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パッケージとテスト約8分

TSV(シリコン貫通電極)とは? チップを積み重ね、シリコンを貫いてつなぐしくみ

TSVはthrough-silicon viaの略で、日本語ではシリコン貫通電極(シリコン貫通ビア)と呼ばれます。シリコンのチップにとても細い穴を貫通させて金属を埋め、信号と電気をチップの片面から反対の面へまっすぐ通すものです。これがあるから、チップを上下に積み重ね、真ん中からじかにつなぐことができます。ニュースで見る3D IC(3次元実装)の多くは、これに支えられています。

チップは、もともとどこから外とつながっていたの?

チップはウェーハの表側につくります。回路も、外と電気や信号をやりとりする小さな金属の接点(パッド)も表側にあり、裏側はただのシリコンです。外とつなぐ方法は主に2つ。ワイヤボンディングは表を上に向け、四辺の接点から細い線を1本ずつ引き出します(「ワイヤボンディングとは?」)。フリップチップはチップを裏返し、面全体の小さなバンプを一度にはんだ付けします(「フリップチップとは?」)。

でも、どちらも使うのは表側だけで、裏側に出口はありません。何層も積み重ねると、上の層の信号はたいてい、縁から線を引いて回り込むしか、下へ降りる道がありません。

ワイヤボンディングとフリップチップの違いを示す図。左はワイヤボンディングで、チップを表を上にして基板に貼り、4辺の接点から細い線を1本ずつ基板へつなぎます。右はフリップチップで、チップを裏返して表を下にし、並んだ小さなバンプでそのまま基板にはんだ付けします。
ワイヤボンディングはチップの表を上にして、4辺から線を1本ずつ渡します。フリップチップはチップを裏返し、面全体のバンプを一度にはんだ付けするので、接点を多く置けて、信号の道のりも短くなります。図はイメージです。

なぜ、貫いてつなぐの?

ワイヤボンディングでチップを積むと、どの層も接点を縁に出しておき、その層から下の基板まで線を引くことになるので、道のりが長くなります。接点は四辺にしか並べられないので、数にも限りがあります。

TSVは、チップの真ん中をまっすぐ下へ貫きます。道のりはチップ1枚の厚さだけ。穴を四辺に詰め込む必要もないので、接続をずっと多くできます。道が短ければ信号は速く、電気も少なくてすみます。

AI向けのチップのとなりに積み重ねたメモリは、1つの積み重ねに千本を超えるデータ線があり、この穴が1層ずつ下へつないでいます(「ニュースの「HBM」とは?」)。チップをインターポーザの上に並べるときも、インターポーザの中にTSVがあることが多く、信号を下の基板へ通しています(「ニュースの「先端パッケージ」とは?」)。

TSVの穴は、どのくらい細くて深いの?

一般的な資料ではおおむね、穴の幅は数マイクロメートルから十数マイクロメートル(1マイクロメートルは1000分の1ミリ)で、髪の毛よりずっと細く、深さは数十マイクロメートルから100マイクロメートル前後です。深さは幅の10倍くらいになることが多く、地面に掘った細くて深い井戸のようなものです。

TSVはどうつくる? 1ステップずつ

穴は早い段階で掘ることも、あとで掘ることもできます。よくあるのは、トランジスタをつくり終え、その上の配線をつくる前に掘るやり方です。一般的な説明では、おおよそ5つのステップです。

ステップ1:シリコンに深くて細い穴を掘る

まずリソグラフィで穴の位置を描き、プラズマのドライエッチングで下へ掘ります。少し掘っては側壁に保護膜をつけ、また少し掘る、をくり返すことがよくあります(「エッチングとは?」)。こうすると穴がまっすぐ深く掘れて、となりの回路の場所を取りません。この時点では、穴の底はまだシリコンの中にあり、貫通していません。横にも削れてしまうと、穴の壁が横にえぐれて、あとでつける膜にむらができ、銅も埋めにくくなります。

