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工場の中約7分

SPCの管理図とは? OOCとOOSはどう違う?

SPCは統計的工程管理(statistical process control)の略で、工程が安定しているかを統計で見る方法です。測った数字をひとつずつ管理図に打ち、いつもと同じ姿のままかを見ます。管理図には2種類の線があり、どちらを越えたかで呼び名が変わります。OOC(out of control、管理限界の外)は「いつもと違う」、OOS(out of spec、規格の外)は「もう不合格」。前者は警告で、後者はもう起きてしまった問題です。

管理図は何を見ている? 通勤で考えてみる

毎日バスで通勤していて、ふだんは30分くらいかかるとします。27分の日も33分の日もあり、信号の運しだいです。会社には9時までに着けばよく、毎朝8時に家を出ます。

  • ある日、45分かかった。8時45分に着いたので遅刻ではないけれど、いつもとはずいぶん違う。途中で何かあったはずです。
  • 8日続けて、毎日30分を少しだけ超えた。31、32、31、33……。どの日もおかしいほどではなく、遅刻もしていない。でも、これだけ続けて同じ側に寄るなら、どこかで工事が始まったのかもしれません。
  • ある日、65分かかって9時5分に着いた。遅刻です。

最初の2つは「いつもと違う」で、OOCにあたります。最後の1つは「もう不合格」で、OOSにあたります。管理図は、毎日の数字を点の列にして、どれなのかがひと目でわかるようにするものです。

管理図の3本の線は何?

半導体工場では、ロットを1つ測るたびに、たとえばエッチング後の線幅を、管理図に1つの点として打ちます。点は時間の順に右へ並び、図には横線が3本引いてあります。

  • 中心線:その工程のいつもの平均値。
  • 上方管理限界・下方管理限界:ふつうは中心線の上下に「標準偏差の3倍」のところに引きます。標準偏差は、「いつもどれくらいばらつくか」を測る統計のものさしです。工程が変わっておらず、数字のばらつきがよくある釣り鐘形(正規分布)に近ければ、点はほとんどこの2本の間に入り、外に出るのは1000点に3点足らずです。

大事なのは、これらの線がその工程自身のデータから計算されることです。安定していたときの記録をもとに計算します。表しているのは「この工程、この装置は、ふだんこうだ」ということで、顧客が何を求めているかとは関係ありません。

半導体工場では、大事な数字のほとんどに管理図があります。膜の厚さ、線幅、上下の層がどれだけずれずに重なっているか、そしてモニターウェーハのパーティクルの数。こうした数字をどう測るかは「半導体工場は、工程がうまくいったかをどう確かめる?」へ。管理図は古い方法で、1920年代にアメリカのシューハート(Walter Shewhart)が考え出し、今も工場で使われています。

規格とは? 管理限界とどう違う?

規格は、顧客や設計が求める範囲です。たとえば「線幅は何ナノメートルから何ナノメートルまで」に入っていれば合格、というものです。答えているのは「これは使えるか」で、工程がふだんどれだけばらつくかとは関係ありません。

管理限界規格
どこから来る工程自身のデータから計算顧客や設計が決める
答える問いいつもどおりか合格か
外に出るとOOCOOS
通勤でいえばいつもよりずっと遅い遅刻

工程のふだんのばらつきが十分に小さければ、管理限界は規格の内側に入ります。だからOOCは、OOSより先に現れることがよくあります。まだ不良をつくっていないうちに、工程が変わりはじめたことに気づける。それが管理図の役目です。

逆に、計算した管理限界が規格より広いなら、その工程はふだんからばらつきすぎています。どの点も「いつもどおり」なのに、不合格のものができてしまう。直すべきは工程そのもので、業界ではこれを「工程能力」が足りない、と言います。

管理限界の中なのに、なぜOOCになるの?

工程が変わっておらず、数字が上下に対称にばらつくなら、各点が中心線の上に来るか下に来るかは、ほぼ半々です。コインを投げるのと同じで、8回続けて裏が出る確率は256分の1。だから本当に8点続けて中心線の下に並んだら、「何かが変わった」と考えるほうが自然です。

こうした見方を判定ルールといいます。よく使われるのは次のようなものです。

  • 1点が管理限界の外に出る。
  • 何点も続けて中心線の同じ側に並ぶ(8点がよく使われ、9点とするところもある)。
  • 6点続けて上がり続ける、または下がり続ける。

あとの2つがとらえるのは「ゆっくりした変化」です。部品が少しずつすり減る、薬液が少しずつ消耗する。どの点もまだ管理限界の中なのに、点の列全体がひとつの方向へ進んでいきます。どのルールを使い、何点で異常とするかは、工場ごとに決めます。ルールを増やすほど早く気づけますが、誤報も増えます。最初のルールだけなら、同じく正規分布で計算して、誤報はおよそ370点に1回です。

少しずれたら、すぐ調整すればいいのでは?

