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パッケージとテスト約8分

ファンアウトパッケージとは? 端子が入りきらないとき、チップの外へどう引き出すのか

ファンアウトパッケージ(fan-out。正式にはファンアウト型ウェーハレベルパッケージ、略してFOWLP)は、チップの接点をチップの外まで引き出すパッケージの方式です。切り分けてテスト済みのチップを間隔をあけて並べ、周りを樹脂で埋めて、ウェーハのような円盤にします。その上に細い銅の配線をつくり、接点から外へ向けて引き出します。こうすると、底のはんだボールをチップより広い範囲に並べられます。「ファンアウト」とは、この配線のこと。チップから四方へ、開いた扇のように広がっていきます。

パッケージとはんだボールの基本は「パッケージングとは?」と「チップのパッケージにはどんな形がある?」へ。

ウェーハレベルパッケージとは?

ふつうのパッケージは、まずウェーハを切り分けてから、チップを1個ずつケースに入れます。ウェーハレベルパッケージ(WLP)はその逆です。チップがまだ1枚のウェーハにつながっているうちに、保護膜、接点、はんだボールまで全部つくってしまい、最後に切り分けます。切り出したものが、もうパッケージ済みのチップです。ウェーハ全体で一度に何千個も処理でき、できあがりもいちばん小さく、薄くなります。

ファンインとは? 接点の多いチップはなぜ収まらない?

ウェーハの上で直接はんだボールをつくると、ボールはチップの真下にしか置けません。チップの接点は4辺に並んでいることが多く、その場合はまず1層の配線で内側へ引き込み、底面いっぱいに並べ直します。だからファンイン(fan-in)と呼び、できあがりはチップと同じ大きさです。

問題は、チップの底はチップと同じ広さしかないことです。仮の数字で計算してみます。1辺3mmのチップに、はんだボールを0.4mmおきに置くと、1列に7個、面全体で多くて49個。接点が100を超えるチップは収まりません。

ボールをどこまでも小さく、ぎっしり詰めることもできません。回路基板側のはんだ付けの場所はそこまで細かくつくれませんし、小さすぎるボールはしっかり付きません。ボールを置くためにチップを大きくするのも割に合いません。シリコンは高いからです。だからファンインは、おもに接点の少ない小さなチップに使われます。

ファンアウトは、どうやってはんだボールをチップの外に置く?

先に切り分けてから、1個ずつ周りに場所を足します。チップを間隔をあけて並べ、すき間を樹脂で埋めると、チップの周りにできた樹脂の枠にも配線を通し、ボールを置けます。同じ3mmのチップの四方に1mmずつ足すと5mm角になり、1列に12個、面全体で144個。およそ3倍です。

ファンアウトパッケージはどうつくる? 1ステップずつ

よくある方法のひとつが「チップファースト、表を下に」です。

ステップ1:良いチップを選ぶ

  • 何をする:ウェーハ上のチップを1個ずつ細い針でテストし(ウェーハテスト)、ダイシングしてから、良品だけを取り出します。
  • なぜ:パッケージするチップ1個ごとに、配線とはんだボールのコストがかかるからです。
  • しないと:不良品までパッケージしてしまい、その分の作業がむだになります。

ステップ2:表を下にして、仮の支持板に貼る

  • 何をする:丸くてとても平らな硬い板(仮の支持板、キャリア)に接着層を貼り、チップを接点のある面を下にして、間隔をあけて1個ずつ置きます。
  • なぜ:接点がすべて同じ平面にそろうので、支持板を外すと周りの樹脂とほぼ同じ高さになり、その上に配線をつくれます。あけた間隔が、のちにはんだボールを置く場所になります。
  • しないと:ずれて置いたり、少し回ってしまったりしたチップは、あとでつくる配線と接点が合いません。

ステップ3:モールドして「再構成ウェーハ」にする

  • 何をする:モールド樹脂(パッケージ用のプラスチックで、多くはエポキシ樹脂)でトレイ全体を覆い、すき間を埋めて、加熱して固めます。チップと樹脂がつながった1枚の円盤を、再構成ウェーハと呼びます。
  • なぜ:樹脂がチップを固定し、周りの枠もつくってくれます。ウェーハの形にしておけば、このあと1枚まとめて加工できます。
  • しないと:流れる樹脂がチップを押し、固まるときには縮むので、チップは置いた位置から少しずれます。シリコンと樹脂は熱による伸び縮みが大きく違うので、冷えると円盤全体が反ります。焼いているうちに曲がったクッキーのようにです。

ステップ4:仮の支持板を外す

  • 何をする:支持板と接着層をはがし、接点のある面を出します。周りの樹脂とほぼ同じ高さです。
  • なぜ:接点が出ていないと配線をつなげません。支持板は一時的に支えていただけです。
  • しないと:接着剤が接点に残ると、配線がうまくつながりません。強くはがしすぎると、円盤を傷めることもあります。

ステップ5:再配線層をつくり、接点を外へ引き出す

  • 何をする:絶縁層を塗って、接点の上に小さな穴をあけます。ごく薄い金属を下地として敷き、レジストを塗って露光、現像し、配線の形を決めます。めっきで銅の配線を育て、レジストと余分な下地を取り除きます。銅の配線は接点から外側の枠まで延び、足りなければもう1層重ねます。この配線の層を再配線層(RDL)と呼びます。
  • なぜ:前工程のリソグラフィと同じ刷り方(「フォトリソグラフィとは?」)なら、細く密な配線を、円盤ごとまとめてつくれるからです。
  • しないと:パターンは「チップがあるはずの位置」に合わせて刷られます。ステップ3でチップがずれたり円盤が反ったりしていると、穴も配線も接点からずれます。工場でいう重ね合わせのずれと同じで、つながらなかったり、隣とくっついたりします。