ステップ2:穴の壁に、絶縁膜とバリア層をつける

穴の壁に、まず絶縁の膜(たとえば二酸化ケイ素)をつけ、次にごく薄いバリア層(タンタルやチタンのような金属、またはその窒化物がよく使われます)、最後にめっきの「種」になるごく薄い銅の膜(シード層)をつけます。シリコンはそれ自体が少し電気を通しますし、銅の原子は入り込みやすく、シリコンに入るとトランジスタにリークを起こさせます(バリア層の考え方は「チップの中の配線はどうつくる?」)。この2つの層がないと、信号がシリコンへ漏れ、近くのトランジスタも少しずつ悪くなります。

ステップ3:めっきで、穴を銅で埋める

ウェーハをめっき液に浸けて電流を流すと、シード層から銅が育ち、穴を底から上へ埋めていきます。表面に余った銅はCMPで削り取り、そのあと上にいつもどおり配線をつくります。銅は電気をよく通し、底から上へ育てれば中にすき間が残りません。穴の入口が先にふさがると、中に空洞が残って電気が流れにくくなり、のちに熱がかかったとき、そこから壊れやすくなります。

ステップ4:ウェーハを裏から薄く削り、穴の底を出す

まず表側を、支えになる別のウェーハやガラスに貼り付けます。次に裏側を砥石で削り、CMPとエッチングで少しずつ取り除いて、数十マイクロメートルだけ残し、銅の柱の底を出します(「CMPとは?」)。ウェーハはもともと1ミリ弱の厚さなのに、穴は数十マイクロメートルしかないので、薄くしなければ貫通しません。ここまで薄いシリコンは自分を支えられないので、支えに貼ったまま裏側の接点までつくり、それからはがして切り分けます。削りが足りないと出てこない穴が残り、削りすぎたりむらがあったりすると、銅の柱を傷めます。

ステップ5:積み重ねて、位置を合わせてつなぐ

チップを1層ずつ積み、各層の裏に出た銅の柱を、下の層の接点に合わせます。よくあるのは、接点に小さなバンプ(多くは銅の柱の先に少しはんだをのせたもの)をつくり、熱と圧力でつなぐ方法で、このマイクロバンプの間隔は数十マイクロメートルほどです。位置が合えば、信号と電気が1層ずつ下へ通ります。少しずれると、つながらなかったり、となりにつながったりします。

ハイブリッドボンディングとは?

バンプを使わない、もう1つのつなぎ方がハイブリッドボンディング(ハイブリッド接合)です。

  1. とても平らに磨く:貼り合わせる面を、どちらもCMPで、凹凸が1ナノメートルに満たないほど、原子数個分の高さしかないほど平らに磨きます。表面には銅の接点と、そのまわりの絶縁膜が出ていて、銅はわざとほんの少し、数ナノメートルだけ低くしてあります。
  2. 常温で貼り合わせる:表面を処理してから位置を合わせて重ねると、絶縁膜どうしが常温のままくっつきます。
  3. 加熱してつなぐ:そのあと数百度に加熱します。銅は絶縁膜より大きく膨らむので、わずかなすき間が埋まり、銅と銅が一体になります。

銅と銅、絶縁膜と絶縁膜を同時につなぐので「ハイブリッド」と呼びます。はんだのボールがないぶん、接続を小さく密にでき、間隔は10マイクロメートル以下まで縮められます。仮の数字で計算してみましょう。間隔40マイクロメートルなら1平方ミリに25 × 25=625個、間隔10マイクロメートルなら100 × 100=10,000個で、16倍になります。

その代わり、とても平らで、とてもきれいでなければなりません。目に見えないパーティクルが1つはさまるだけで、そのまわりが広く貼り合わさりません。研究では、貼り合わさらない範囲がパーティクルの数百倍の大きさになることもあると見積もられています。

積み重ねたり横に並べたりする小さなチップは、別々に設計され、別々につくられることがよくあります。つなげるには、まず共通の接続の決まり、つまり接点の並べ方や信号の送り方を、両側でそろえておく必要があります(「チップレットとは?」)。

TSVは、なぜつくるのが難しいの?

