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チップの基本約8分

半導体入門:半導体とは? 半導体工場は何をしている?

半導体とは、電気の通しやすさが導体と絶縁体の中間にあり、しかも電気を通すかどうかを人が決められる材料のことで、いちばん使われているのはシリコンです。これでつくった、電気で切り替える小さなスイッチがトランジスタで、たくさんのトランジスタをひとつにまとめたものがチップです。「半導体の仕事」「半導体工場」と言うときは、たいていチップをつくる業界全体を指しています。チップを設計する会社があり、半導体工場がウェーハの上につくり、後工程の工場がテストしてパッケージに入れ、最後にスマートフォンやパソコン、車に組み込まれます。この記事では、これらをやさしくつなげて説明し、最後に予備知識なしでたどれる無料の学び方を紹介します。

半導体とは?

電気を水道管の水にたとえてみます。導体はいつも開いている管、絶縁体はふさがった管、半導体は開き具合を調整できる弁のついた管です。とても純粋なシリコンに別の種類の原子をほんの少し加える(ドーピング)と、どの小さな部分に、どれだけ電気を通すかが決まります。

この性質を使ってつくった、電気で切り替えるスイッチがトランジスタです。通れば1、切れれば0。1つのチップに何億、多ければ100億を超えるトランジスタが載っていて、スマートフォンで写真を撮るのも、道順を調べるのも、AIを動かすのも、結局はこれらのスイッチの切り替えです。

もう少し知りたいときは、この3本を順に読んでください。半導体とは?、半導体チップとは?、トランジスタとは?。

半導体業界は何をしている? 「半導体」が業界を指すわけ

「半導体」はもともと材料の名前でしたが、チップをつくる仕事全体の呼び名にもなりました。ですから「半導体は何をしているの?」には2つの意味がありえます。材料の話なら、答えは上の段落です。業界の話なら、答えはチップを設計し、つくり、テストしてパッケージに入れ、スマートフォンやパソコン、車、家電をつくる会社に届けることです。

チップは、どんな会社を通ってできるのか

段階何をするかたとえると
設計(IC設計。ICはチップのこと)コンピュータで回路を設計し、何度もシミュレーションと確認をする。決まったら設計データを渡し、フォトマスク(回路を焼き付けるための原版)にする設計図を描く
製造(半導体工場、前工程)ウェーハが工場で数百の工程を通り、トランジスタと配線を1層ずつつくる。数週間から数か月かかる設計図どおりに建てる
後工程(組立とテスト)まずウェーハの上で1個ずつテストし、切り分け、パッケージに入れて端子をつけ、もう一度テストする。良品だけを出荷する検査して、梱包して、出荷する
製品へ基板にはんだ付けされ、スマートフォンやパソコン、車に組み込まれる使う人のもとへ

このほかに、材料(シリコンウェーハ、薬品、特殊ガス)や装置を供給する会社もあります。ニュースでは、設計を「上流」、製造を「中流」、後工程を「下流」と呼ぶこともありますが、分け方は1つではなく、材料や装置をいちばん上流に置く説明もあります。「上流」という言葉を見たら、どの段階を指しているかを確かめてください。

これらの段階は、別々の会社が担うことがよくあります。設計だけをして工場を持たない会社、ほかの会社のチップだけをつくる工場、設計から製造まで自分でする会社もあります。違いはファウンドリとは?、後ろの段階はパッケージングとは?とチップはどうテストする?で。

半導体工場の中では、何をしているの?

半導体工場が担うのは真ん中の段階です。丸くて薄いシリコンウェーハを、チップがすき間なく並んだウェーハに仕上げます。

チップは1層ずつ積み上げてつくります。1層ごとに、ウェーハはいくつかのプロセスエリアをひと回りします。リソグラフィがパターンを焼き付け、エッチングがそのとおりに削り、成膜が新しい材料の層をつけ、CMPが表面を平らに磨き、拡散炉が高温で酸化膜をつけたり、打ち込んだ原子を落ち着かせたりし、イオン注入がシリコンに原子を打ち込み、洗浄が表面をきれいにします。そのあいだに何度も測定して、正しくできたかを確かめます。各エリアの仕事は半導体工場の7つのプロセスエリアは、それぞれ何をしている?、設計が渡されてから製品になるまでの全体はチップの一生で。

これはすべてクリーンルームの中で行われます。空気はふつうの部屋よりずっときれいで、人は全身を覆う防塵服を着ます(クリーンルームはどれくらいきれい?)。装置は高価で、ウェーハは仕上がるまで数週間から数か月かかるので、工場は止まらず、人は交代勤務で見守ります(半導体工場はなぜ24時間止まらないのか)。

工場で働く人は、毎日何をしている?

