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チップのつくり方約8分

線幅(CD)とは? 半導体の寸法は、どこで決まり、どう測るのか

半導体のCDとは?

線幅とは、チップ上の線の幅のことです。業界ではよくCDと呼びます。critical dimension(クリティカルディメンジョン)の略です。広く言えば、線と線のすき間や小さな穴の直径など、その層でいちばん大事で厳しく管理する寸法はCDと呼ばれます。リソグラフィで焼いたあとに測り、エッチングで削ったあとにもう一度測る、半導体工場でいちばんよく見る数字のひとつです。

計測と検査の違いは「半導体工場は、工程がうまくいったかをどう確かめる?」で書きました。この記事は線幅そのものの話です。

線幅が数ナノずれると、どうなる?

チップの中のスイッチはトランジスタです。電流が片方の端からもう片方へ流れ、そのあいだにあるゲートがオンとオフを決めます(「トランジスタとは?」)。ゲートは道をまたぐ細い線で、この線がどれだけの幅で焼けるかで、電流が通る道の長さが決まります。

  • 線が細くなると:道が短くなり、スイッチは入りやすく、速くなります。ただ、オフのときにもリークしやすくなります。
  • 線が太くなると:道が長くなって電流が減り、スイッチは遅くなります。

だから平均が合っているだけでは足りず、1本1本がそろっていなければなりません。ウェーハの中心と端、同じロットの前のほうと後ろのほうのウェーハ、このロットと次のロット、どれも同じであることを均一性と呼びます。そろっていないと、速いチップと遅いチップができてしまいます。均一性への要求は厳しく、統計的な範囲で決めることがよくあります。

線幅はどこで決まる? 1ステップずつ

ステップ1:まずフォトマスクに描く

  • 何をする:フォトマスクの線はふつう実際の4倍の大きさで描き、露光のときに縮小して焼きます。近くにほかの線があるかどうかも先に計算に入れ、わざと太めや細めに描きます(「OPC(光近接効果補正)とは?」)。
  • なぜ:線が光の波長より細いので、密集した線と1本だけの線を同じ幅で描いても、焼き上がりの幅が違うからです。
  • しないとどうなる:線が波長より細いときは、マスク上の小さな誤差が、ウェーハに焼くと縮小の比率どおりには小さくならず、かえって大きくなることもあります。

ステップ2:露光の光量とフォーカス

  • 何をする:露光装置が、決められた光の量(露光量、ドーズ)で、ピントを合わせて露光します(「フォトリソグラフィとは?」)。
  • なぜ:光が多すぎても少なすぎても線幅が変わります。ピントがずれると像がぼやけ、線幅も変わり、側面も傾きます。そこで新しい層では、1枚のウェーハの上で光量とフォーカスを1区画ずつずらして露光し、それぞれの線幅を測って、どちらも少しずれても線幅が規格内に収まる範囲を探します。これをプロセスウィンドウと呼びます。
  • しないとどうなる:装置は毎日少しずつずれますし、ウェーハもどこも同じように平らなわけではありません。ウィンドウが狭いと、線幅がたびたび外れます。

ステップ3:ベークと現像

  • 何をする:露光したウェーハをホットプレートで焼き(露光後ベーク)、それから現像して、レジストの線を残します。
  • なぜ:レジストの中の反応がどこまで進むかは、温度と時間で決まるからです(「フォトレジストとは?」)。
  • しないとどうなる:ホットプレートの片側が冷えていると、ウェーハ全体が片側で太く、片側で細くなります。

ステップ4:現像後に1回測る

  • 何をする:何枚かを抜き取り、レジストの線の幅を測ります。この工程はよく現像後検査(ADI)と呼ばれます。
  • なぜ:パターンはまだレジストの上だけなので、まちがっていればレジストを剥がしてやり直せるからです(リワーク)。
  • しないとどうなる:まちがった幅のままエッチングに進むと、材料に刻まれてしまい、元に戻せません。

ステップ5:エッチング、レジストと同じ幅になるとは限らない

  • 何をする:レジストの線に沿って、下の層を削り取ります(「エッチングとは?」)。側面が少し削られたり、レジストの縁も少し削られたりすると、線は細くなります。側壁にできる保護膜が多すぎて上が細く下が太い形になると、根元が太くなります。この差をエッチングバイアスと呼びます。
  • なぜ前もって決めておく:差の大きさは前もって決めておけますし、利用することもできます。チップの最終的な線はリソグラフィで焼ける幅より細いことが多く、それはエッチングや、線をさらに細くする処理で実現しています。
  • しないとどうなる:エッチングの条件がずれると、レジストを測るとちょうどいいのに、削り上がった線はずれてしまいます。

ステップ6:エッチング後にもう1回測る

  • 何をする:削り上がった線をもう一度測ります。
  • なぜ:これがチップ上の本当の線だからです。現像後はずれていないのにエッチング後にずれていれば、まずエッチングの工程を疑います。どちらもずれていれば、先にリソグラフィを調べます。
  • しないとどうなる:リソグラフィとエッチングのどちらの問題か分からず、どの装置を調整すればいいかも分かりません。

線幅はどう測る? 真上から撮るか、光から逆算するか

電子顕微鏡:真上から撮る

いちばん多いのは、線幅を測るための専用の電子顕微鏡(測長SEM、CD-SEM)です。電子がウェーハに当たると、表面から別の電子がはじき出されます。線の縁ではとくにたくさん出てくるので、画像では線の両側が明るく光ります。ソフトウェアが2本の明るい縁のあいだの距離を測り、それが線幅になります。気をつける点は3つです。

