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パッケージとテスト約8分

信頼性試験とは? 何年も使うチップを、どうやって数週間で確かめる?

信頼性試験(reliability test)が問うのは、「このチップは何年も使ったあとも大丈夫か」です。ふつうのテストは「今、良品か」を問い、信頼性は「何年か使っても良品か」を問います。チップをふだんより熱く、電圧が高く、温度が上がったり下がったりする環境や、高温高湿の環境に置き、何年もかかるはずの劣化を数週間のうちに先に起こして、ふだんの使い方ならどれだけもつかを逆算します。

テストに合格したのに、なぜ信頼性まで調べるの?

チップは出荷前に1個残らず電気を流してテストされます。ふつうは2回で、ウェーハの段階で1回(ウェーハテスト)、パッケージに入れたあとにもう1回(ファイナルテスト)です(「チップはどうテストする?」へ)。でもチップは年をとります。中では少しずつ変化が進みます。

  • 配線の中の金属原子が電流に押されて動き、長いあいだに線が細くなったり、切れたりします。
  • トランジスタの中のごく薄い絶縁膜は、いつも電圧がかかっていて、長いあいだに破れることがあります。
  • チップ、樹脂のパッケージ、はんだは、熱で伸び縮みする量がそれぞれ違うので、温まって冷えるたびに引っぱり合います。

こうしたことが問題になるのは何年も先ですが、何年も待ってから売るわけにはいきません。靴の丈夫さを調べるのに3年はき続けたりせず、機械で何度も何度も曲げるのと同じです。

バスタブ曲線:チップはいつ壊れやすい?

同じチップをたくさん使い始めて、時期ごとにいくつ壊れたかを記録して描くと、バスタブ(浴槽)のような形になります。だからバスタブ曲線と呼びます。

  1. 使い始め:壊れるものが多めです。多くは製造のときに残った小さな欠陥が原因で、初期故障と呼びます。この時期はすぐに下がっていきます。
  2. 長い中盤:ほとんど壊れません。たまに壊れても、運のようなものです。
  3. 何年も使ったあと:材料が少しずつ傷み、劣化して、壊れるものがまた増えます。

信頼性試験は両端を見ます。左端が高くないか、そして右側が上がりはじめる前まで十分にもつか。曲線のくわしい話は「バーンインとは?」へ。

バスタブ曲線の模式図:横軸は使用時間、縦軸はその時期に壊れる割合。使い始めは壊れやすく(初期故障)、長い中盤はほとんど壊れず、何年も使ったあとは摩耗や劣化でまた少しずつ増える。バーンインが扱うのは最初の部分で、信頼性試験は両端を見る。
チップが壊れやすいのはいつか:最初の部分は、バーンインで1個ずつ先にふるい落とします。信頼性試験は抜き取りで両端を見ます。始めがどれだけ高いか、終わりがいつ上がりはじめるか。模式図で、数字は入れていません。

何年も先のことを、どうやって数週間で知るの?

カギは「加速」です。チップを劣化させる化学反応の多くは、温度が高いほど速く進みます。牛乳をテーブルに出しておくと、冷蔵庫に入れておくより早く傷むのと同じです。電圧を少し高くすると弱いところが早く表に出ますし、湿気や温度の上下も同じです。そこで条件をふだんより厳しくして、劣化を早めに起こします。

ただし、いくらでも厳しくしていいわけではありません。熱すぎると、材料がやわらかくなるなど、ふだんの使用では起こらない壊れ方が出てきて、実際の使用とは関係のない結果になります。だから条件は「ふだん起こる壊れ方を速くする」ように選びます。何倍速くなるかも壊れ方しだいで、温度への敏感さはそれぞれ違います。

信頼性試験はどう進める? ひとつずつ

ステップ1:サンプルを選ぶ

いくつかのロットから数十個ずつ抜き取り、量産と同じ作り方で作って、パッケージに入れます。ロットごとに少しずつ違うので、1ロットだけだとたまたまいちばん良いロットを引くかもしれず、結果はその数個のことしか言えません。

ステップ2:加速した条件に置く

チップをボードに差しこみ、オーブンや温湿度槽に入れて、電気を流し、温めて、動かし続けます。こうして劣化を早めに起こします。加速しなければ、本当に何年も待つことになります。

ステップ3:ときどき取り出して測る

たとえば数百時間ごとに取り出して1個ずつ測ります。機能はまだ正しいか、リークは増えていないか。測ったらまた戻して動かします。全部終わるまでに千時間を超えることが多く、何週間もかかります。途中で測っておけば、いつ悪くなりはじめたか、少しずつずれていったのかがわかります。最後の1回だけでは見分けられません。

ステップ4:いくつ壊れたか、どう壊れたかを見る

よくある合格基準は、1個も壊れないことです。壊れたものがあれば、開けて断面を切り出し、原因を調べます(「故障解析(不良解析)とは?」へ)。原因は工程、設計、パッケージのどこにもありえて、対策はまったく違います。原因を突き止めなければ、違うところを直してしまうかもしれません。

ステップ5:ふだんの使用でどれだけもつかを見積もる

「温度が高いほど反応が速い」という関係を使って、オーブンの中の時間をふだんの使用での時間に換算し、「何年も使えるか」に答えます。1個も壊れなかったとしても、保証にはなりません。言えるのは「故障の割合がある値より低い」ということを、どのくらいの確かさで言えるかです。サンプルが少なすぎたり、時間が短すぎたりすると、確かなことは言えません。

よく行われる試験には何がある?

