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工場の中約9分

チップが大きいほど、歩留まりが下がるのはなぜ? 欠陥密度、歩留まりモデルと歩留まり向上

チップが大きいほど歩留まりが下がるのは、欠陥がほこりのようにウェーハ上にランダムに落ちるからです。チップは致命的な欠陥が1つ当たるだけで不良になり、面積が大きいほど当たる確率が上がります。いちばん簡単な計算では、歩留まりはおよそeの「マイナス(チップ面積×欠陥密度)」乗になります。

歩留まりとは何か、なぜ工程を掛け合わせると100%に届かないのかは、「ニュースの「歩留まり」とは?」でクッキーのたとえを使って説明しました。この記事は、その一段下の話です。

欠陥密度とは?

ウェーハの上には、目に見えないほど小さなものがいつも落ちてきます。パーティクル、残りかす(「欠陥検査とは?」)。困らない場所に落ちれば、チップはそのまま動きます。配線を1本切ったり、離れているはずの2本をつないだりしたものだけが「致命的な欠陥(キラー欠陥)」です。

欠陥密度は、一定の面積あたりに致命的な欠陥が平均いくつあるかを表す数字で、ふつうは「1平方センチメートルあたり何個」で数え、D0と書くこともよくあります。その生産ラインがどれだけきれいで、安定しているかを表します。

チップが大きいと、なぜ当たりやすい?

1枚のウェーハに、致命的な欠陥が100個ランダムに落ちたとします。小さなチップ1,000個に切れば、1個あたり平均0.1個。大きなチップ100個に切れば、1個あたり平均1個です。

平均1個といっても、全部のチップに当たるわけではありません。2つ3つ当たるチップもあれば、1つも当たらないチップもあり、1つも当たらなかったものだけが良品です。この確率を求めるいちばん簡単な方法が、教科書に出てくるポアソンモデルです。

歩留まり ≈ eの「マイナス(チップ面積×欠陥密度)」乗。式で書くと Y ≈ e^(−A×D0)

eは数学の定数で、およそ2.718。「面積×欠陥密度」は、チップ1個あたりに平均いくつ欠陥が当たるかです。数字を入れてみます。

1枚から取れる数1個あたりの平均欠陥数良品の割合良品の数
1,000個(小さなチップ)0.190%905
400個0.2578%312
200個0.561%121
100個(大きなチップ)137%37

(例として計算した数字です。ウェーハの外周で欠けてしまう分は数えていません。)

チップが10倍大きくなると、1枚から取れる数は10分の1なのに、良品は20分の1よりも少なくなります(905個が37個に)。そのため、大きなチップは良品1個あたりのコストが一気に上がります(「半導体チップは、なぜこんなに高いのか」)。大きなチップをいくつかのチップレットに分け、それぞれテストしてからまとめてパッケージにする理由のひとつも、小さいほうが歩留まりが高いことです(「ニュースの「先端パッケージ」とは?」)。

このモデルは正確?

出発点です。実際には、ほかに2つのことを考える必要があります。

  • 欠陥はかたまりやすい:いくつもの欠陥が同じ数個のチップに集まり、まわりのチップはかえって助かります。そのため大きなチップの歩留まりは、上の計算より少し良くなることが多く、エンジニアは「どれだけ集まっているか」の数字を1つ加えたモデルを使います。
  • ランダムではない不良もある:ある工程の条件がずれた、フォトマスクに汚れがついた、搬送中に傷がついた、といった場合、不良はリング状や格子状、1本の弧のように並び、上のランダムな計算どおりにはなりません。これはシステマティックな問題と呼ばれ、別に数えます。

歩留まりには、どんな種類がある?

