プレイする

← fab24hrブログ

チップのつくり方約7分

半導体の前工程と後工程とは? FEOL・BEOLとの違い

半導体の「前工程」は、ウェーハの上に回路をつくる工程全体、「後工程」は、できたチップをテストし、切り分け、パッケージに入れる工程のことです。これとは別に、ウェーハ工場の中では、前工程をさらに2つに分けます。シリコンウェーハの中にトランジスタをつくる前半がFEOL(フロントエンド、基板工程)、その上に金属配線を1層ずつつくってつなぐ後半がBEOL(バックエンド、配線工程)です。FEOLもBEOLも工場の中の話で、ウェーハはずっと1枚のままです。英語の front end/back end や、中国語の「前段」「後段」はどちらの意味でも使われるので、誰がどんな話をしているかで見分けます。

工場の中のFEOLとBEOLは、それぞれ何をする?

FEOLは front end of line、BEOLは back end of line の略です。この line は生産ラインのことで、FEOLがラインの前半、BEOLが後半です。

  • FEOL(基板工程):シリコンの表面に、電気で動く小さなスイッチ、トランジスタをつくります。おおよその順番は、素子分離、ウェル、ゲート、ソースとドレイン、アニール。各ステップは「トランジスタはどうやってつくる?」へ。
  • BEOL(配線工程):トランジスタの上に絶縁膜をつけ、溝と小さな穴を掘り、金属で埋めて平らに磨く。これを1層ずつ重ね、最先端のチップでは10層以上になります。「チップの中の配線はどうつくる?」へ。
  • そのあいだ:トランジスタを1層目の配線へつなぐ小さな穴がコンタクトです。ちょうど境目にあり、FEOLに入れることも、BEOLに入れることもあり、「MOL(ミドル)」と呼ぶこともあります。
平面トランジスタのつくり方を示す断面の連続図:素子分離で浅い溝を掘って酸化膜で埋め、リンとホウ素を打ち込んでn型とp型のウェルをつくり、とても薄い絶縁膜とポリシリコンのゲートをつけ、ゲートを盾にしてソースとドレインを打ち込み、アニールし、絶縁膜をつけて小さな穴を金属で埋めてコンタクトをつくり、1層目の金属配線でつなぎます。最後のこまは境目を示します。シリコンの中のトランジスタがFEOL、上の金属配線がBEOLで、コンタクトはその境目にあります。
どのこまも同じシリコンの断面です。左は入口と出口がn型のトランジスタで、p型のウェルにのります。右はp型のトランジスタで、n型のウェルにのります。簡略化した平面トランジスタで、縮尺は正確ではありません。最先端のトランジスタはもっと立体的で、工程も多くなります。

なぜ2つに分ける? なぜトランジスタが先?

理由は2つ、熱と金属です。

熱:FEOLには、拡散炉で酸化膜をつける工程や、打ち込んだ原子を熱で落ち着かせる工程など、1000度を超えるものがあります。金属配線はこの熱に耐えられません。金属がのったあとの工程は、たいてい400度前後までしか上げられません。だから、高温が必要なことを先に全部すませてから、金属をのせます。逆に配線を先につくると、熱で金属がシリコンと反応し、配線もトランジスタもだめになります。

金属:FEOLは金属をとても嫌います。銅や鉄のような金属がウェーハに付くと、目には見えませんが、高温の拡散炉に入ったとたんシリコンの中にもぐり込み、トランジスタがリークするようになります。拡散炉には一度に100枚以上入るので、その一炉全部に響くこともあります。そのため金属、とくに銅が入ってくるところで、工場は線を引きます。金属を通ったウェーハはFEOLの装置に戻さず、装置もウェーハケースも使い分けます。この線の話は「チップの中の配線はどうつくる?」に1節あります。

ウェーハはFEOLからBEOLへ、どんな順番で進む?

