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工場の中約7分

故障解析(不良解析)とは? 壊れたチップの原因をどう突き止める?

故障解析(英語でfailure analysis、略してFA。不良解析とも呼ばれます)は、壊れたチップ1個について、どこが壊れたのか、どう壊れたのかを突き止める作業です。大原則はひとつ。外から中へ、壊さない方法から壊す方法へ。まず電気を通して測り、外から見て、範囲を1点まで絞り込みます。その点を開けて見るのは最後です。見つけた証拠は、根本原因を探し、再発を防ぐ方法を考える人に渡します。

故障解析は何を探している?

テストでわかるのは「このチップは不良」ということだけです。できあがったチップは1個ずつ電気を通してテストされます(「チップはどうテストする?」)。でもテスターにわかるのは、たいていどの項目に通らなかったかまで。チップの中の数千万から百億を超えるスイッチ、何層もの配線のうち、どこで何が起きたのかはわかりません。

故障解析が答えるのは、その一段下の問いです。壊れているのはどこか。線が切れたのか、2本の線が触れているのか、穴が埋まりきらなかったのか。実際の姿が見えてはじめて、どの工程、どの装置を調べればいいかがわかります。

壊れたチップはどこから来る?

おもに3つです。

どう調べる? 外から中へ、一歩ずつ

お医者さんの診察と同じです。どこが痛いかを聞き、血圧を測り、X線を撮って、手術は最後。チップも、あとの手順ほど壊す度合いが大きく、壊したら元には戻せません。

手順1:不良を再現して、電気的に測る

チップに電気を通し、壊れたときと同じ条件でもう一度テストします。どのピンが、どんな温度や電圧で壊れるのか。良品も並べて比べます。本当に壊れているかを確かめ、どう壊れているか(切れている=オープン、触れている=ショート、リークが増えている)も先に知るためです。これを飛ばすと、実は壊れておらず、最初の接触が悪かっただけのチップを開けてしまい、むだに壊すことになります。

手順2:開けずに、外から見る

この手順は手順1といっしょに行うことが多く、どちらが先かは現場によって違います。光学顕微鏡でパッケージにひびがないかを見て、X線で中の金属の線やはんだがつながっているかを見て、超音波で樹脂とチップがはがれていないかを見ます(音はすき間でほとんど跳ね返ります。こうしたごく薄いすき間は、X線では見えないことがよくあります)。どれもふつうはチップを傷めず、パッケージの問題はこの段階でわかることが多いのです。いきなり開けると、ひびやすき間の元の形が崩れ、もともとあったのか、開けたときにできたのか、わからなくなります。

手順3:通電して、発熱や発光する点を探す

チップは樹脂の中にあってカメラから見えないので、先に強い酸でパッケージに小さな穴を開けてチップを出すことがよくあります。中の細い線は残すので、電気は通せます。そのうえで、チップを壊れる条件で通電したまま、とても感度の高いカメラで撮ります。ショートやリークのところは、まわりより少し熱かったり、ごく弱い光を出したりすることがよくあります。上の金属の層がじゃまなら、裏側から見ます。赤外線はシリコンを通り抜けるからです。1個のチップには何億ものスイッチがあることも多く、次の手順で切れるのはほんの小さな範囲なので、どこを切るかを先に知る必要があります。点を見つけずに切っても、壊れたところにちょうど当たることはまずありません。

手順4:その点まで掘り下げる

チップの上の配線を1層ずつ研磨やエッチングで取り除き、壊れた層で止めます。1点だけ見たいときは、集束イオンビーム(FIB)を使います。とても細いイオンのビームで、その小さな範囲だけを掘ります。欠陥は何層もの配線の下に埋もれていることが多く、その層まで掘らないと見えません。この手順からあとは戻れません。場所を間違えたり、一気に削りすぎて壊れた層まで削ったりすると、証拠は消えてしまいます。

手順5:電子顕微鏡で断面を見て、成分を調べる

出てきた断面は走査電子顕微鏡(SEM)で撮ります。もっと細かく見たいときは、ごく薄い1枚に削って透過電子顕微鏡(TEM)に入れます。電子が当たると、元素ごとに決まったX線も出るので、それを測ればその点が何でできているかがわかります。こうして、穴が埋まっていないのか、線が切れたのか、余計なパーティクルがあるのかが見えてきます。形だけでは「何かがある」としかわかりません。成分がわかれば、どの工程の、どの材料から来たのかを推測できます。

