プレイする

← fab24hrブログ

工場で働く約8分

半導体工場の品質保証(QA)は何をしている?

半導体工場の品質保証(英語で quality assurance、略してQA)が守るのは、出ていくものが信頼できることです。ロットが工場を出る前に、誰かが確かめて「出してよい」と言う。問題が起きたら、原因をたどれて、対策が本当に終わるまで追いかける。プロセスエンジニアは各工程の出来ばえを、装置エンジニアは装置が動くかを見ます(「プロセスエンジニアと装置エンジニアはどう違う?」へ)。品質保証が見るのは別のこと、通るべき道を通ったか、それで足りたかです。

品質保証(QA)と品質管理(QC)はどう違う?

お弁当屋さんで考えてみます。お弁当を出す前に、おかずが合っているか、異物が入っていないかを見るのが品質管理(quality control、QC)。食材の受け取り方、冷蔵庫の温度、問題が起きたときのたどり方など、お店全体のやり方を管理して、どのお弁当も間違いにくくするのが品質保証です。

品質マネジメントの国際規格(ISO 9000シリーズ)も同じように分けています。品質管理は品質の要求を満たすことに、品質保証は要求が満たされると信頼してもらうことに重点を置きます。

品質管理 QC品質保証 QA
見るものできたものやり方全体
問いこのロットは合格か?どのロットも合格だと、なぜ信じられるか?
よくある仕事測定、検査、抜き取り手順づくり、監査、異常の追跡、顧客への説明

品質管理の専門家デミングに、よく引かれる言葉があります。検査では遅すぎる、良いか悪いかは、つくられた時点でもう決まっている、という意味です。だから品質保証が目指すのは、悪いものを選び出すことだけでなく、悪いものをつくりにくくすることです。品質管理は品質保証の一部と見なされることが多く、同じ部署にあることもあります。呼び方や分担は会社ごとに違います。

出荷の前、品質保証は何を見ている?

ウェーハが工場を出て後工程に送られる前に、最後の検査があります。出荷検査です。見るものは2つ。

  • 記録:すべての工程が終わっているか、ホールドされたまま片づいていないものはないか、WAT(ウェーハができあがったあとに測る電気的な数値)が範囲内か。
  • ロットそのもの:枚数、ラベル、外観。たとえば表面に傷がないか。

ロットはたくさんあり、1枚ずつ丁寧に見ることはできません。そこで、前もって決めた抜き取りの表に従って何枚かを選び、その結果でロットを出してよいかを決めます。

抜き取りは見逃すこともあります。たとえば25枚入りのケースに不良が3枚あり、5枚を抜き取って見るとします。計算すると、選んだ5枚がたまたま全部良品である確率は、だいたい2回に1回です。だから抜き取りで問題が見つかったら、ロット全体を見直すことがよくあります。見つかった1枚を抜くだけでは足りません。

検査が終わるまでロットは出荷しません。出荷の記録には、誰が「出してよい」と言ったかが残ります。問題のあるものは表示して分けておき、間違って出荷されないようにします。

ロットが決まりどおりに流れなかったこともあります。たとえば2つの工程のあいだで、上限より少し長く待ってしまった(「Qタイムとは?」へ)。エンジニアがまだ使えると判断すると、逸脱申請を書きます。何が違ったか、なぜまだ使えるか、誰が承認したか。お客さんの同意が要る場合もあります。品質保証は、その書類がはっきり書かれているか、承認すべき人が承認したかを見ます。

お客さんから「チップがおかしい」と言われたら?

お客さんの手元でチップが動かない、あるロットの歩留まりがいつもより悪い(「ニュースの「歩留まり」とは?」へ)。そんなとき、受け止める窓口のひとつになることが多いのが品質保証です。まずはっきり聞きます。どのロットか、何が起きたか、どの段階で見つかったか。

返ってきたものは、まず返品の伝票を起こします。RMAと呼ばれます。それから故障解析です。壊さずにできる調べを先に、そのあと一歩ずつ開けていきます。外観を見て、電気的にテストし直し、X線で見て、最後にパッケージを開けたり、断面解析をしたりします。開けてしまったら、もう戻せません。

記録もさかのぼります。MESには、どのロットがどの装置を、いつ、どのレシピで通ったかが残っています。だから、同じ時間帯に同じ装置を通ったロットがほかにどれだけあるかもわかります。

最後にお客さんへ報告書を返します。よく使われる形式が8Dで、工場の不具合報告書にもよく使われます。何が起きたか、どう封じ込めたか、原因は何か、どうすれば再発しないか。車載用のチップのお客さんはさらに厳しく、「100万個のうち何個が不良か」で数えることが多く、ゼロに近いほどよいとされます。

工場で異常が起きたら、品質保証は何を追う?