全員が装置の番をしているわけではありません。おおまかには次のとおりです。

  • プロセスエンジニア:1つのエリアのやり方とレシピを受け持つ。このエリアでできたものが正しいか、よくできているかは、まずこの人に聞く。
  • 装置エンジニア:装置を動かし続け、壊れたら直し、保守する。
  • プロセスインテグレーションエンジニア:1つの製品を最初から最後まで見て、ロットを先へ進めてよいかを決める。
  • 製造部:ロットの順番を決めて進み具合を追い、ウェーハが予定どおり次の工程へ進むようにする。
  • ファシリティ:水、電気、空調、ガス、薬品を回し、工場全体を動かし続ける。
  • 品質保証:出荷前に検査し、問題が起きたら原因を見つけて直るまで追う。

業界全体の職種は半導体業界にはどんな職種がある?、工場の中のそれぞれの仕事と違いは半導体工場には誰がいる、半導体工場エンジニアの一日、プロセスエンジニアと装置エンジニアはどう違う?で。

半導体は難しい?

どこまで知りたいかによります。チップのつくり方、半導体工場の仕事、中で働く人の分担を知るだけなら、物理や化学の予備知識はいりません。水道管、スイッチ、印刷、家を建てるといったたとえで、流れ全体はつかめます。本当に難しいのは、その裏にある理屈(固体の中で電子がどう動くか)と各工程の細部で、大学の電気、物理、材料、化学工学の学生が何年もかけて学ぶところです。まず流れをつかみ、興味がわいたら深く掘ってみてください。

ゼロから始めるなら、どこから?

予備知識なし、すべて無料でたどれる順番です。

  1. まず3本、20分ほど:半導体、チップ、トランジスタとは何か(上の3本。チップの基本ではこの記事のすぐ後です)。
  2. 1つのチップができるまでを見る:チップの一生は、設計、試作、量産、テスト、パッケージ、出荷を1ページで追います。
  3. 半導体工場を自分で歩く:fab24hrは無料の3D Webゲームです。インストールもログインもいらず、スマートフォンで遊べます。メインストーリー「チップの一生」を1章ずつ進めても、「工場の一日」で役割を選んで1シフト働いてもかまいません。1シフトは5〜15分ほど。工場で装置をタップすると、16種類の装置では「分解して見る」で部品ごとのつくりを、「動きを見る」で動くようすを1ステップずつ見られます。
  4. 用語はタップすればやさしい説明:ゲームの業界用語はどれもタップできます。「半導体工場の業界用語を、やさしく解説」でも調べられます。
  5. ニュースを読みたいなら:ニュースのことばへ。2ナノ、歩留まり、先端パッケージ、ファウンドリ。
  6. この仕事に就きたいなら:まず半導体業界にはどんな職種がある?と半導体工場の仕事はきつい?、ほかは工場で働くへ。

ほかに無料で学べるところは?

さらに深く学ぶなら、こうしたものを探してみてください。

  • 大学のオープンコースや公開講義資料:「半導体デバイス」「半導体製造プロセス入門」などで検索すると、無料の動画や資料を公開している大学がたくさんあります。物理と化学の部分がいちばんしっかり説明されています。
  • 初心者向けのオンライン入門講座:理系の予備知識がない人向けに、無料の入門講座を開いている業界団体や大学もあります。
  • 教科書:「半導体デバイス」の本はなぜ動くのかを、「半導体プロセス」の本はどうつくるのかを説明しています。
  • 科学解説の動画や3Dアニメーション:リソグラフィやエッチングのように目では見えない工程は、アニメーションがいちばん直感的です。

おすすめの順番は、まず流れ全体をつかみ(この記事、チップの一生、fab24hr)、それから気になる段階を深掘りすること。物理が好きならデバイス、工場が好きならプロセス、仕事を探しているなら各職種が何をしているかを読んでみてください。

fab24hrでは

fab24hrのメインストーリー「チップの一生」は、架空の補聴器用チップ「Glowmere」を追いかけます。プロローグ「テープアウト」で設計が工場に渡り、第一幕は開発ラインでの試作で、第2章「一工程ずつ」では7つのプロセスエリアを回ります。第二幕は量産工場、第三幕は後工程工場でテストとパッケージ、終章で補聴器に組み込まれ、シェンさんの父のもとへ届きます。この記事で説明した段階は、どれもゲームの中でたどれます。ゲームの会社、人物、装置番号、数字は架空のものです。半導体とは何か、チップづくりの分業、工場のしくみは、公開されている一般的な資料をもとに書いています。

ゲームのどこで出会うかメインストーリー「チップの一生」第2章「一工程ずつ」。開発インテグレーションエンジニアとして、最初の12枚のウェーハについて工場の7つのプロセスエリアを回り、各エリアで1工程ずつ自分の手で進めます。終わるころには「工場でチップをつくる」の意味がわかります。

fab24hrでは、1つのチップを設計が渡された日から使う人の手に届くまで追いかけることも、役割を選んで半導体工場で1シフト働くこともできます。

第2章を遊び、最初のウェーハと工場の7つのエリアを回る

先生へ:この記事は「授業でfab24hrを遊ぶ」と組み合わせて授業で使えます。

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