大まかな順番です。各ステップは、何をするか、なぜか、しないとどうなるかだけ。くわしくはリンク先へ。

  1. ウェーハ投入、素子分離(FEOL):1ロットのウェーハを生産ラインに流し(ウェーハ投入)、まずシリコンに浅い溝を掘って絶縁物で埋め、トランジスタどうしの場所を分けます。分けないと、隣のトランジスタどうしでリークします。
  2. ウェル、ゲート、ソースとドレイン(FEOL):原子を打ち込んでn型とp型の土台をつくり、ゲートをつくり、電流の入口と出口を打ち込みます。スイッチの出来はここで決まり、間違って打ち込んだ原子は取り出せません。
  3. アニール(FEOL):熱を加えて、打ち込んだ原子を正しい位置に落ち着かせます。全工程の中でもいちばん熱い部類なので、金属がのる前にすませます。
  4. コンタクト(MOL):絶縁膜をつけ、トランジスタまで小さな穴を掘り、金属で埋めます。穴の位置がずれればショートし、底まで掘れていなければつながりません。コンタクトを埋めたあとのウェーハは、FEOLのような高温の工程にはもう入りません。
  5. 1層ずつの配線(BEOL):層ごとに絶縁膜をつけ、溝とビア(上下2層のあいだの小さな穴)を掘り、銅で埋め、CMPで平らにして次の層へ。配線が多すぎて1層には収まらず、つながなければトランジスタはばらばらのスイッチのままです。
  6. 保護膜(BEOLの最後):いちばん上を保護膜でおおい、外とつなぐ金属パッドの上だけ窓を開けます。これがないと、いちばん上の配線がむき出しで、湿気や汚れにやられやすくなります。そのあと、スクライブラインのテスト構造を測って、このロットがきちんとできたか確かめます(「WATとは?」へ)。
  7. 工場を出て、業界でいう後工程へ:ウェーハはウェーハテスト、薄く削る工程、ダイシング、パッケージング、ファイナルテストへ進みます。ここで初めて、ウェーハが切り分けられます(「ウェーハはどうやってチップに切り分ける?」へ)。

業界でいう前工程・後工程とは?

業界全体の話では、「前工程」はウェーハの上に回路をつくること、トランジスタも配線も含めた、ウェーハ工場の仕事全部です。「後工程」は、ウェーハの上のチップをテストし、切り分け、パッケージに入れて、もう一度テストする工程です(「パッケージングとは?」「チップはどうテストする?」へ)。

2つは別々の工場で行うことがよくあります。前工程はウェーハ工場、後工程は後工程工場です(「OSATとは?」へ)。境目もはっきりしているわけではありません。ウェーハテストはウェーハ工場で行うことも、後工程工場で行うこともあります。先端パッケージの工程には、ウェーハ工場とよく似た装置ややり方を使うものもあります(「ニュースの「先端パッケージ」とは?」へ)。

日本語の「前工程」「後工程」は、たいていこちらの意味です。そのうえで前工程を2つに分け、前半を「基板工程」、後半を「配線工程」と呼ぶことがあり、これがちょうどFEOLとBEOLにあたります。英語のニュースの front end/back end も、こちらの意味のことがよくあります。

ウェーハがチップになる順番:ウェーハテスト、研削とダイシング、ダイボンディング、ワイヤボンディングまたはフリップチップ、モールド、ファイナルテスト、出荷。ウェーハテストとファイナルテストの2回のテストがあります。
ウェーハテストは切り分ける前に行い、不良品はパッケージに入れません。パッケージングでチップが壊れることもあるので、パッケージ後にもう一度テストします。フリップチップでは、チップを裏返して直接はんだ付けするので、固定と接続が一度に済みます。

相手がどちらの意味で言っているか、どう見分ける?

