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チップのつくり方約7分

ウェーハ洗浄とは? なぜ何度も洗うのか

ウェーハ洗浄とは、チップをつくる工程と工程のあいだに、薬液でウェーハ表面の目に見えない汚れを落とし、超純水ですすいで乾かすことです。落とすものは4種類。小さな粒子、有機物、金属、そしてシリコンが空気の中でひとりでにつくる、ごく薄い酸化膜です。チップは1層ずつ積み上げてつくります。どの工程も少し何かを残し、次の工程は表面の汚れをいちばん嫌うので、大きな工程の前後にはほとんど毎回洗います。そのため洗浄は、フロー全体でいちばん回数の多い工程のひとつです。工場ではウェット洗浄とも呼ばれ、英語では wafer cleaning、wet clean といいます。

ウェーハには何がついているの?

ウェーハは鏡のようにぴかぴかに見えますが、表面はきれいとはかぎりません。落とすものは、だいたい次の4つです。

  • パーティクル(粒子):ほこり、装置の部品がすり減ったかけら、研磨で残った細かい粒。チップのいちばん細い線は数十ナノメートルか、それより細いので、パーティクルが1つ乗るだけで、線が切れたり、2本の線がつながったりします。空気中の粒子はクリーンルームが防ぎます(「クリーンルームはどれくらいきれい?」)が、装置に出し入れしたり薬液に浸けたりするうちに、ウェーハにはやはりついてしまいます。
  • 有機物:レジストの残り、空気中のわずかな有機物のガス。表面に見えない薄い膜が残り、次の層がうまく育たず、くっつきません。
  • 金属:鉄や銅など。薬液や装置の部品から来ることがあります。表面に残ると、ごく薄い絶縁膜が電気に弱くなり、高温でシリコンの中にもぐり込むと、トランジスタがリークしやすくなります。
  • 自然酸化膜:シリコンは空気や水に触れると、表面に原子数個分の厚さしかない酸化膜をひとりでにつくります。保護として残しておく工程もあれば、次の層をきれいなシリコンにじかにつなぐため、先に取る工程もあります。

なぜほとんどの工程の前後で洗うの?

どの工程も何かを残し、次の工程にはそれぞれ苦手なものがあります。

  • エッチングやレジスト除去のあと:削りかすや取りきれなかったレジストを、次の工程へ持ち込めません(エッチングのしくみは「エッチングとは?」)。
  • CMPのあと:スラリーには細かい研磨粒がたくさん入っているので、磨いたあとは必ず洗います(「CMPとは?」)。
  • 拡散炉に入れる前:表面の金属や有機物が高温で「焼き込まれ」、できる酸化膜の質が悪くなります。だから拡散炉のような高温の工程の前には、しっかり洗っておく必要があります(「拡散炉では何をしている?」)。
  • 成膜の前:表面が汚れていると、新しい膜が均一に育ちません。

チップは何十層も重ねてつくり、1層ごとにウェーハはいくつものエリアをひと回りします(「半導体工場の7つのプロセスエリアは、それぞれ何をしている?」)。1枚のウェーハが完成するまでに、洗浄装置を何度も何度も通ります。

洗ったあと、長く置いておくこともできません。きれいなシリコンを空気中に置くと、酸化膜が少しずつ戻り、空気中のものもくっつきます。だから洗浄と次の工程のあいだには、時間の上限があることがよくあります。それがQタイムです(「Qタイムとは? ウェーハを長く置いておけない理由」)。

何で洗うの? よく使われる標準の手順

洗濯で油じみとさびに別のものを使うように、ウェーハも汚れによって薬液を変えます。いちばんよく使われる標準のウェット洗浄は何十年も前に決まったもので、いまも多くのレシピのもとになっています。順番は、まず有機物とパーティクル、次に金属です。

  1. 1つ目はアルカリ性の薬液:アンモニア水、過酸化水素水、水を混ぜ、温めて使います。過酸化水素は酸化剤で、有機物を分解します。同時に表面がごくわずかに削られ、表面についていた粒子がはがれて運び去られます。
  2. 超純水ですすぎ、1つ目の薬液を流します。
  3. 2つ目は酸性の薬液:塩酸、過酸化水素水、水で、表面の金属を溶かして取り除きます。
  4. もう一度超純水ですすぎ、最後に乾燥。

自然酸化膜を取りたいときは、ごく薄いフッ酸(希フッ酸)の工程を加えます。レジストのような厚い有機物には、まず硫酸と過酸化水素水を混ぜた、とても強い酸化剤を使うことがよくあります。工場では、最初の2つの薬液をSC-1、SC-2と呼ぶのが一般的です。

槽に順に浸ける? 1枚ずつ吹きつける?

