 | 昔の呼び方 |
|---|---|---|
| ISO 3 | 35個 | クラス1 |
| ISO 4 | 352個 | クラス10 |
| ISO 5 | 3,520個 | クラス100 |
| ISO 6 | 35,200個 | クラス1,000 |
| ISO 7 | 352,000個 | クラス10,000 |
| ISO 8 | 3,520,000個 | クラス100,000 |
| ISO 9 | 35,200,000個 | (なし) |
ISOのあとの数字は、じつは「ゼロの数」です。0.1マイクロメートル以上の粒子で数えると、ISO 1は1立方メートルに10個まで、ISO 5は100,000個まで。数字が1つ大きくなるごとに、上限は10倍になります。大きな粒子はもともと小さな粒子より少ないので、同じクラスでも、0.5マイクロメートル以上の上限は低くなります。ISO 3よりきれいなISO 1とISO 2では、0.5マイクロメートル以上の上限は1けたになるか、決められていないので、おもにもっと小さい粒子で判断します。
もうひとつ。同じクリーンルームでも、中で人が働いているかどうかで、数はかなり変わります。人そのものが大きな粒子の発生源だからです(「クリーンルームでは、なぜ全身を覆う防塵服を着るのか」)。だからクラスを言うときは、どんな状態で測ったかも一緒に示します。できたばかりで装置がまだない状態、装置は動いているが人はいない状態、ふだんどおり人が働いている状態です。
ふつうの空気とくらべると?
0.5マイクロメートル以上の粒子を、1立方メートルあたりでくらべると:
- 都市の屋外の空気:数千万個あることも多く、だいたいISO 9くらい。
- ふつうのオフィス:ある大学のクリーンルームの案内には、およそ1,700万〜3,500万個と書かれています。
- ISO 5(クラス100):多くても3,520個。
つまりISO 5は、外の空気より約1万倍きれいです。外の空気1立方メートルにほこりが1万個あるとしたら、ISO 5の部屋では、同じ1立方メートルに1個だけです。
半導体工場は、なぜここまできれいにするのか
チップの上の線が、とても密に並んでいるからです。いちばん進んだチップでは、いちばん密な線どうしの間隔が数十ナノメートルしかありません(「ニュースの「2ナノ」、いったい何が2ナノなのか?」)。0.5マイクロメートルは500ナノメートルで、その間隔の10倍以上です。
そんな粒子がウェーハに落ちるのは、印刷の途中の回路に大きな石を置くようなものです。線が切れることもあれば、離れているはずの2本の線がつながることもあります。そのチップはだめになり、歩留まりの損失になります(「ニュースの「歩留まり」とは?」)。だから半導体工場は、0.5マイクロメートルより小さい粒子も気にします。
クリーンルームは、どうやってきれいに保つのか
- 天井の大部分がフィルター:空気はHEPAフィルター(いちばん捕まえにくい0.3マイクロメートルの粒子を99.97%以上止める)や、さらに細かいULPAフィルターを通ってから部屋に入ります。
- 空気は上から下へ:フィルターを通った空気は、むらのない風になって下へ流れます。人や装置から出た粒子は床のほうへ運ばれ、宙をただよったり、横に流れてウェーハに乗ったりしにくくなります。
- 床に穴がある:クリーンルームの床は高く上げてあることが多く、穴のあいたパネルが並んでいます。空気は穴を通って床下へ抜け、壁ぎわの通り道を通って天井へ戻り、もう一度フィルターを通って吹き下ろされます。空気の大部分は、こうして部屋の中をぐるぐる回っています。いちばんきれいなクリーンルームでは、部屋じゅうの空気が1時間に100回以上入れかわります。
- 気圧を外より少し高く:高いといっても大気圧の1万分の1くらいですが、それで十分です。扉を開けると空気は外へ流れるので、外のほこりが入りにくくなります。きれいな場所ほど気圧が高く、空気はいつもきれいなほうから、そうでないほうへ流れます。
- 人も物も関門を通る:人は防塵服に着替え、エアシャワーで服の表面の粒子を吹き飛ばします(着方とその理由はこちらの記事で)。物も同じで、まずきれいにふいてから、パスボックス(受け渡し用の小窓)を通して入れます。ふつうの紙や鉛筆のように、くずが出るものは持ちこめません。
建物ぜんぶを最高のクラスにする必要はある?
かならずしもそうではありません。大きな工場のフロアをまるごといちばんきれいなクラスにするには、たくさんの空気を流し、たくさんの電気を使います。いまよく使われるのは、いちばん厳しいきれいさを、ウェーハが本当に外に出る小さな場所にだけ用意するやり方です。
工場の中を移動するとき、ウェーハは密閉されたケース(FOUP)に入り、天井のレールを走る天井搬送(OHT)で装置の前まで運ばれます。ケースが開くのは、装置のロードポート(入口でケースを置く台)に載ったときだけ。ロボットアームがウェーハをそのまま装置の中へ運ぶので、部屋の空気には触れません。ケースそのものは密閉されていて、装置の入口でロボットアームがウェーハを運ぶ小さな区画にも、専用のフィルターがきれいな空気を吹き出しています。こうした小さな空間は、部屋よりもきれいにできます。だから人が歩く通路は、最高のクラスでなくてもかまいません。それでもそこはクリーンルームなので、防塵服はやはり着ます。
fab24hrでは
fab24hrでは、どの役割も、クリーンルームに入る前に防塵服に着替え、エアシャワーを通ります。エアシャワーをタップすると、「高速の清浄な空気で体についた微粒子を吹き飛ばす」と説明が出ます。プロセスエンジニアでは、朝シフトに修理が終わったETCH-03のテストランをあなたが行い、「パーティクル増加数」が10個以下なら合格です。これは1枚のウェーハに粒子が何個増えたかを数えるもので、空気を数えるクリーンルームのクラスとは別のものです。朝と昼のシフトには、モニターウェーハの微粒子が規格外になり、装置を止めるかどうかを決める場面もあります。薄膜装置エンジニアの昼シフトでは、ターゲット交換のあと、テストウェーハの微粒子がいつもより多くなります。パーティクルの用語カードで「もう少し詳しく」を開くと、ISOのクラスも出てきます。ゲームの工場、人物、装置、数字は架空のもので、ゲームの中のクリーンルームがどのクラスかは決めていません。クラスの数え方は、国際規格で公開されている定義をもとに書いています。ほかの用語は「半導体工場の業界用語を、やさしく解説」へ。
ゲームのどこで出会うかクリーンルームに入る前、どの役割もまず防塵服に着替え、エアシャワーを通ります。プロセスエンジニアでは、朝シフトに修理が終わった装置のテストランをして、ウェーハのパーティクルが何個増えたかを見ます。朝と昼のシフトには、モニターウェーハの微粒子が規格外になることもあります。
fab24hrでは、直した装置はまずテストラン。微粒子もエッチングレートも規格内に入ってはじめて、ロットを流せます。
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