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工場の中約7分

OCAPとは? 異常が出たときの対応計画

OCAPは「Out-of-Control Action Plan」の略で、日本語なら、たとえば異常対応計画と訳せます。ラインで異常のサイン、たとえば測定値が管理限界を超えたり、装置がアラームを出して止まったりしたとき、ラインの人は前もって書かれたこの手順に従って動きます。まず何を止めるか、どのロットを止めておくか、何を確かめるか、誰に知らせるか。同じ4文字はほかの分野では別の意味でも使われます。この記事では、半導体工場をはじめとする工場での使い方を説明します。

4文字はそれぞれ何の意味?

分けてみると、こうなります。

  • Out of control:管理外れ。工場では、装置が暴走するという意味ではありません。統計的に「いつもと違う」ということです。数字がふだん収まる範囲から飛び出したり、同じ側へずっと寄っていったりする状態です。
  • Action:やること。
  • Plan:前もって書いておいた計画。

合わせると、「いつもと違う」サインを見たら何をするかを決めた計画です。工学統計のハンドブックは、管理外れを見つけたあとに取る行動を書いた文書だと説明していて、手順を1つずつたどれるフロー図にすることもあります。

工場では、たいていそのままOCAPと呼びます。

学校の避難訓練に少し似ています。警報が鳴ったら、話し合いはせず、全員が練習した動きをまずやる。OCAPは、工場が警報の種類ごとに先に書いておく台本のようなものです。

OCAPには何が書いてある?

例で説明します。ある装置では毎日1枚、モニターウェーハを流しています。お客さんの製品ではなく、装置の状態を確かめるためだけのウェーハです。今日の測定で、表面のパーティクルがいつもよりずっと多く、管理限界を超えました。この装置のOCAPは、たとえばこんな形です(細かいところは工場ごとに違い、ここでの手順は例です)。

  1. この装置を止め、後ろのロットはもう入れない。
  2. その間に流したロットをホールドする。その場に止めて、次の工程へ進ませない。
  3. 数字そのものを確かめる。データの入力ミスはないか、測定装置がずれていないか。必要ならもう一度測る。
  4. 本当に超えているなら、その装置の担当エンジニアに知らせる。何を見たか、どの手順まで済んだかをはっきり伝える。
  5. 何をいつやったか、手順ごとに記録する。

順番に注目してください。先に止めてホールドし、それから確かめます。数字は測り間違いかもしれません。でも確かめている間に装置を動かし続ければ、また1ロット悪いものができるかもしれません。原因がわかる前にまず被害を止めるのは、不具合報告書の封じ込めと同じ考え方です。原因は少しあとで探せばいい。

教科書では、この手の手順を3つに分けます。きっかけになるサイン、1つずつ確かめる原因の候補、原因が見つかったあとの処置です。確かめる順番にも工夫があり、いちばんありそうな原因や、いちばん確かめやすいものを先に置くことがよくあります。だからOCAPは説明書というより、「もし〜なら〜する」をたどる地図に近いものです。

なぜその場で考えず、先に書いておくのか

トラブルは、頭が冴えている時間を選んで起きてはくれないからです。

半導体工場は24時間止まりません(理由は「半導体工場はなぜ24時間止まらないのか」)。夜中にラインを見ているのは交替勤務の人たちで、エンジニアはたいてい自宅で交代にオンコールを受け持ちます。午前3時に装置が赤ランプになれば、現場の人は緊張していますし、電話で起こされたエンジニアもまだ目が覚めきっていません。労働安全の資料も、夜間から明け方にかけては脳と体の働きが鈍り、疲れすぎると集中しにくくなって、ミスが起きやすくなると注意しています。

先に書いておくと、いいことが3つあります。

  • 記憶に頼らない:紙の上の順番を1つずつたどれば、手順を飛ばしません。飛行機のパイロットも、緊急時にはチェックリストを1項目ずつ確かめながら対応します。理由は同じで、慌てているときや疲れているときほど記憶は頼りにならず、書いたリストは忘れません。
  • 人を待たない:ラインの人がこれに従えば、装置を止め、ロットを止めるところまですぐにできます。手順のたびにエンジニアの折り返しを待たなくていいのです。ある大学の研究では、過去に起きた異常の原因を整理してOCAPにまとめ、オペレーターがその場で自分で対処できるようにして、エンジニアを待つ時間を減らしました。
  • 誰がやっても同じ:どのシフトの誰が出会っても、最初の一手は同じです。今回の対応と次回の対応を比べることもできます。

OCAPに書いていない状況では?