手順6:結論をまとめ、根本原因を探す人に渡す

どこが壊れたか、何が起きているか、どの方法を使ったか、証拠はどの写真かを書きます。故障解析が答えるのは「どう壊れたか」。なぜ起きたのか、どうすれば再発しないのかは、装置の記録や各ロットが通った工程と突き合わせて、いっしょに調べます(「根本原因分析とは?」)。「ボイド(空洞)がある」とだけ書いても、ボイドを作った工程を誰も直さなければ、次のロットも同じになります。

全部のチップを切って見ればいいのでは?

切って断面解析をすれば、そのチップ、あるいはウェーハ1枚がまるごと使えなくなり、時間もかかります。だから工場ではふだん、テストや検査で問題のあるチップやウェーハを見つけ(「欠陥検査とは?」)、いちばん怪しいものだけを故障解析に回し、さらにいちばん怪しい1点だけを切ります。

fab24hrでは

メインストーリー「チップの一生」の第3章「不良の形」で、あなたは開発ラインの開発インテグレーションエンジニアです。新しいチップ「Glowmere」の最初のロットのWATが出ました。9枚目のコンタクト抵抗が規格より3割高い。電気測定室のシャオウェンに聞かれます。もう一度プロービングするか、プロセスの問題として報告書に書くか。これが手順1、測り間違いでないかを確かめることです。第1章でジョウ先輩に断面解析用のウェーハを1枚渡していれば、切ってみたら外周のいくつかのチップだけ、コンタクトの下に小さなボイドがあったと教えてくれます。渡していなければ「断面解析がないから、電気特性から推測するしかない」と言われます。

「工場の一日」では、「今日のあなたは」のカードで「開発ライン」を押し、左右にスワイプして開発プロセスエンジニアにし、名前の下の「エッチング」を押します(シフトは端末の時刻で決まります)。深夜シフトに分析室の夜勤から断面写真が届き、外周のコンタクトの底で金属が埋まっていないボイドをタップします。ジョウ先輩によると、エッチングと金属の埋め込みのどちらが原因かを確かめるにはTEMが要る。自分たちの装置は今日は別チームが押さえているので、4時間借りるか、外部のラボに出して2週間待つか。

「後工程工場」を押して顧客窓口にすると、朝シフトにエンジニアリングサンプルが1個戻ってきます。基板にはんだ付けして電気を通しても動かない、という。信頼性試験室のファンは「1項目ずつ見ていきましょう。先に結論を出さないようにしましょう」と言います。電気テスト、外観、X線、超音波、お客さんの返品票と1項目ずつ確かめていくと、原因はチップそのものではありませんでした(「後工程工場の顧客窓口は何をしている?」)。

ゲームの会社、チップ、人物、ロット番号、数字は架空のものです。故障解析のやり方と、なぜ壊さない方法を先にするのかは、公開されている一般的な資料をもとに書いています。ほかの用語は「半導体工場の業界用語を、やさしく解説」へ。

ゲームのどこで出会うかメインストーリー「チップの一生」の第3章「不良の形」では、1枚のウェーハのコンタクト抵抗が高く、まず測り間違いでないかを確かめ、切ってはじめて見えることをジョウ先輩から聞きます。開発ラインのエッチングの開発プロセスエンジニアになると、深夜に分析室から断面写真が届き、後工程工場の顧客窓口の朝シフトでは、戻ってきたサンプルを1項目ずつ調べます。

fab24hrでは、1枚のウェーハの数字がおかしい。もう一度プロービングして確かめるか、プロセス起因として報告書に書くか。決めるのはあなたです。

第3章「不良の形」で、まず測り間違いでないかを確かめる

先生へ:この記事は「授業でfab24hrを遊ぶ」と組み合わせて授業で使えます。

この記事を引用する「故障解析(不良解析)とは? 壊れたチップの原因をどう突き止める?」fab24hr、更新。https://fab24hr.com/ja/blog/failure-analysis/
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