  • 縁はまっすぐではない:ナノメートルの世界で見ると、縁はほつれたようにゆらゆらしています。だから測っているのは、線のある長さにわたる平均です。
  • 側面はよく見えない:側面は完全に垂直ではなく、明るい縁にも幅があります。どこを「縁」とするかは方法しだいなので、同じ方法で測った数字どうしでないと比べられません。側面の傾きを知るには、コンピューターで計算した画像と比べるか、ウェーハを切って断面解析をします。切ったウェーハはもう使えません。
  • 測ることで変えてしまう:レジストの中には電子が当たると少し縮むものがあり、いちばん縮むのは最初に測るときです。だから、どれだけ電子を当てるかは慎重に決めます。

スキャトロメトリ:光から逆算する

もうひとつは写真を撮りません。スクライブライン(チップとチップのあいだの細い帯で、最後に切り落とされます)に、細い線をびっしり繰り返し並べた小さな区画を焼いておき、そこに光を当てて、色ごとにどれだけ反射して戻るかを測ります。線の幅、高さ、側面の傾きが違えば、反射のしかたも変わります。コンピューターが前もってたくさんの形の反射を計算しておき、いちばん近いものを選びます。速く、側面の傾きまで推定できますが、正しいモデルと材料の光学的な性質が必要で、測れるのはその小さな専用パターンだけです。

測ったあとはどうする?

  1. 管理図に載せる:1ロット測るごとに管理図に1点打ち、少しずつ片側へ寄っていないかを見ます(「SPCの管理図とは?」)。
  2. 現像後に規格外なら、やり直す:まずホールドし、レジストを剥がして焼き直します(「リワークとは?」)。
  3. ゆっくりずれるなら、次のロットで調整する:測った線幅を露光装置に返し、次のロットの露光量を少し変えます。現像後の線幅を先にエッチングへ渡し、エッチングの時間を少し変えることもあります(「APCとは?」)。
  4. 急にずれたら、原因を探す:ホットプレート、新しいレジストのボトル、エッチング装置。どれが変わったのかをさかのぼって調べます。

「何ナノのプロセス」の数字は線幅のこと?

違います。ずっと昔は、プロセスの名前がその世代でつくれるいちばん細い線とだいたい合っていました。その後、名前は「何世代目か」という意味だけになりました(「ニュースの『2ナノ』、いったい何が2ナノなのか?」「ニュースの『オングストローム世代』とは?」)。線幅は別のものです。層ごとに目標があり、測るのはその層が実際にどれだけの幅でできたかです。

fab24hrでは

「出勤」を押して「工場の一日」を選び、「今日のあなたは」のカードで「量産工場」を押して、左右にスワイプしてプロセスエンジニアにし、名前の下の「リソグラフィ」を押すと、リソグラフィのプロセスエンジニアになります。4つのシフトはサイトを開いた時刻で決まり、昼から夕方に開くと昼シフト「リワーク」です。最初の場面の名前はそのまま「線幅」。コータデベロッパTRK-01は朝メンテナンスを終えたばかりで、午後に出た2ロットは、線幅が片側で太く、片側で細くなっています。装置のエンジニアは言います。「PEBの温度が少しずれるだけで、線幅もつられて動くんだ。」続いて12枚の線幅マップ。1マスが1測定点で、青いところは線幅がずれている場所です。何枚かは、青が片側に寄っています。リワークするウェーハを選び終えると、装置のエンジニアが教えてくれます。ホットプレート4枚で順番に焼いていて、3、7、11枚目がちょうど、片側が冷えたHP-3に当たっていました。

名前の下で「エッチング」を押すと、エッチングのプロセスエンジニアです。朝に開くと朝シフトで、測定装置MET-01では、エッチング後の線幅が8点続けて中心線より下にあり、しかもだんだん下がっています。10:40にヤーティンから電話。あるロットの線幅が管理限界より少し高いけれど、規格の中。先に進めるか、置いておくか。

線幅を測る電子顕微鏡は、「半導体工場の装置を、分解して見る」で動くところを見られます。ゲームに出てくる会社・人物・ロット番号・装置・数字は架空です。線幅とは何か、どう測るかは、公開されている一般的な資料をもとに書いています。ほかの用語は「半導体工場の業界用語を、やさしく解説」へ。

ゲームのどこで出会うかリソグラフィのプロセスエンジニア(量産工場 › プロセス › リソグラフィ)の昼シフトでは、コータデベロッパTRK-01のメンテナンス明けに出た2ロット12枚の線幅マップが目の前に並び、何枚かは青が片側に寄っています。エッチングのプロセスエンジニアの朝シフトでは、測定装置のエッチング後の線幅が8点続けて中心線より下にあります。

fab24hrのリソグラフィの昼シフトは、「線幅が片側で太く、片側で細い」のひと言から始まります。どのホットプレートが原因で、どのウェーハをやり直す?

リソグラフィのプロセスエンジニアで、12枚の線幅マップを読む

先生へ:この記事は「授業でfab24hrを遊ぶ」と組み合わせて授業で使えます。

この記事を引用する「線幅(CD)とは? 半導体の寸法は、どこで決まり、どう測るのか」fab24hr、更新。https://fab24hr.com/ja/blog/what-is-cd/
授業や非営利の目的なら無料で使えます。投影、プリントへの掲載、生徒への配布もかまいません。fab24hrと明記してください。販売することや、自分の作品として使うことはできません。 誤りを見つけたら報告

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