工場の中の分け方業界全体の分け方
前シリコンにトランジスタをつくる(FEOL)ウェーハ製造全体(前工程)
後その上に金属配線をつくる(BEOL)パッケージングとテスト(後工程)
どこでどちらもウェーハ工場前工程はウェーハ工場、後工程は後工程工場が多い
ウェーハずっと1枚のまま後工程で切り分ける
英語FEOL、BEOLfront end、back end
日本語FEOL(基板工程)、BEOL(配線工程)前工程、後工程

かんたんな手がかりをいくつか。

  • 「of line」があるか:FEOL、BEOLと書いてあれば、ほとんどの場合、工場の中の分け方です。
  • まわりの言葉:ビア、金属層、コンタクトなら工場の中のBEOL。パッケージ、ワイヤボンディング、ダイシング、後工程工場なら業界でいう後工程です。
  • ウェーハはもう切られた?:まだ1枚のウェーハのまま、工場のクリーンルームの中の話ならBEOL。1個ずつのチップの話なら後工程です。
  • 誰が言っているか:工場のエンジニアどうしが「バックエンド」と言うときは、配線を指すことがよくあります。ニュースや業界レポートの「バックエンド」は、パッケージングとテストを指すことがよくあります。

fab24hrでは

fab24hrで「出勤」を押して「工場の一日」を選ぶと、「今日のあなたは」カードのいちばん上に、開発ライン、量産工場、後工程工場が並びます。この3つは別々の工場で、量産工場が業界でいう前工程、後工程工場が後工程を受け持ちます。メインストーリー「チップの一生」も同じ道をたどり、第二幕は量産工場、第三幕(第10〜12章)は後工程工場が舞台です。

工場の中のFEOLがいちばんよくわかるのは、第2章「一工程ずつ」です。最初のロット12枚について回って素子分離とウェルをつくり、章の終わりには「それでも、前工程のいちばん最初の区間にすぎない」という一文があります。このあとにゲート、ソースとドレイン、コンタクト、金属配線と、まだ何百もの工程が続きます。

量産工場には、「前工程エリア」の看板がかかったエリアもあり、拡散炉、洗浄、イオン注入、成膜、CMPが集まっています。「今日のあなたは」のカードで「量産工場」を押し、左右にスワイプしてプロセスエンジニアを出し、名前の下の「洗浄」を押すと、洗浄のプロセスエンジニアになります。このエリアの中でも、FEOLとBEOLは分かれています。担当のWET-05は拡散炉の前の洗浄装置で、昼シフトには表面の金属を測ったレポートが届きます。夜シフトにはCMPから電話がかかってきます。金属の線が出ているウェーハは、金属の層ができたあと専用のWET-07へ送るもので、WET-05には入れられません。図鑑の「装置一覧」でウェーハプローバを分解すると、ウェーハの説明に「前工程をすべて終えたウェーハ」とあります。この前工程は、業界でいう前工程です。

ゲームの会社、人物、装置番号、ロット番号は架空のものです。前と後をどう分けるか、なぜ分けるかは、公開されている一般的な資料をもとに書いていて、単純化もしています。ほかの用語は「半導体工場の業界用語を、やさしく解説」へ。

ゲームのどこで出会うか量産工場の「前工程エリア」の看板がかかったエリア:洗浄のプロセスエンジニアになると、担当のWET-05は拡散炉の前の洗浄装置で、金属が出ているウェーハは入れられません。金属の層ができたあとのウェーハは、別のWET-07へ。後工程工場は、また別の工場です。

fab24hrでは、拡散炉の前の洗浄装置がいちばん恐れるのは、目に見えない金属です。パーティクルは正常で、表面はきれいに見えても、金属が多いことがあります。

洗浄のプロセスエンジニアで遊び、拡散炉の前の洗浄装置を守る

先生へ:この記事は「授業でfab24hrを遊ぶ」と組み合わせて授業で使えます。

この記事を引用する「半導体の前工程と後工程とは? FEOL・BEOLとの違い」fab24hr、更新。https://fab24hr.com/ja/blog/feol-beol/
授業や非営利の目的なら無料で使えます。投影、プリントへの掲載、生徒への配布もかまいません。fab24hrと明記してください。販売することや、自分の作品として使うことはできません。 誤りを見つけたら報告

ほかの記事

このサイトのほかのページ