ウェーハを投入してからチップを出荷するまでに、歩留まりはふつう3か所で数えます(呼び方や分け方はところによって違い、これはよくある分け方のひとつです)。

歩留まりいつ数える数えるもの
ライン歩留まり前工程が終わったとき投入したウェーハのうち、途中で廃棄されなかった割合
ウェーハテスト歩留まり(CP)ウェーハを切る前ウェーハ上のチップのうち、ウェーハテストで良品だった割合
ファイナルテスト歩留まり(FT)パッケージのあとパッケージしたチップのうち、ファイナルテストに通った割合

3つを掛け合わせたものが、最終的に出荷できる割合です。たとえば95%、85%、98%なら、掛けておよそ79%。「歩留まりとは」の記事で扱ったのは、主に2つ目です。歩留まりの数字を見たら、まずどの歩留まりか、どれくらいの大きさのチップかを確かめましょう(2回のテストについては「チップはどうテストする?」)。

新しいプロセスの歩留まりは、どう上がっていく?

新しいプロセスや新しいチップの試作が始まったばかりのころは、歩留まりが低いのがふつうです。それを一段ずつ引き上げていくことを歩留まり学習といい、グラフにしたものが、ニュースでいう「歩留まりの立ち上げ」です。1回分はおおよそ次のように進みます。

ステップ1:不良を分類して、いちばん多いものを見つける

何をする:ウェーハテストのあと、不良チップを壊れ方ごとにビンに分け、多い順に棒グラフ(パレート図)に並べます。なぜ:人手には限りがあり、いちばん多い不良から直すと、歩留まりがいちばん早く上がるからです。しないと:どれにも少しずつ手をつけて、どれも終わりません。

ステップ2:どこで壊れているかを見て、範囲をしぼる

何をする:いちばん多い不良をウェーハマップに描き、途中の欠陥検査やWATの結果と見比べます。なぜ:規則性なく散らばっていればランダムなパーティクルに近く、リング状や格子状なら、ある工程、ある装置、またはフォトマスクを指していることが多いからです(「WATとは? ウェーハマップから、どこで失敗したかをどう読む?」)。しないと:「15%が不良」とわかっても、どの工程を調べればいいかわかりません。

ウェーハマップの読み方を示す図。四角いチップを並べた3枚のウェーハで、良品と不良を色分けしています。1枚目は不良が規則性なく散らばり、2枚目は外周にリング状に集まり、3枚目は露光のショットごとに同じ位置が1個ずつ不良で、きれいな格子になっています。
ウェーハマップは、チップ1個1個の良品・不良を位置どおりに描いたものです。ばらばらに散らばった不良はランダムに落ちたパーティクルに近く、外周のリングやきれいな格子は、ある工程、ある装置、あるいはフォトマスクを指していることがよくあります。

ステップ3:原因を見つけて直し、効いたことを確かめる

何をする:不良のウェーハが共通して通った装置を調べ、必要ならチップを切って断面解析をします。そのうえで条件を変える、装置を修理する、マスクを替える。なぜ:形は手がかりにすぎず、直したあとも次のロットの数字が戻ったかを見る必要があるからです。しないと:見当違いの場所を直したり、たまたま1ロット良かっただけで解決したと思い込んだりします。

ステップ4:ステップ1に戻って、次の不良へ

何をする:いちばん多い不良が片づいたら、2番目だったものが先頭になり、もう1回まわします。なぜ:1つ直すたびに歩留まりは一段上がります。はじめは大きなシステマティックな問題がいくつかあることが多く、あとになるほど残るものは小さく、見つけにくくなり、その中にはランダムな欠陥も多くあります。それは主にライン全体をきれいにして欠陥密度を少しずつ下げることで減らすため、上がり方はだんだんゆるやかになります。しないと:歩留まりが途中で止まります。

どの失敗が、どこで見えてくる?

1回ごとにいちばん時間がかかるのは、結果を待つことです。ウェーハを投入してからウェーハテストまで、数週間から数か月かかります(「ウェーハをつくるのにどれくらいかかる?」)。だから途中の測定や欠陥検査が大切です。早く見えるほど、早く直せます。下の表は例です(実際には、1つの失敗がいくつもの場所に手がかりを残すことがよくあります)。

何が起きたか最初に見える場所あとで見えるもの
イオン注入の原子が少なすぎたモニターウェーハのシート抵抗が高いWAT:スイッチが入る電圧がずれている
CMPで削りすぎた研磨後の厚さの測定で、薄すぎる配線の抵抗が高くなる
上下の層がずれたリソグラフィ後の重ね合わせの測定穴が配線に乗らず、抵抗が高い、またはつながらない
コンタクトが底までエッチングされていない途中では見えにくいWAT:長くつないだコンタクトの抵抗が高い、またはつながらない
パーティクルがウェーハに落ちた欠陥検査ウェーハマップ上に規則性なく散らばる不良チップ
まだ壊れきっていない小さな弱点テストはすべて通るしばらく使ってから壊れる。バーンインで先に見つけられる

歩留まりが悪いと、買ったチップも壊れやすい?