  • 高温動作寿命試験(HTOL):100°C以上で電圧をかけ、チップを千時間以上動かし続けます。トランジスタや配線が少しずつ劣化しないかを調べます。チップは毎日、電気を流して熱くなっているからです。
  • 温度サイクル試験:マイナス数十°Cから100°C以上までのあいだを、何度も行き来させます。パッケージの中の接続部が割れないかを調べます。材料ごとに伸び縮みの量が違い、スマホが冷房の効いた部屋から炎天下に出るたびに、1回引っぱり合うからです。
  • 高温高湿バイアス試験:80°C台、湿度80%以上で電圧をかけ、千時間以上置きます。湿気が樹脂のパッケージにしみこみ、金属の配線を腐食させないかを調べます。樹脂は水を完全には防げないからです。
  • 静電気破壊試験:人の手が端子に触れたときや、チップ自体が帯電して金属に触れたときをまねた放電を、端子に打ちこみます。チップの中の保護回路で防げるかを調べます。人の体には千ボルトを超える静電気がたまることが珍しくなく、チップは工場から組立まで、ずっと触れられるからです。

どの試験をし、何個抜き取るかは、業界の公開された規格に示されていて、製品をどこで使うかにもよります。車に載るチップは、もっと多く、もっと厳しく調べます(「ニュースの「車載半導体」とは?」へ)。

歩留まりがとくに悪いロットは、なぜ注意が必要?

歩留まりがとくに悪いのは、そのウェーハやロットが欠陥をとくに多く受けたためであることが多いです。欠陥の中には、チップをその場で壊すほど大きくなく、テストには合格するけれど弱い、小さな弱点だけを残すものがあります。研究では、歩留まりがとくに悪いウェーハやロットでは、テストに合格したチップのうち、あとで早く壊れるものの割合も高いことがわかっています。

これは統計的な傾向で、1個1個に問題があるという意味ではありません。それでも要求の厳しい製品では、こうしたものをもう一度ふるいにかけます。たとえば先にバーンインをしたり、別に扱ったりします(「チップが大きいほど、歩留まりが下がるのはなぜ?」へ)。

信頼性試験とバーンインは何が違う? いつ行う?

信頼性試験は抜き取りです。一部を取り出して、「この種類のチップを、この作り方で作ると、どれだけもつか」を確かめます。バーンインは全数です。出荷前に1個ずつしばらく焼き、生まれつき弱くて早く壊れるものを取り除きます。靴でたとえると、信頼性試験は何足かを壊れるまですり減らして、このモデルがどれだけはけるかを見ること。バーンインは全部の靴を先に少しはいて歩き、靴底がしっかりついていないものを取り除くことです。

信頼性は、たいてい量産の前に確かめます。新しいチップはまず開発ラインで試作し、量産工場に渡す前の技術移管審査では、信頼性が確認する項目の1つになります(「開発インテグレーションエンジニアは何をする?」「新しい技術は、論文から量産まで何年かかる?」へ)。試験が終わる前に量産工場でウェーハを投入することをリスク投入といいます。

fab24hrでは

「出勤」を押して「工場の一日」を選び、「今日のあなたは」のカードで「開発ライン」を押し、左右にスワイプして開発インテグレーションエンジニアにします。夜のシフトは技術移管審査の前夜です。8項目のチェックリストのうち「信頼性(HTOL)」は、500時間の読み出しを過ぎたところで、3ロット、各77個、壊れたのは0個。終わるまで、あと3週間です。電気測定室のシャオウェンは言います。「経験では、最初の500時間で何もなければ、その後もたいてい大丈夫。でも、たいていであって、絶対じゃない」。補聴器用チップ「Glowmere」の顧客は、2週間早くチップがほしいと言っています。HTOLが終わるのを待つか、先にリスク投入するか、提案するのはあなたです。この夜が、メインストーリー「チップの一生」の第4章「2週間前倒し」です。

後工程工場の信頼性試験室にはオーブンがあり、壁にはバスタブ曲線が貼ってあります。第12章「出荷前夜」では、信頼性エンジニアのファンが、数百個を抜き取って2日間動かし、初期故障を調べられると言います。ホーム画面の「学習」で「31 台すべて」を押すと、信頼性試験のオーブンを分解して、抜き取ったモジュールがボードに差しこまれ、中に押しこまれて温められ、電気を流されるようすも見られます。

ゲームの工場、Glowmere、人物、「500時間」「3週間」といった数字は、どれも架空の設定です。信頼性試験とは何か、どう進めるかは、公開されている一般的な資料をもとに書いています。ほかの用語は「半導体工場の業界用語を、やさしく解説」へ。

ゲームのどこで出会うか開発ラインの開発インテグレーションエンジニアを遊ぶと、夜のシフトは技術移管審査の前夜です。チェックリストの「信頼性(HTOL)」は500時間の読み出しを過ぎたところで、壊れたのは0個、あと3週間かかります。メインストーリー「チップの一生」第4章「2週間前倒し」も同じ夜です。後工程工場の信頼性試験室には、信頼性試験のオーブンとバスタブ曲線があります。

fab24hrでは、HTOLはあと3週間。でも顧客は2週間早くチップがほしいと言っています。終わるのを待つか、先にリスク投入するか、提案するのはあなたです。

開発インテグレーションエンジニアで遊び、夜のシフトでHTOLの完了を待つか決める

先生へ:この記事は「授業でfab24hrを遊ぶ」と組み合わせて授業で使えます。

この記事を引用する「信頼性試験とは? 何年も使うチップを、どうやって数週間で確かめる?」fab24hr、更新。https://fab24hr.com/ja/blog/reliability/
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