装置がアラームを出したり、誰かが操作を誤ったりしたとき(「MOとは?」へ)、装置を直して原因を探すのは主にプロセスと装置の担当です。品質保証が追うのは、その一件がひと回りきちんと閉じたかどうかです。

  1. まず封じ込め:影響があるかもしれないロットを止め、ほかのロットにも及んでいないかを調べます。
  2. 根本原因を探す:「なぜ壊れたか」だけでなく、「なぜもっと早く止められなかったか」も問います。よく使うのは「なぜ」を5回くり返すやり方や、考えられる原因を分けて並べる特性要因図(魚の骨の図)です。
  3. 対策を決める:一つひとつに担当者と期限をつけます。
  4. 横展開:ほかの装置、ほかの製品に、同じ穴がないかを見ます。
  5. 効いたかを確かめる:期限の日に証拠を見ます。「終わりました」と聞いただけでは終わりにしません。

品質保証は、ふだんの記録も見直します。管理図を誰かが見ているか(「SPCの管理図とは?」へ)、異常が出たときOCAPどおりに動いたか(「OCAPとは?」へ)。合わないところがあっても、大事なのは誰が抜かしたかではなく、手順のどこが抜かしやすくしているかです。

監査とは? 誰が誰を調べる?

監査は、前もって決めた要求事項に照らして、「書いてあること」と「やっていること」が合っているかを計画的に確かめ、記録に残すことです。よくある分け方は3つ。

  • 内部監査:工場が自分で自分を調べます。
  • 顧客監査:お客さんが、仕入れ先の工場とその流れを調べます。
  • 第三者監査:独立した認証機関が調べます。たとえば工場がISO 9001(品質マネジメントシステムの国際規格)に合っているかを見て、合っていれば認証書を出します。

監査でよく見るのは、文書が最新版か、記録が残っているか、前回見つかった問題が直ったか。見つかった不備も異常と同じで、直す人、期限、終わったことの証拠をそろえます。

品質保証は誰と一緒に働く?

fab24hrでは

「出勤」を押して「工場の一日」を選び、「今日のあなたは」のカードで「量産工場」を押し、左右にスワイプして「品質保証エンジニア」で止めます。4つのシフトのどれになるかは、開いた時刻で決まります。

  • 深夜シフト「出すか、止めるか」:今週の品質保証のオンコール当番はあなた。午前1時すぎ、夜勤のハオさんから電話です。25枚のロットが朝6時半にトラックに載る予定で、5枚を抜き取ったら2枚の縁に傷があり、そのうち1本はチップが並ぶところまで入っています。25枚を全部見直すか、ロットごと止めるか、その1枚だけ抜いて出すか。決めるのはあなたです。
  • 朝シフト「計画どおりか」:10:00にエッチングのエリアへ行き、未明にETCH-03が止まったあの夜を、OCAPと一歩ずつ突き合わせます。合わない項目は3つ。「夜勤がやらなかった」と書くか、「書式と計画の抜け」と書くか。
  • 昼シフト「どう記録するか」:14:05、ETCH-05の手動投入でトラブルが起きます。まず現場を残し、装置が実際に流したものとMESの記録を、1枚ずつ突き合わせます。
  • 夜シフト「お客さんへの説明」:お客さんへの説明書を書き、検討会で決まった3つの対策を追跡表にします。誰が、いつまでに、何をもって終わりとするか。

メインストーリー「チップの一生」第12章「出荷前夜」では、あなたは後工程工場の顧客窓口です。後工程工場の品質保証エンジニア、メイホアさんが出荷前チェックリストを一項目ずつあなたと確かめます。「記録が1枚でも欠けていたら、出荷させません」。

ゲームに出てくる会社・人物・ロット番号・装置・数字は架空です。品質保証が何をするのかは、品質マネジメントの規格の一般的な考え方と、統計的品質管理の公開資料をもとに書いています。実際の分担、呼び方、書式は会社ごとに違います。ほかの用語は「半導体工場の業界用語を、やさしく解説」へ。

ゲームのどこで出会うか品質保証エンジニア(量産工場 › 品質保証エンジニア)を遊ぶと、深夜シフトでは家にいるところへ夜勤から電話。出荷前の検査で傷が見つかり、出すか止めるかを決めます。朝シフトでは10:00にOCAPを持ってエッチングのエリアへ行き、未明のあの夜を一歩ずつ突き合わせます。

fab24hrの品質保証は、ロットが工場を出る前に最後に見る人です。傷のあるロットを出すか、記録をどう書くか、お客さんに何を伝えるか。決めるのはあなたです。

品質保証エンジニアで遊び、出荷前の最後の関門を守る

先生へ:この記事は「授業でfab24hrを遊ぶ」と組み合わせて授業で使えます。

ほかの記事

このサイトのほかのページ