  • バッチ式:1ロット分のウェーハをまとめて、並んだ槽に順に浸けていきます。薬液、すすぎ、次の薬液……そして乾燥。一度にたくさん洗えるので、処理できる枚数が多いのが利点です。弱点は、同じ薬液でたくさんのロットを洗うこと。洗い落としたものの一部が槽に残り、ウェーハに戻ってくることもあります。だから決まったロット数を洗ったら、槽の薬液をまるごと替えます。
  • 枚葉式:1枚ずつ洗います。ウェーハを閉じた小さな空間の中で回し、ノズルから薬液と超純水を表面に吹きつけ、最後に高速で回して乾かします。前のウェーハから落ちたものが次のウェーハに移りにくく、条件も管理しやすいのが利点です。そのかわり1枚ずつなので、装置がたくさん要ります。

工場ではどちらも使い、その工程で何をいちばん重視するかで選びます。どちらでも、最後は超純水ですすいで乾かします。水に含まれるものはウェーハに残りかねないので、水分子のほかはほとんど何もない水を使います(「超純水はどれくらい純粋?」)。水が均一に乾かないと、輪のような跡(ウォーターマーク)も残ります。

濃度・温度・時間を、なぜ管理するの?

薬液がどれだけ強く洗うかは、3つで決まります。どれだけ濃いか、どれだけ熱いか、どれだけ浸けるか。少し濃く、少し熱く、少し長くすれば力は強くなりますが、表面も多く削られます。

困るのは、薬液そのものが変わっていくことです。温めた槽では過酸化水素が少しずつ分解し、アンモニアも少しずつ抜けていきます。洗ったロットが多いほど、槽の中の汚れも増えます。そこで、濃度・温度・浸漬時間をレシピに書いて装置はそのとおりに動かし、薬液は決まった間隔で補充し、回数に達したら槽ごと交換します。さらに定期的にモニターウェーハを流し、どれだけ削れたか、洗ったあとにパーティクルがいくつ増えたかを測って、装置が変わっていないかを確かめます。

長く洗いすぎると、ウェーハを傷める?

傷めます。洗浄は、たいていごく軽いエッチングでもあります。薬液が汚れを取るとき、表面もほんの少し削られるのです。長く浸けすぎたり、薬液が強すぎたりすると、触れてはいけない下の層が薄くなったり、シリコンの表面が荒れたりします。削れたものは元に戻りません。

1回に削れるのはほんの少しでも、1枚のウェーハは何度も洗われ、線はどんどん細くなっています。積み重なれば無視できません。だから洗浄で大事なのは「長いほどきれい」ではなく、ちょうどよく洗うこと。汚れは落とし、下の層はできれば少しも動かさない。ここが洗浄とウェットエッチングの違いでもあります。どちらも薬液に浸けますが、ウェットエッチングは膜そのものを取りたくて、洗浄は汚れだけを取りたいのです。

fab24hrでは

fab24hrでは、「出勤」を押して「工場の一日」を選び、「今日のあなたは」のカードで「量産工場」を押し、左右にスワイプしてプロセスエンジニアで止め、名前の下の「洗浄」を押すと、洗浄のプロセスエンジニアになります。あなたが見るのはWET-05という一列の槽で、拡散炉に入るロットと、CMPで磨いたロットを洗います。4つのシフトがあります。

  • 深夜シフト「10時まで無理」:自宅でオンコール中です。夜中に拡散炉FURN-02が止まり、ゆうべ洗った2ロットのQタイムはわずか4時間。もう1台の炉に回すか、朝を待って洗い直すか。3時過ぎには、WET-05の薬液も交換回数に達します。
  • 朝シフト「上がるパーティクル」:洗ったあとのパーティクル数がどんどん上がっていきます。いま装置を止めて対処するか、浸漬時間を延ばしてしのぐか。
  • 昼シフト「見えない金属」:表面はきれいに見えるのに、金属が多めです。夕方の炉は1回でまとめて入ります。2ロットをホールドして、洗い直しに金属を落とす薬液を1工程足すか、元のレシピのままにするか。
  • 夜シフト「強くなった薬液」:替えたばかりの薬液は強めで、朝に延ばした浸漬時間を標準に戻さなければなりません。CMPからは、金属の配線が出たままの濡れたウェーハも数枚届き、どう洗うかを決めます。

スワイプして装置エンジニアで止め、「洗浄」を押すと、WET-05のハードウェアの担当になります。開発ラインにも洗浄の役割があります。ゲームに出てくる工場、人物、装置番号、時刻は架空のものです。洗浄で何を落とすのか、なぜ濃度・温度・時間を管理するのかは、公開されている一般的な資料をもとに書いています。ほかの用語は「半導体工場の業界用語を、やさしく解説」へ。

ゲームのどこで出会うか洗浄のプロセスエンジニア(量産工場 › プロセス › 洗浄)を遊ぶと、WET-05があなたの装置です。薬液をいつ替えるか、浸漬時間をどれだけにするか、洗ったウェーハをどれだけ置いておけるかを、あなたが決めます。

fab24hrでは、夜中に拡散炉が止まり、ゆうべ洗った2ロットの期限が迫るとき、洗い直すかどうかを決めるのはあなたです。

洗浄のプロセスエンジニアで遊び、WET-05を見る

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