少しは壊れやすくなりますが、いちばん大きな影響はそこではありません。出荷前にはすべてのチップがテストされ、不良の多くはそこではじかれるからです。歩留まりが悪いときにいちばん直接出てくる影響は、良品1個あたりが高くなることと、約束した数が足りなくなるかもしれないことです。

ただし、ひとつ補足があります。欠陥の中には、チップをすぐに壊すほど大きくないものもあり、テストには通るけれど弱い部分を残して、数日から数週間使ったあとに壊れます。これを初期故障といいます。研究では、歩留まりの悪いウェーハでは、テストに通ったチップもあとで初期故障を起こしやすいこと、ウェーハ上で不良が特に多い領域の近くにある良品も同じであることがわかっています。そのため要求の厳しい製品では、もう一段のふるい分けをします。たとえばバーンイン(「バーンインとは?」)や、歩留まりがいつもより明らかに悪いウェーハを分けて扱うことです。

fab24hrでは

メインストーリー「チップの一生」の第3章「不良の形」で、あなたは開発ラインの開発インテグレーションエンジニアです。補聴器用チップ「Glowmere」の最初のロット、R-0912のウェーハテストが終わり、電気測定室のシャオウェンが3枚のウェーハマップを画面に並べます。1枚ずつ、おかしな形をタップします。3枚目の外周のリング(不良ではなく、速めに振れている)、8枚目以降の格子状の点(フォトマスクについて回る)、11枚目の1本の弧(搬送中についた傷)。3つともランダムなほこりではなく、原因を突き止められるシステマティックな問題です。

午後のマスク会議では、シンイーがチップの中に開発ライン用のTEGを2か所残したいと言い、ワン部長が言います。「2か所で、チップ面積が2%増える。顧客から理由を聞かれるだろう。」ゲームの中ではその先までは計算しません。この記事の計算でいえば、面積が少し増えれば、1枚から取れる数が少し減り、欠陥に当たる確率も少し上がります。

「工場の一日」の「今日のあなたは」のカードで「量産工場」を押し、左右にスワイプしてプロセスエンジニアで止め、名前の下の「エッチング」を押すと、机の上に今日やる予定の歩留まり改善の分析があります。昼シフトに席に戻って開くと、最後に保存したのは3日前。今日の進捗は4分です。

ゲームの会社、チップ、人物、ロット番号、数字は架空のものです。欠陥密度、歩留まりモデル、歩留まり学習は公開されている一般的な資料をもとに書いていて、表の数字は例です。ほかの用語は「半導体工場の業界用語を、やさしく解説」へ。

ゲームのどこで出会うかメインストーリー「チップの一生」の第3章「不良の形」では、開発ラインの最初のロットのウェーハテストが終わり、3枚のウェーハマップで外周のリング、格子状の点、1本の弧をタップします。マスク会議では、TEGを2か所残すとチップ面積が2%増えます。量産工場のエッチングのプロセスエンジニアの机には、今日やる予定の歩留まり改善の分析があります。

fab24hrでは、3枚のウェーハマップに3つの不良の形があります。外周のリング、格子状の点、1本の弧。それぞれがどこを指しているのか、見抜くのはあなたです。

第3章「不良の形」で、3枚のウェーハマップを読む

先生へ:この記事は「授業でfab24hrを遊ぶ」と組み合わせて授業で使えます。

この記事を引用する「チップが大きいほど、歩留まりが下がるのはなぜ? 欠陥密度、歩留まりモデルと歩留まり向上」fab24hr、更新。https://fab24hr.com/ja/blog/yield-learning/
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