  • 穴を埋めきるのが難しい:深くて細いので、どの膜も穴の底まで届かせ、銅を底から育てなければなりません。どこかにむらがあれば空洞が残ります。
  • 銅とシリコンは熱で膨らむ量が違う:一般的な資料では、同じだけ温度が上がったとき、銅はシリコンのおよそ6〜7倍膨らみます。熱くなるたびに銅の柱がまわりのシリコンを押し、穴の入口から少し押し出されて、上の配線を押し上げることもあります。近くのトランジスタも押されて特性が少し変わるので、穴のまわりの小さな輪にはトランジスタを置かないことがよくあります。
  • ウェーハをとても薄く削る:数十マイクロメートルしかないシリコンは曲がりやすく割れやすいので、位置合わせも接合も難しくなります。裏面電源供給も裏から薄く削りますが、そちらはさらにずっと薄くします。
  • 積むほどテストが難しい:積む前に、どの層もテストします(ウェーハテスト)。でも薄くしたウェーハはもろく、プローブを当てられる接点も少ないのです。積んだあとは、真ん中の層にはプローブが届きません。1層でも不良なら、積み重ね全体が使えません。
  • 熱が逃げない:真ん中のチップは上下をふさがれていて、熱はほかのチップを通らないと外へ出られません。

fab24hrでは

ゲームにTSVも、積み重ねたチップも出てきません。メインストーリー「チップの一生」の補聴器用チップ「Glowmere」は、後工程工場で小さなSiPモジュールに入ります。モジュールの中のチップは1個だけで、ワイヤボンディングで縁から外へつなぎます。

いちばん近いのは、後工程工場の組立ラインです。「出勤」を押して「工場の一日」を選び、「今日のあなたは」のカードで「後工程工場」を押し、左右にスワイプして組立プロセスエンジニアにすると、ダイシング、ダイボンド、ワイヤボンディング、モールドを受け持ちます。ダイシング装置の説明には、ウェーハをまず裏面から削って薄くしてから切ると書いてありますが、穴を出すためではありません。ワイヤボンダの説明には、チップ1個に線が十数本とあります。接点がこのくらいなら、縁からつなげば足ります。

ハイブリッドボンディングに必要な平らさも、CMPで磨いてつくります。同じカードで「開発ライン」を押し、左右にスワイプして開発プロセスエンジニアへ。名前の下で「CMP」を押すと、CMPの開発プロセスエンジニアです(Betaの印つき)。朝シフトでは、新しいコンタクトの金属を、となりの絶縁層とちょうど同じ高さになるまで磨くのが狙いです。

ゲームに出てくる会社・チップ・人物・装置は架空です。TSVとハイブリッドボンディングは公開されている一般的な資料をもとに書いていて、どこか1社のやり方を表すものではありません。接続の数を数えるのに使った間隔は、仮の数字です。ほかの用語は「半導体工場の業界用語を、やさしく解説」へ。

ゲームのどこで出会うかゲームにTSVも、積み重ねたチップも出てきません。いちばん近いのは後工程工場の組立ラインです。「工場の一日」の「今日のあなたは」カードで「後工程工場」を押し、組立プロセスエンジニアまで左右にスワイプします。ダイシング装置の説明には、ウェーハをまず裏面から削って薄くしてから切ると書いてあります。

fab24hrのチップは積み重ねず、細い線で1本ずつ縁から外へつなぎます。後工程工場のダイシング、ダイボンド、ワイヤボンディング、モールドは、どの工程も組立プロセスエンジニアの担当です。

組立プロセスエンジニアで遊び、チップが縁からつながるようすを見る

先生へ:この記事は「授業でfab24hrを遊ぶ」と組み合わせて授業で使えます。

この記事を引用する「TSV(シリコン貫通電極)とは? チップを積み重ね、シリコンを貫いてつなぐしくみ」fab24hr、更新。https://fab24hr.com/ja/blog/what-is-tsv/
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