ステップ6:はんだボールを付ける

  • 何をする:いちばん上の層の銅のパッドにはんだボールを載せ、加熱してはんだを溶かし、しっかり付けます。
  • なぜ:はんだボールは、回路基板にはんだ付けする足です。チップの外側の枠にも並べられます。
  • しないと:ボールが小さすぎたり取れたりすると、回路基板に付けたとき、その点だけつながりません。

ステップ7:切り分けて、もう一度テストする

  • 何をする:チップとチップのあいだの樹脂に沿って1個ずつ切り分け、もう一度テストします(ファイナルテスト)。
  • なぜ:1個1個が、そのまま回路基板にはんだ付けできるパッケージ済みのチップになります。
  • しないと:途中の工程でチップが傷ついたり、配線がつながっていなかったりしても、気づかずに製品に入ってしまいます。

ファンアウトパッケージの良いところは?

  • 接点を多く置ける:はんだボールをチップの外まで並べられるので、チップの大きさに縛られません。
  • 薄い:フリップチップは、チップを小さな基板にはんだ付けします(「フリップチップとは?」)。ファンアウトはチップの上に直接配線をつくり、その基板を省くので薄く、スマートフォンでよく使われています。
  • 道のりが短い:チップファーストなら、接点がそのまま銅の配線につながり、バンプもワイヤも基板も通りません。

再配線層の配線の幅は、数マイクロメートルから10マイクロメートル前後がよく見られます(1マイクロメートルは1ミリメートルの1000分の1)。回路基板の配線よりずっと細い値です。

ファンアウトパッケージの難しいところは?

  • チップのずれと反り:ステップ3の2つの問題です。どの層の配線も位置を合わせなければならないので、モールドの材料と条件をちょうどよく調整する必要があります。
  • 良いチップも一緒に失う:チップファーストでは、モールドしたチップはもう取り出せません。あとの工程のどこかで失敗すると、中の良いチップもスクラップです。そこで逆の順番の「RDLファースト」もあります。先に支持板の上で配線をつくって確かめてから、良いチップをつなぎます。
  • 配線はシリコン上ほど細くない:チップ同士でいちばん多くのデータをやりとりする場合は、シリコンでつくったインターポーザがよく使われます。

いくつものチップを一緒に包める?

できます。ステップ2で何個かのチップを横に並べて一緒にモールドし、再配線層で外へ引き出すのと同時に、チップ同士もつなぎます。シリコンの板を別につくらないので安く済みますが、配線は太めです。チップを分けてからまとめ直す理由とほかの方法は、「チップレットとは?」と「ニュースの「先端パッケージ」とは?」へ。

fab24hrでは

ゲームにファンアウトパッケージは出てきません。メインストーリー「チップの一生」第11章「ボールが浮いた」では、あなたは後工程工場の組立プロセスエンジニアです。補聴器用のチップ「Glowmere」は、表を上にしてSiPモジュールの小さな基板に貼り付けられ(ダイボンド)、細い線で外へつながれ(ワイヤボンディング)、樹脂で包まれます(モールド)。ワイヤボンダの説明には、チップ1個に線が十数本とあります。接点がこれだけなら、チップの外へ引き出す必要はありません。

いちばん近いのはモールドです。「出勤」を押して「工場の一日」を選び、「今日のあなたは」のカードで「後工程工場」を押し、左右にスワイプして組立プロセスエンジニアにします。シフトは端末の時刻で決まります。夜シフトでは、モールド装置の金型が替わり、注入口からいちばん遠い2つのキャビティで、細い線が樹脂に流されています。注入速度を落とすか(遅すぎると気泡が残ります)、すべてのトレイでX線を撮るかを選びます。ファンアウトパッケージのモールドで樹脂に押されるのは、チップそのものです。

ダイボンダも、ウェーハテストで良品と判定されたチップだけを吸い上げます。ステップ1と同じです。図鑑の「装置一覧」では、モールド装置や露光装置を分解して見られます。

ゲームの後工程工場、チップ、人物、装置は、どれも架空の設定です。ファンアウトパッケージとは何か、どうつくるかは、公開されている一般的な資料をもとに書いています。はんだボールの数を数えるのに使ったチップの大きさと間隔は、仮の数字です。ほかの用語は「半導体工場の業界用語を、やさしく解説」へ。

ゲームのどこで出会うかゲームにファンアウトパッケージは出てきません。Glowmereは表を上にして小さな基板に貼り付けられ、ワイヤボンディングで外へつながります。いちばん近いのは後工程工場のモールド装置です。「工場の一日」の「今日のあなたは」カードで「後工程工場」を押し、組立プロセスエンジニアまで左右にスワイプすると、夜シフトで樹脂の流し方を決めます。流れる樹脂が細い線を押し流してしまうからです。

fab24hrでは、モールドの樹脂が速く流れすぎると細い線が流されます。ファンアウトパッケージのモールドで、流れる樹脂に押されるのはチップそのものです。

組立プロセスエンジニアで遊び、組立ラインの各工程を見る

先生へ:この記事は「授業でfab24hrを遊ぶ」と組み合わせて授業で使えます。

この記事を引用する「ファンアウトパッケージとは? 端子が入りきらないとき、チップの外へどう引き出すのか」fab24hr、更新。https://fab24hr.com/ja/blog/fan-out/
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