管理図のもう半分の役目は、動かさなくていいときを教えることです。どの工程にも、小さな原因がたくさん重なった自然なばらつきが毎日あり、それが工程本来の姿です。そのばらつきを異常と思い込み、少しずれるたびに装置を調整すると、かえってばらつきは大きくなります。品質管理の教科書でよく知られる「漏斗の実験」は、まさにこれを示しています。

だからSPCは、ばらつきを2種類に分けます。管理限界の中で上下するだけの小さなばらつきは、そのままにする。管理限界の外に出たり、ひとつの方向に並んだりしたものだけ、原因を探します。

OOCになったロットは、もう使えない?

そうとは限りません。OOCが言っているのは「工程が変わった」ということで、そのロット自体はまだ規格内かもしれません。それでも対応は必要です。よくあるのは、まずそのロットをホールドして、測り直すこと。数字が変わったのは、測定装置のほうがずれたせいかもしれないからです。そのあとは、前もって書いておいた手順に沿って進めます。これをOCAPといいます(「OCAPとは?」へ)。最後はエンジニアが決めます。リリースするか、置いておいてさらに調べるか。管理図を見てOOCを判断するのは、たいていその工程のプロセスエンジニアです(「プロセスエンジニアと装置エンジニアはどう違う?」へ)。

OOSになったら?

OOSは、もう不合格になっているということです。そのロットはふつうホールドされ、エンジニアがどうするかを決めます。やり直せる工程ならリワーク、やり直せなければスクラップになることもあります。さらに、さかのぼって考えます。最後に数字が正常だったときから、同じ装置でほかにどのロットを流したか。それらにも同じ問題があるかもしれません。すべてのロットを測るわけではないので、測定と測定の間が長いほど、追いかけるロットは増えます。

fab24hrでは

「出勤」を押して「工場の一日」を選び、「今日のあなたは」のカードで「量産工場」を押して、左右にスワイプしてプロセスエンジニアにし、名前の下の「エッチング」を押すと、エッチングのプロセスエンジニアになります。朝シフトでは、OOCの2つの姿にちょうど出会います。

  • 測定装置MET-01で、エッチング後の線幅が8点続けて中心線の下にあり、1点ごとに低くなっていますが、管理限界を超えた点はひとつもありません。日付をさかのぼると、最初に低くなった点は3日前です。
  • 10:40にヤーティンから電話。測定室のOOCのロットは、線幅が上方管理限界を少し超えていて、まだ規格内。ホールドもかかったままです。リリースするなら備考を書き、置いておくならロットはその分待たされます。

16:30の検討会のあとは、測定装置に戻ってもう一度見ることもできます。部品を替えたあと、線幅は中心線のあたりに戻ったでしょうか。朝シフトと昼シフトには、ランダムイベントが起きることもあります。成膜装置CVD-02の膜厚の管理図で、8点続けて中心線の上。「まだ規格内。そのまま流す」か、OCAPどおりにまず薄膜課に装置を見てもらうか。プロセスインテグレーションエンジニアの夜シフトにも、少しずつ上がっていくコンタクト抵抗の管理図があり、前の工程をさかのぼって、どの数字が最初に動いたかを探します。ゲームの会社、人物、装置番号、数字は架空のものです。「8点連続」は業界でよく使われるルールのひとつに合わせたもので、何点とするかは工場によって違います。SPC、OOC、OOSとは何かは、公開されている一般的な資料をもとに書いています。ほかの用語は「半導体工場の業界用語を、やさしく解説」へ。

ゲームのどこで出会うかエッチングのプロセスエンジニア(量産工場 › プロセス › エッチング)を遊ぶと、朝シフトのメールに判断待ちのOOCが3ロット。10:40にはヤーティンから電話があり、測定室のロットは線幅が上方管理限界を少し超えていて、まだ規格内。リリースするか、置いておくかを聞かれます。

fab24hrでは、「まだ規格内」は「問題なし」ではありません。OOCのロットをリリースするか置いておくかを決めるのは、あなたです。

エッチングのプロセスエンジニアで遊び、そのOOCロットを判断する

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