どんなに詳しいOCAPでも、すべての状況は書ききれません。書いていないときこそ、電話をかけるときです。オンコールのエンジニアに電話して、何を見たか、何をしたかを伝え、次の一手を判断してもらいます。

落ち着いたあと、その新しい状況はOCAPに書き足されることが多く、次からは決まったやり方があります。OCAPは一度書いたら終わりの文書ではなく、経験とともに少しずつ育っていきます。

OCAPとSPC、SOPの関係は?

この3つの略語はよく一緒に出てきます。それぞれ答える問いが違います。

略語答える問い
SPC工程に異常はないか?
OCAP異常が出た。次に何をする?
SOPふだん、各ステップをどうやるか?

まずSPC。統計的工程管理のことで、測定値を管理図に1点ずつ描き、工程がずれていないかを見ます。管理限界の外に出た点や、同じ側へ寄っていく点が何点も続くことがサインです。SPCの役目は「気づく」こと。気づいたあとどうするかは、OCAPの役目です。ひとことで言えば、SPCは異常を知らせ、OCAPは次に何をするかを教える。ハンドブックにも同じ考え方が書かれていて、管理外れのとき、エンジニアはその管理図に対応するOCAPに沿って原因を探します。SPCそのものは、別の記事「SPCの管理図とは?」で扱っています。

管理限界の外(OOC)でも、製品の規格の外(OOS)とは限りません。違いはOOC/OOSを押すと見られます。どちらも処置が必要で、その処置の順番を書いたものがOCAPです。

管理図のほかに、装置そのものがOCAPのきっかけになることもあります。アラームが出た、シグナルタワーが赤になった、装置が止まった、といった場合です。赤と黄がそれぞれ何を表すかは「装置の赤・黄・緑のランプは何を意味するのか」へ。

それからSOP、標準作業手順書です。こちらはふだんの仕事を書いたもので、各ステップをどうやるか、誰がやっても結果が同じになるようにします。OCAPが書くのは、ふだんと違うときのこと。どちらも前もって書いておき、みんなが従う文書ですが、片方は毎日のため、もう片方はトラブルが起きた数分間のためのものです。オペレーターがふだんこれらにどう沿って働いているかは「オペレーター(技術員)とエンジニアはどう違う?」へ。

fab24hrでは

「出勤」を押して「工場の一日」を選び、「今日のあなたは」のカードで「量産工場」を押し、左右にスワイプして製造部を選びます。4つのシフトのどれになるかは、サイトを開いた時刻で決まります。深夜シフトでは02:47、エッチング装置ETCH-03のチャンバーAが赤ランプになり、中で特急ロットのウェーハが1枚止まっています。夜勤のハオは、いつもならリセットしてもう一度流せば通ると言います。でもOCAPにあるのは「装置アラームのときは、まずエンジニアに連絡」。OCAPどおりにオンコールのエンジニアへ電話するか、先に一度リセットしてみるかは、あなたが決めます。電話がつながると、リンからの指示はこうです。チャンバーAはダウン登録、中のウェーハは無理に取り出さない、最初の6枚はロット分割してQタイムを切らさないよう先にウェット洗浄へ、残りはまとめてホールド。

同じできごとも、役割が変わると見え方が違います。品質保証エンジニアを選ぶと、朝シフトの10時にOCAPを持ってエッチングエリアへ行き、その夜の対応を1手順ずつ突き合わせます。合わない項目が3つあり、そのうち1つは「ウェーハがチャンバーに残ったときどうするか」で、もともとOCAPに書かれていませんでした。エッチングのプロセスエンジニア(プロセスエンジニアまでスワイプし、名前の下の「エッチング」を押す)を選ぶと、昼シフト16:30の検討会のあと、それを夜勤の処置手順に書き足す担当を決めます。

ゲームの会社、人物、装置、手順の中身は架空のものです。OCAPとは何か、なぜ先に書いておくのかは、公開されている一般的な資料をもとに書いています。ほかの用語は「半導体工場の業界用語を、やさしく解説」へ。

ゲームのどこで出会うか製造部を遊ぶと、深夜シフトの02:47にエッチング装置ETCH-03が赤ランプに。OCAPには「まずエンジニアに連絡」とあります。品質保証エンジニアを遊ぶと、朝シフトにOCAPを手に、その夜の対応を1手順ずつ突き合わせます。

fab24hrでは、02:47に装置が赤ランプ。ロットは待っていて、エンジニアは寝ています。OCAPどおりに先に電話するか、先にリセットを押すか。判断はあなたです。

製造部で遊び、02:47の赤ランプでOCAPを確かめる

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